王国最強と名高い三姉妹から、そろって好かれてしもた新米兵士ロイゼ。
字面だけ見れば羨ましい話に思えるんやけど、この三姉妹、恋する女の子である前に王国最強級の騎士なんよ。せやから、ちょっとした嫉妬も積極的な愛情表現も、どうしても普通の規模では終わらへん。ロイゼが望んでるんは、目立たず働いて給料を上げる穏やかな暮らし。それやのに本人の願いとは反対に、毎日はどんどん騒がしくなっていくねん。
しかも三姉妹は、同じ相手を好きでも三人三様や。圧倒的な長女ヴィーナ、奔放な次女セレナ、穏やかで知的な三女アナスタシア。それぞれ違う方向からロイゼとの距離を縮めてくるから、誰かが現れるたびに空気まで変わっていくんよ。
騎士団の日常と賑やかなラブコメを、軽快な一人称と掛け合いで楽しめる。まずはこの騒がしい人間関係そのものを味わいたくなる作品やわ。
■ 夏目先生の読者向け推薦文――猫の縁側
恋愛とは、ときに人を少々愚かにするものです。
本作の場合、その「少々」がいささか大きい。
ロイゼを慕うヴィブロス三姉妹は、いずれも王国屈指の実力者です。ゆえに、恋する娘の嫉妬も積極性も、常人より少々大きな騒動を呼びます。しかし、本作の愉快さは、彼女たちをただ「困った女性」として眺めるところにはありません。
三人はそれぞれ、実に一生懸命なのです。
好きな相手へ近づきたい。こちらを見てもらいたい。他の姉妹より、できれば少し特別でありたい。そうした恋心そのものは、ごく親しみやすいものです。ただ、その気持ちを抱えているのが途方もなく強い騎士たちであるため、何気ない恋模様まで大騒動へ変わってしまう。
本人たちは真剣らしいのに、読者から見ると何とも可笑しい。この距離が本作の愛嬌でしょう。
そして、その騒動の中央にいるロイゼがまたよいのです。
彼は三姉妹の熱量に同じ熱量で応じる人物ではありません。なるべく穏便に、なるべく平和に、できれば今日一日くらいは何事もなく過ごしたい。その慎ましい願望に対して、現実の方がどうにも協力してくれない。
この食い違いを一人称の軽快な語りが拾っていくため、読者もロイゼと一緒になって騒動を眺められます。三姉妹の勢いに驚きながら、そのたびに何とか切り抜けようとする彼の反応まで含めて楽しいのです。
ところが、読み進めていくと、ロイゼについても最初の印象だけでは収まらない部分が少しずつ見えてきます。
本人はあくまで平穏に暮らしたがっているのに、周囲の人々は彼の中に時折意外なものを見つける。その見え方の違いが、「この青年をもう少し見ていたい」という興味へ自然につながっています。事情を早々に語り切らず、普段の姿の中から別の一面がちらりとのぞくところも、続きを楽しみにさせる魅力でしょう。
三姉妹にも、恋愛だけでは終わらない顔があります。
ロイゼを前にすると、ときに驚くほど感情豊かになる彼女たちも、騎士として自分の役割を担う場面ではまた違う表情を見せる。人間はいつでも同じ顔をして生きているわけではありません。立派に役目を果たす人が、好きな相手の前では急に不器用になる。その落差が、彼女たちを単なる強烈な属性ではなく、親しみを持てる人物にしております。
騎士団の仲間たちも、この賑やかな世界を支えています。
会話の調子や反応はそれぞれ違い、ロイゼを中心に人間関係が増えるほど、「次は誰とどんなやり取りをするのだろう」と楽しみも広がっていく。恋愛や戦闘だけではなく、登場人物たちが一緒に過ごしている時間そのものに愛着が湧く作品です。
そして、その賑やかな日々の向こうには、少し違う物語の気配もあります。
先に何が待っているのかは気になる。けれど、それ以上に、この人たちの掛け合いをもう少し眺めていたい。その二つの楽しみが無理なく同居しているため、ページを進める理由が自然に増えていくのでしょう。
三姉妹の恋心も、ロイゼの平穏への願いも、当人たちにはいたって大切なものです。
だからこそ可笑しい。そして、その真剣さを見ているうちに、いつしか人物そのものが好きになってくる。
英雄たちを遠くから仰ぎ見るというより、今日も何やら騒がしい人々の近くへ腰を下ろして、「さて、今度は何が始まったのだろう」と眺めたくなる。そんな親しみと賑やかさを味わえる異世界ファンタジーでございます。
■ ユキナの一般読者への推薦メッセージ
読んだあとに残るんは、物語の大きさ以上に「この人らと、もうちょっと一緒におりたいな」っていう親しさやったわ。
気軽に笑える異世界ファンタジーが好きな人や、キャラクター同士の掛け合いを楽しみながら少しずつ関係が変わっていく作品が好きな人には、よう合うと思う。強い騎士ばっかりやのに、恋愛になると妙に不器用。その人間臭さが、読めば読むほど愛嬌になっていくんよ。
英雄の活躍だけやなく、騒がしくて憎めへん人たちの日常まで楽しみたい人に、そっと薦めたい一作やわ。
ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。
なお、自主企画の参加履歴を「読む承諾」の確認として扱っています。