記録3

柴山康介 その7

山スタジオのはじまり


我々のようなオタクは「エノ・ゾーン」という怪獣ドラマが制作されたスタジオが山奥にあったのを知っているが、では、「何故そこにスタジオがあったのか」というのを知る人はいるだろうか。スタジオから徒歩5分にある小川ではスイカが冷やされていることを、君たちは知っているだろうか。

柴山スタジオは、柴山監督が見惚れたスタッフを集めて作ったスタジオである。例えばそこには「酒浸りで震えの止まらないカメラマン」や「煙草で声がもはや出ない声優」だとか、「競馬嫌いで競馬場に脅迫状を送り二度逮捕された営繕スタッフ」だとか、ロクデナシたちが集まっていたが、柴山監督は彼らの隠れた才能、「色彩感覚」「カメラワーク」「造形技術」を見極め、人目を忍ばざるを得ない彼らのために、要するに簡単に言えば姿を隠すために山中で過ごしていたのだと言う。

彼らはそこで「怪奇!エノ・ゾーン」を生み出したのだ。いまだファンたちの考察のもとである「エノ」の正体は、かつてスタジオのそばにいた鹿であるという説も……!?(笑)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る