花里小夜②

あたしは葉山くんの隣にいたい。


もっとたくさん話したい。


少しでも近くにいたい。



――――――


だから、同じ講義を取っている時は絶対に話しかけに言った。少しでも葉山くんとお話したいし、あたしのことを葉山くんに覚えて欲しいから。



他の女の子が話し掛けるよりも前に話し掛ければ誰も近寄って来ることはない。だって近づくなってオーラみたいなものを出してるし。だって他の人が近寄ってきたらその子と葉山くんが話したりする。そしたら葉山くんの視線がそっちいっちゃう。それだけはどうしてもいや。



絶対にあたしが話している時は話し掛けないで欲しい。あたしだけが独占できるように。



――――――



ボディガードが増えるという話を聞いて、すぐにあたしは応募した。



あたしに葉山くんを護れるだけの技術があるかというとそんなことはないと思う。でも、葉山くんを想う気持ちであれば誰にも負けないという自負もあるし、葉山くんのためであればどんなこともできる。それが自らの命を差し出すようなことであっても、あたしは考えずに差し出せる。



だって好きな人にはずっと生きていて欲しいから。それにあたしが護って死んだら、少しは葉山くんの心の中に残るかもしれない。それもそれであたしはいい。少しでも葉山くんの中にあたしが残るのであれば。



ちょっと重いかなぁと思いつつもこれがあたしなので仕方ない。




――――――


結果としてあたしはボディガードとしてなれた。あたし以外には月森先輩だけ。どうやら受かったのは二人だけで、元々ボディガードの双葉先輩を入れて、ボディガードは三人。これからこの三人でやっていくことになるんだと思う。



受かったのが月森先輩だったのはよかった。知らない人でも良かったけど、それよりは相手のことを理解している人の方がいいに決まっている。何より月森先輩は奥手だ。



あたしみたいに率先して行動するようなタイプじゃない。



今まで付き合って来て、月森先輩に抱いたのはそういうイメージ。






正直そのままで居てくれれば何も警戒することはなかった。


でも、今回はちょっと違うのかもしれない。今回のボディガードの募集は応募という形だった。応募しなければ受かることもない。となると月森先輩は自分の意思で応募して受かったのだ。



月森先輩が積極的に行動を起こして、結果的にそれが成功している。



それだと、今回は積極的に葉山くんと関わろうとしてくる可能性がある。それは止めて欲しいと思いつつも、負けないように頑張ればいい。誰にだって負けなければ最後には葉山くんを手に入れられるはず。




―――――



それから数日して葉山くんと講義を一緒に受けることが出来た。本当は隣が良かったけど、双葉先輩がどうしても譲ってくれる感じじゃなかった。



こういうのは後輩に譲ってくれるものじゃないの~と思ったけど、双葉先輩の葉山くんへの執着もあたしに負けず劣らず強いんだと思う。少しでも近くにいたくて、葉山くんの横顔を見れる高揚感、手放すわけがない。



あたしが双葉先輩と同じ立場だったら絶対に譲らない。どんなにお願いをされても絶対に譲らない。





それでも、ボディガードとして近くに居られる時間が増えたからにはどうにかもっと仲良くなりたい。





一度告白に失敗しているからといって、二度目も失敗するとか限らない。もしかしたら、葉山くんの心が変わって、あたしを受け入れてくれるかもしれない。




いや、絶対にあたしを受け入れてもらう。




そのためにこのチャンスをしっかりと活かしていかないと……。




結ばれるために。

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