「恋愛未来日記」というアイテムを軸に展開する、切なくも引き込まれる物語。
プロローグでは、ヤンチャな高校生・辰之助とギャルの貴子が先生から謎の日記帳を受け取ります。書いた通りに現実が進行するという不思議な力を持つこの日記が、二人の関係をどう変えていくのか――そして、プロローグ最後に突きつけられる衝撃の展開に、思わず息を呑みます。
本編では視点が変わり、陰キャのモブ・龍之介が主人公に。彼が出会う謎の日記帳と、スクールカースト上位のヒロイン・さくらとの関係性。一見すれ違いそうな二人の運命は、いったいどこへ向かうのか。
日記に書かれた未来は、本当に自分の意志なのか?
この根源的な問いかけが、物語全体に緊張感を与えています。
ウチがこの『君逝く朝に』でいちばん惹かれたのは、恋愛の甘さに「書いた未来が、現実を縛ってくる」不穏さが混ざってるとこやねん。
学園の空気、友だち同士の距離感、恋の温度……そういう日常の中に、じわっと“おかしさ”が染みてくる。
恋愛って本来、偶然とか、言い間違いとか、遠慮とか、そういう不確かなもんで揺れるやん。
でもこの作品は、そこへ「未来を書けてしまう」装置を差し込んでくる。便利なはずのものが、便利やからこそ怖い。
胸がきゅっとなる瞬間と、背中が冷える瞬間が、同じ線上に並んでるタイプの恋愛やと思う。
こんな人に向いてる
・恋愛だけやなく、少し影のある不穏さも好き
・「選んだ未来」の代償が気になる
・ラブコメの軽さと、ホラーのざらつきの両方が欲しい
◆ 芥川先生による辛口講評
僕はこの作品を、恋愛小説というより「恋を道具にした瞬間、恋が壊れ始める物語」として読んだ。題材は強い。
ただし、辛口で言うなら、強い題材ほど“読者の期待”も高くなる。あなたの装置は、読者に因果を求めさせる。そこへ十分に応えられない箇所があると、怖さも切なさも薄まる。
推しどころ
・恋愛の幸福と、怪異の気配が同じ生活圏にある。その混ぜ方が上手い
・「変わりたい」という願いが、外見や立場だけでなく、心の弱さとも結びついている
・日常の些細な動作や連絡のやり取りが、不穏へ変わる瞬間がある。ここに最も魅力がある
好みが分かれそうな点(辛口)
・装置が面白いぶん、読者は「なぜそうなるのか」「何が代償なのか」を一段深く知りたくなる。説明の快さだけで走ると、怖さが追いつかない
・恋愛イベントが気持ちよく進む時ほど、逆に“呼吸”が均一になりやすい。重要場面の緩急が弱いと、読後に刺さりが残りにくい
・人物像が分かりやすい反面、意外性が遅れると、恋の跳ね方が減る。恋愛は、相手の思いがけない一面で生き返る
けれど、これは欠点というより「作品が狙っている射程」の話だ。
もし読者が、恋愛の甘さを求めながら同時に、選択の代償や呪いの気配を味わいたいのなら、この作品は十分に手を伸ばす価値がある。
◆ ユキナの推薦メッセージ
芥川先生、だいぶ辛口やったけど、ウチはそのぶん「この作品、もっと化ける」って可能性を感じてるねん。
恋愛って、幸せの話だけでも読めるけど、ほんまに心に残るんは“幸せになりたい”って願いが、どこかで痛みに触れてしまう話やと思う。
『君逝く朝に』は、まさにそこを狙える作品やね。
甘いだけでは終わらん恋が読みたい人、日常が静かに崩れていく感じが好きな人には、合うはずやで。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。