好き好き貴方をあい・・・なんでもない
鍛冶屋 優雨
第1話
僕には、小さな頃からの友人、いわゆる幼馴染という関係の人がいる。
幼馴染は女性で
彼女は出会った頃はお人形さんみたいに可愛いかった(僕のお母さんが彼女をよくそんな表現で褒めていた)。
今は感情の起伏があまりなく、名前のとおり凛とした冷静な感じ、
背も女性にしては少し高い方で、160センチ、(ちなみに僕は、日本人男性の平均身長を大きく下回る163だ。)
僕は小さな頃から凛が大好きでいつか告白して幼馴染から恋人になってもらいたいと思っている。
凛は僕の家の近くに住んでいて、同じ高校に通っていて、基本的には登下校を一緒にしている。
いつも彼女が僕の家に来てくれて2人で一緒に学校に向かうのだ。
2人とも別々の部活に所属しているから帰りは待ち合わせ時間を決めて、合流して家に帰るといった感じだ。
その日、僕はいつもどおり所属している料理部の活動を終え、彼女が所属している吹奏楽部の部室(音楽室)に行こうとしていた。
音楽室の前まで来ると、どうやら、部活自体は早く終わっていたのか、楽器の音などは聞こえず、誰かの話し声が聞こえてくる。
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「ねぇねぇ。高山さんは、あの幼馴染とはどうなの?」
今日は顧問が急遽、会議に参加するため部活が自主練になったせいで、大きなコンクールが終わったばかりの部活内は、ダラダラとしていて、とても部活をやるような雰囲気ではなく、同じクラスの
私は部活が無いなら早めに帰って、放課後は幼馴染の
藍とは違う部活だから、藍と一緒に帰るために、こうしてつまらない自主練をしている。
やっぱり、藍の部活が終わる時間まで教室でボーっとするぐらいなら、部活に来て自主練をしようとしたのが、間違いだったかな。
「ねぇ。恥ずかしがらずに教えてよ〜。」
陰山さんがまだしつこく聞いてくる。
私は腕時計で時間を確認する。
もうすぐ藍の所属する料理部が終わる時間だなと気付いたので、さっきまで使用していた楽譜を片付ける。
「もう!何で無視するのよ!そんなに恥ずかしい仲なの?」
私は陰山さんの言葉に少しカチンときて、少し強い口調で答える。
「私と藍はあなたが思うような関係でないわ。彼とは単なる昔からの付き合いってだけ、何とも思ってはいないわ。親が知り合いだから一緒にいるだけよ。」
私はこの時の言葉を後悔している。
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「私と藍はあなたが思うような関係でないわ。彼とは単なる昔からの付き合いってだけ、何とも思ってはいないわ。親が知り合いだから一緒にいるだけよ。」
僕は凛の声を確かに聞いた。
これまで彼女からは聞いたことがないような強い口調だった。
そうか・・・、凛は僕の事は何とも思ってはいないのか・・・。
僕は足音を立てないようにそっと音楽室の前から離れる。
「これからは少し距離をおいた方がいいのかな?」
そう思い、僕はスマホを取り出し、凛にSNSで連絡する。
『ごめん!今日は用があったのを忘れていたから一人で帰るね。』
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