幕間① ゆっくりテニス…チャンネル?

斧中と白石は試合のためコートへ。そして藤井も準備の為、一旦お開きとなった。一ノ瀬はベンチの隅で大会パンフレットを開いたまま、眉間に皺を寄せていた。


「……2回戦から3セットマッチ? それに“変更の可能性あり”? なんだこれ、形式が複雑すぎて訳がわからんな。シングルスかダブルス、年齢ごとに細かく違うから戸惑うな。プロの試合とは全然違う」


小さな文字で、“雨天順延などによって試合が短縮される場合もございます”とも書いてある。

「ごちゃごちゃだな……誰か整理してくれればいいのに」


その瞬間――空気がぽよん、と揺れた。


「突然だが、失礼するぜ!」

「私たちが解説してあげるわ〜!」


一ノ瀬は反射的に眉をひそめる。

一ノ瀬を無理やり白石のところまで引っ張って来たあの双子。

しかも今度は顔だけでお饅頭のような丸い顔をしている。これって…

「……お前ら、また突然……なんていうか、その口調……YouTubeやニコニコ動画でよく見るあの、“ゆっくり”…みたいだな」


「おおっ、バレたか!」

「“みたい”じゃなくて、私達、“ゆっくりツインテニスチャンネル”よ!」


一ノ瀬「……ゆっくり、ツイン?」


ミナ「ゆっくりミナ(仮)!一応男の子だぜ!」

ナギ「ゆっくりナギ(仮)だよ〜!ミナの双子の妹よ」


一ノ瀬「……口調まで本家に寄せてる……あと(仮)かっこかりってなんだよ」


ミナ「二人合わせて、“ゆっくりツインテニスチャンネル”!」

ナギ「登録ボタン、通知もよろしくね〜」


「誰が登録するんだよ……」


画面の下にテロップが現れる。

(スクリーンも何もない場所なのに目の前に見えてる!)

『今回のテーマ:大会レギュレーション解説!』


ミナ「今大会は県大会本戦! 1回戦は8ゲームマッチ!ユキの試合、熱戦だったぜ!」

ナギ「ベンチで見てて楽しかったわ。そしてこれから始まる2回戦は3セットマッチ(6-6かっこロクロクタイブレーク・ノーアドバンテージかっこ閉じ」よ!」


(……なんでそんな複雑なんだ?)

(あと、括弧のところまで喋らんでも…)


ナギ「まぁ、この形式にはいろいろ事情があるのよね霊m、じゃなくてミナ?」


(早速呼び間違えそうになってるじゃねえか!)


ミナ「一般的に1回戦や予選などは6ゲームマッチが普通なんだ。でもこの大会は関東大会の代表も決める重要な大会だから、実力を正確に測りたい。だから本戦1回戦を8ゲームに伸ばしたってわけだぜ!」


一ノ瀬「……理屈はわかるけど、運営泣かせだな」


ナギ「それなら全部3セットマッチにしたらいいじゃない?」

ミナ「そう言いたい気持ちもわかるが…大会が終わらなくなるぜ!」

ナギ「……あぁ、現実的な事情ね」

一ノ瀬「妙に納得する説明だな」


(会場内は自分の試合が始まるまで待っている人も多く、その間練習もできない。いわゆる待ち疲れが発生し、場合によっては数時間も待たされてしまう。8ゲームマッチでもこうなるんだから、全部3セットマッチを採用した場合……コントロールの米長さんの胃に穴が空くだろう)


ミナ「あとは、悪天候が続いてその日が雨天中止になったりすると、後日ゲーム形式を短縮するんだ。なんとか大会期間中に全ての結果を上の人に報告する必要があるんだぜ…」

ナギ「はへーっ、大変ね」

ナギは目を丸くしている。

ミナ「ほんと、テニスは空と大人の機嫌に左右される、難儀なスポーツなんだぜ」

ナギ「選手だけでなく運営も大変なのね〜」

ミナ「ただこのゲーム形式はあくまで一例だから、大会に出る人たちはよくルールを確認するんだぜ。」

ナギ「わ、わかったわ…」

顔から汗が出ているミナとナギ。おそらく彼女の饅頭顔も青くなってる。


一ノ瀬「……妙にリアルなこと言うな」


双子はくるりと回転しながら声を合わせた。


ミナ「じゃ、次のテーマいくぜ!」

ナギ「ノーアドバンテージについてね!」


一ノ瀬「まだやるのっ!?」


#ゆっくりチャンネル風

#ゆっくりツインテニスチャンネル

#大会レギュレーション解説

#羊女とテニススピンオフ


「タグ付けも!?」


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