第2話 当たり前(2)
『神王の命令によりこの世から人類を焼却する』
そう言うと光が徐々に弱まり姿が見えた。体格は普通でどこにでもいる高校生のように思えた。
『貴様らには悪いが燃やさせてもらう』
と言いティアは地面に急降下して手をつける。
すると彼の手から火が吹き出し全方向に津波のように広がった。気がつけば街は地獄のように燃えている。
その時、学校にある火災報知器がなった。
「ジリジリジリ....火事です、火事です」
教室にいた生徒たちは命の危機を感じ本能的に逃げようと悲鳴をあげながら教室の扉の前にかたまっている。だが、廊下には既に人がいて出られない。
「黙れ」
丸枝先生がそう言うと、生徒たちは静かになった。
「ハンカチを口に当てて焦らずに逃げるんだ」
さっきまで 眠そうな顔をしていた丸枝先生が必死に生徒に指示を出している。
「もう少ししたら廊下の行き当たりにある非常階段から降りるぞ」
しばらくして廊下にいた別のクラスの生徒が少なくなった
「今だ、行くぞ」
丸枝先生が列の先頭で僕と響は列の1番後ろに並んぶ。この学校は3階建てで下の階まで火が登って来ていた。
「非常階段をこれから下りる、足元に気をつけろ」
非常階段には火が回っていなかったため無事に学校から出ることが出来た。
「この後はどこに行きますか?」
響が丸枝先生に聞いた。丸枝先生は少し考えてから言った。
「この街は多分安全じゃない、だから隣町の阿久津市あくつしに行く」
確かに、今1番安全なのは避難することだろう。
「丸枝先生、僕家に帰ってもいいですか?僕は姉ちゃんに会わなきゃいけない」
「斗真くん、家族が心配なのは分かるが僕は1年A組の担任だ生徒を危険に晒す訳にはいかない少しでも速く安全な場所へ連れていくことが僕の義務だ」
「なら、先に行ってください」
「斗真くん、それはだめだ君も僕の大切な生徒だ」
「丸枝先生行かせてください、姉ちゃんが僕に残されたたった一人の家族なんです」
「....わかった」
「じゃあまたどこかで会おう」
響が声を上げた
「俺は斗真について行く」
僕には何故なのか分からなかった。死ぬかもしれないのに。
「響なんで」
「俺はお前の親友だろ」
「俺は死んでも斗真について行く」
丸枝先生は微笑んで言った
「君たちは止めても行くみたいだね、寂しいけど君たちの人生だ僕には背中を押す義務がある」
微笑んでいたけどその顔にはどこか寂しさを感じた。そして、僕は言った
「また会いましょう」
丸枝先生は微笑みながら言った
「死ぬんじゃないぞ」
この微笑みには寂しさを感じなかった
そして、僕たちは二人で言った
『当たり前ですよ』
丸枝先生たちと別れたあと僕と響は自分たちの家へ向かった。
「おい、あれ」
響は上を指さした指さす先を見るとティアが空を飛んでいた。
「なにか探しているのか?」
響がそういった後、スマホが鳴った姉ちゃんからの電話だった
『速く無朽神社に行って、あいつはあなたと私を狙っているの』
「どうゆうこと」
『とにかく、今すぐに向かって、そしたらきっと助け...』
電話はいきなり切れた。姉ちゃんの話が本当なら今、姉ちゃんが危ない。
「速く行かないと響、急ぐぞ」
電話が切れてから、ほどなくして家の前に着いた
「なんで...姉ちゃんが」
自分の家は燃やされ骨組みだけになっている。姉ちゃんはかろうじて言葉を話せるが身体には大火傷を負っている。
「斗真、私はもうだめみたい」
「姉ちゃん、諦めんなよ。姉ちゃんがいなんと僕は何にもできないよ」
「いや、あなたならできる、私はいつもわがままだったけど最後に願いを聞いて欲しいの」
「なんでも聞くから死ぬな」
「なんでも聞いてくれるの?じゃあ斗真と響くん2人とも絶対に死なないで、もしも、私に会いたくなったら自分の胸に手を当てて私はそこで生きてるから絶対に約束破らないでよね」
そう言って姉ちゃんは動かなくなった。
「当たり前だよ」
そう、僕は小さく呟いた。
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