一夜明けたら家族が四桁・2
いきなり街の教会に連れられたと思ったら、そこに殺到している若い女の子達がこぞって俺の妻だと名乗っている?
そんな馬鹿な……
と思って近づいてみたら。
「私がエデン様の妻です!」
「何を言っているの!? あんたみたいな不細工がエデン様の妻のはずがないでしょ!」
「司祭様、私はエデン・ミラーシュと三日前に愛を誓いあいました!」
本当に100人はいようかという女子が教会の入り口付近で取っ組み合いをしている。
……何なんだ、この混沌は。
『みんな、死にたくないでち。だから、おまえの家族をアピールしているでちよ』
「……えぇぇ」
確かに、俺と俺の家族5人は助けるという話をしていたな。
人類の逆襲を信じられない連中が、俺の家族になって生き残ろうというわけか。
俺の嫁になれば、その親とか家族を4人くっつけることも理屈的には可能だし。
『そういうわけでち』
「そういうのっていいのか?」
『それも魔王様の深謀遠慮かもしれないでち。それに』
「それに……?」
『あたちも人間同士の交尾には非常に興味があるでち……。ハァ、ハァ』
急によだれを垂らしだす。
この幼女、どうやら変態だったらしい。
『妻だけではないでち。別のところではおまえの義兄弟だったとか、そういうことを主張している者も一杯いるでち』
「義兄弟って、そういうのもアリなのか?」
『条件はあくまでおまえが選ぶ家族5人でちから』
魔族はそういうところはこだわらないということか。
『もちろんここだけではないでち。他の村でも同じことが起きているでちよ。おまえの妻を名乗る女は三千人くらいいるでち』
「3千人!?」
『みんな死ぬのは嫌でちからね』
まあ、それは確かに死にたくないんだろう。
奴隷仲間たちも昨日、死にたくないって喚いていたからな。
いや、しかし、昨日は……というか以前は作業中に「汚いわね~」って日常的に蔑んでいたんだぞ。
態度が変わり過ぎじゃないか?
『む……?』
「おっ?」
教会の取っ組み合いに変化があった。
「きゃー!」
悲鳴をあげて1人の女子がこっちの方に投げられた。更にその上に次々と女の子が投げられていき、山のように積みあがっていく。
あっという間に教会に殺到していた女子全員が目の前に投げられて積みあがった。
「司祭様! 私を、エデン・ミラーシュの妻として認定していただきます!」
女子を全員戦闘不能にして、司祭に突っかかるのは緑色の髪と瞳をした、俺と同い年くらいの美少女だ。
どこかで見覚えがあるような気もする。
「ユ、ユミナ様……。しかし……」
司祭も目を白黒させている。
思い出した!
ユミナっていったら、勇者ユークスの妹だ!
さすがに兄ほどではないにしても、本人もまあまあ強くて中級程度の魔物を倒しに行っていたという。
更にあの通りの見た目だから冒険者からアイドル的な人気があるみたいな噂を聞いていたが。
そうか、そんなアイドルでも俺の妻になりたいなんて……
「私達勇者一族が世界を救わねばならぬのです! 今は恥をしのんで生き抜き、エデンとの間に生まれた子供を新たな勇者として鍛え、今度こそ魔王を倒すのです!」
えぇぇぇ!?
何なの、その気の長い話は。
愛とか恋とかないじゃん! 俺は使命のための通り道みたいな扱いかよ!?
『それはおまえは元々奴隷だったから仕方ないでち。今までは労働力が必要とされ、今度は生殖力が必要とされたことだけの違いでち』
「そこだけ冷静に語るなよ! 魔王的にはそれでいいのかよ?」
命を助けるって認めた奴が、敵勇者の妹を助けて、復讐のために子供とか作るって。
『それもまた魔王様の深謀遠慮でち。我々魔族は従うのみでちよ』
「……おまえ、本当は何も考えてないだろ?」
というか、人間の交尾……アレを見たいだけだろ。
嫌だなぁ、こんな展開。
勇者の妹だけじゃないかもしれないからなぁ。
……俺、人間に戻らずこのままゴブリンでもいい気がしてきた。
『そんなことは認めないでち。あくまで今日、偵察のためにゴブリンになっているだけでちよ』
「嫌だぁ……」
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