第2章 その2

≪予言の書≫

 万博ばんざい! 万博ばんざい!


 終わりの始まりだ


 眠れる子どもたちが目を覚ますだろう


 大人たちは気付かない 目覚めない


 子どもたちの進撃が始まる


 万博ばんざい! 万博ばんざい!


 さよなら総理大臣!





「――それで彼が目覚めたのかい?」


 若い男の声だった。闇の中、パソコン画面だけが光っていた。それに青白く照らされた、頬に傷のある青年は続ける。


「本当に始まったね」


 部屋には男しかいない。ヘッドセットをした彼は誰かと通話しているようだ。返事の声は聞こえない。


「うん……うん……わかった。それでは――よき終末を!」


 男はヘッドセットを外すと、整理整頓されたデスクに置いてマグカップを手に取った。濃縮した陰のような液体――ブラックコーヒーだった。


「それで――僕を“見ている”君は誰だい?」


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