幕間② ゆっくりテニスチャンネル〜ノーアドバンテージについて〜

ミナ「今度はノーアドバンテージについて語っていくぜ」

「お、おう」

テロップ表示される音が流れている気がした。「ジャン!」っていう音。


『ノーアドバンテージ=デュース後、次の1ポイントで勝負決定』

『※サーブ方向は原則レシーバーが指定』


ミナ「ノーアドバンテージ。通称・ノーアド。これは、40-40デュースになった時、次の1ポイントでゲームが決まるルールのことよ」

ナギ「へぇー、どうしてこんなルールなのかしら?」

ミナ「本来は40-40デュースの後は、どちらかが2ポイントを連続で取らないとそのゲームが終わらないんだ」

ナギ「それがどうして、こんなルールを」

ミナ「プロの試合ならそれでよかったが、一般の試合ではなかなか試合が進まなくな。時間がかかってしまい大会運営も困っていたんだぜ。それで採用されたのがノーアドなんだぜ」

ナギ「そういえば、アマチュアだけでなく一部プロの試合ではもう馴染んできたわね」

ミナ「でも大多数のプロツアーには馴染みのないシステムだから、戸惑う人もまだいるらしいんだぜ。お互いルールに気づかぬまま通常ルールで試合しちゃって、コート見回りの人に指摘されてようやく気づくこともあるらしい」

ナギ「それは、それで面白いわねw」


一ノ瀬「なるほど……合理的っちゃ合理的か。テンポ重視ってやつか。確かに俺もノーアドバンテージには慣れてないな…」


ミナ「そしてこのルール、サーブを打つサイドは、レシーバーが決めるんだ。だから、デュースサイド(コートの右側)かアドバンテージサイド(コートの左側)、どっちがサーバーは苦手なのか早い見極めと判断が必要だぜ」

ナギ「観察力も必要なのね。わかったわ」

ミナ「ノーアドシステムはテンポが速いから重要なポイントでの集中力が命!気が抜いちゃあいけないんだぜ!」

ナギ「でも観客も盛り上がるし、運営も時間短縮できるし、一石二鳥ね。」


「でも精神的にキツそうだな……」


ミナ「そのかわり、メンタルの弱い人は地獄を見るけどな!」

ナギ「そのスリルが、テニスの醍醐味よ〜!」


「お前ら、解説なのか煽り屋なのかどっちだ」


双子は満足げに浮かび上がる。


ミナ「というわけで今日のまとめ!」

ナギ「天気に左右される大会形式と、一発勝負のノーアドは――」


ミナ「柔軟性と対応力が勝負の分かれ目だぜ!」


ミナ「じゃあ、今回はこれまでとするぜ」

ナギ「それじゃあ――」

「「ゆっくりテニスしていってね!」」


テロップ:『次回予告:「タイブレークについて」』

テロップ:『提供:ゆっくりツインテニスチャンネル(仮)』


「……(仮)なのに提供出すなよ。ていうかまたこれやるの?」


ぽよん。

音を立てて双子は映像ノイズのように消えた。


一ノ瀬はパンフレットを閉じ、ため息をつく。

「…ありがたいけど…俺、どんな世界に巻き込まれてるんだろうか……」



#ゆっくりチャンネル風

#ゆっくりツインテニスチャンネル

#大会レギュレーション解説

#ノーアドバンテージ講座

#羊女とテニススピンオフ


「そしてやっぱりタグ付けするんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る