第8話 たぬたぬくんとおつきみしよう

 あきのまんげつの下、子どもたちはちいさなかみさまになります。


 ひるとはちがうよるの村。

 お月さまが白くかがやいていました。


 コロコロコロ……

 リーンリーン……


 大人のこえはなく、秋の虫がしずかにいていました。


「しぃ」


「しぃ」


 そっとおうちからぬけ出した子どもたち。

 公園にあつまれば、クスクスわらいあっています。


 このよるだけは、おとうさんもおかあさんも、子どもがそっとおうちからぬけ出してもしかりません。

 

 たぬたぬくんも、たみちゃんといっしょにました。


 ナイショ、ナイショ。

 ワクワク、ドキドキ。


「そろったね?」


 だれかがいうと、かおを見あわせ、うんうんとうなずきあう子どもたち。


「じゃあ、いこう!」


 夜道よみちはお月さまがてらしてくれます。

 みんないっしょならさびしくありません。

 手をつなげばもうこわくもありません。


 さあ、おうたをうたいましょう!


ぽんぽんお月さま森のうえ


たぬきもぽんぽこ出てきたぞ


(たぬたぬくん、びっくり!)


お月さまきれいだ、ピッカピカ


人もたぬきもニッコニコ


山のかみさま見ておじゃる


ぽんぽこポコポン、はらづつみ


大きなおなかをたたいてさ


きつねもはぁーねて、ピョンピョコリ


うさぎはよろこび、ついて


ペッタラペ、ペッタラペ


ぽんぽこピョンピョコペッタラリ


ぽんぽこピョンピョコペッタラリ


おだんごまるめて、こーねこね、こーねこね


おいもはおふろで、にっころころ、にっころころ


そろえて、そなえて、おつきさま


すすきがゆーれてくもが出て


お月さまかくれた、それいまだ!


ひとついただく、おいしいぞ


ふたつとまらぬ、もうひとつ


まんぷくぷくぷく


まんぷくぷくぷく


お月さま


まんまるぷくぷく


まんまるぷくぷく


かみさままんぞく、ニッコニコ


ニッコニコ!


 たぬたぬくんも、たみちゃんも、みんなと手をつないでたのしくうたいました。


 でも、おうちが見えると「しぃ」。

 お口をとじて、そっとそっと……。


 こよい十五夜じゅうごや


 月のあるうちにがきえたなら、それはかみさまがもらってくれたということ。おれいにかみさまは、そのおうちにしあわせをくれるといいます。


「おだんごおいしいね」


「あっちのおうちにはおかしがあったよ」


「アハハハ! あんこがほっぺについてるよ」


たのしいね」


「おいしいね」


 まんまるおつきさまはよるのあいだずっと子どもたちを見まもってくれていました。


 子どもたちは月のかみさまのかわりなのです。


 小さな神さまたちは村のおうちをじゅんばんにまわって、たくさんをいただいたのでした。

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