銀河騎士隆盛期 壱 神の章 ブラック・ウイドウ号強奪事件
銀河騎士隆盛期 壱 神の章(バサラバート編)
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公国の私設宇宙ドックが武装した強襲型装甲イオノクラフトで強襲され、ブラック・ウイドウ号が強奪されたという報告が、大口径の狙撃銃の狙撃を受け、私設ドックから命からがら逃れのびたラウランティス卿の私軍の兵士から、ラウランティス卿の大邸宅に、もたらされたのは、朝方近くになってからであった。
それから私設ドックに、この事態の調査のために公国の憲兵隊が派遣され、公国惑星オーウェルの貴族、ラウランティス卿の三男の甥のベルアルが、首を切断され惨殺されていることが判明したのは、その日の九時をを過ぎてからだった。酷い電傷で意識を失った、船長以下の船員17名すべてが、イースト・ベイ中央病院に搬送されたのは、さらに、その後のことだ。
ラウランティス卿から正式に依頼を受け、公国惑星オーウェルの公司から公国の元老院議員を通じて、正式に銀河連邦軍に、ブラック・ウイドウ号と、船を強奪した犯人の捜索の依頼があったのは当日の正午を過ぎてからだった。
元老院を通じて、ジンウ長老会にもブラック・ウイドウ号強奪事件として事の詳細が伝えられ、銀河騎士にもその報が伝えられた。特にラウランティス卿の三男の甥のベルアルの首を切断したのは光線剣によるものだということは判明していたから、あえて騎士たちは口にしなかったが、この事件に、消息を絶ったままのカイゼル老師がかかわっていることは、想像にかたくないことであった。
カンデン一門がこのことを知ったのは、それから半日後のことで、銀河騎士団長のマルストスから話を伝え聞いた、ドレフィスの報告によるものだった。
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ジンウ長老会にとって一番の懸念は、ブラック・ウイドウ号の船長を含めた17名の乗り組員が負った、酷いで電傷についてことだった。乗組員すべてが、いまだに、意識不明の重体で、全員が酷いやけどを負っていたことだった。
これがジンウの暗黒面の力の発現、空中放電の力によるものであるとすれば、それは由々しき問題であった。過去の伝承でも、このように強力な電撃を発揮するものは、現在まで、存在しなかったからである、
失踪したカイゼル老師が、そのようなジンウの暗黒面の力を身に着けたとすれば、銀河騎士団にとって最大の敵となる可能性があった。
ガーゴイルは銀河ネットワークに大規模な量子ハッキングを仕掛け、ブラック・ウイドウ号の映像記録は公式には、存在しない状態になっていた。ネットワークに接続されている、カメラの映像記録はことごとく消滅していった。
ブラック・ウイドウ号の行方は、夜明けに宇宙に向かい飛び立つところを偶然、撮影したビデオカメラに映像が少し残っているだけで、バサラバート衛星軌道上のジャンクヤード、のいずれかに向かったことは十分考えられたが、銀河連邦軍の哨戒艦隊の捜索が始まっても、ようとして、その所在は分からなかった。
こうなると対消滅炉の光と熱を電気エネルギーに変換する、水晶の結晶構造体の質量や形状の変化による、固有振動波の波長を特定し陽子解析し、船固有の振動波を特定するしかないのだが、これは人口水晶の構造体自体を総交換されてしまうと、記録されている振動波はリセットされてしまうので、意味がなくなる。
ブラック・ウイドウ号の水晶構造体が、ジャンクヤードですでに総交換をされたとすれば、過去の記録は役立たずになる。
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