第4話 忍者のじい様

 私の。直人はかなり優しく育ってくれた。仕事関係で出逢った美香子さんと結婚して子どもも出来た。


 だから、今は婿入りして 直人。


 が出来て私も嬉しかった。しかし、彼女の本性を知ることになった。


 髪を黒から金に変わった。ピアスの穴が増えた。金遣いが荒くなった。


 家事を仕事から帰ってきた直人に押し付ける。夜中に出歩く。それを息子が咎めると逆ギレ。


 孫  もそんな背中を見て育ったため、父親を舐めている。それでも息子は仕事をしながら一生懸命家庭を守ろうとしている。


 昼間はもう一人の娘 愛奈にそんな二人の召使いの様に働かせているとか


 まだ中学生だというのに……


 しかし、口を挟み辛いのも事実だ。息子からも


「あんま口出ししないでくれよ。親父 」


 そう口を酸っぱくして言われている。


 孫も可愛いらしいが、私としては複雑な気分だった。


 息子は家庭を守りたいのに、彼女たちは自分の事しか考えていないのだ……。


 息子にも事情を話したが、彼女は悪びれた様子もない。


 しかし、そんな状態の息子も可哀想に思えた私は妻に今までの事情を全て話した。


 すると……


「直人は優しいから言わないだけよ!」


 と怒り出したのだ!


 私がおかしい訳ではない。だって家事をしない。


 それを会社終わりの旦那にやらせるなんて……普通じゃない。


 そのため、私は息子のお嫁さんである美香子さんと孫に向かって、諭していた。


「良いかな。質素倹約。それが人間にとって最も大切な物なんだよ 」


 そう言った後の朝。


 直人からラインが届いた。なんでも美香子さんが昨日、スマホをしながら廊下を歩いていた。その時に落としたスマホを拾った時に画面を見た。


 SNSの鍵垢で


「義実家の価値観が古いんだけど(笑)。マジでさ婿入りしてんだから関わんなよ 」


 と呟いていたそうだ。すぐさまスマホを奪われたと言っていた。


 その後の午後、気晴らしに公園へ行った。ベンチで座る。しかし、凹む。


 その時だ。目の前に高校生が来た。



 薄い身体にボロボロのブレザーを着て、目の下は黒々としたクマだらけ。ボサボサの黒髪眼鏡。黒マスクを付けている。



 彼も私と同じで凹んでいた。


「だ……大丈夫ですか?」


「いや、お構いなく。ちょっと凹んでいるだけだから……」


「そ……そうなんですか?じ……実は僕もなんです?そのぉ、僕に話してみませんか?」


「え?」


「えっと?ほら?初対面の僕に話してスッキリするかも知れませんし……」


 無関係で少し自信なさげな彼に話してみて見ることにした。経緯を含めて全てを話した。


「息子の奥さんに私は古い人間だと。君もそう思うかい?」


「い、いえ。思わないです 」


 彼は私の手を握る。


「だって……この手を見ればわかります。家族を護って来た人の手だって……」


 顔を見る。絶望しきった顔。しかし、瞳の奥はまだ折れていない。


「だから、きっと、大丈夫。息子さんの奥さんにも伝わります 」


 その時、彼は私を心配してくれた。だから今度は私が彼を助けたい。そう思った。


「そっちも話してみて?」


「わ、わかりました 」


 今日もイジメに会い、殴られた。あとの会話を話した。









   □□








 学校終わりの放課後。


「本当、あのジジイは金づるにすらならねぇ 」


(なんて口を吐くんだ……)


 佐藤 ヒカリが自身のおじいちゃんに対してそんな口を聞くのが、信じられなかった。


 人生の大先輩。尊敬する者であって罵倒を吐く者ではない。


 ましてや血の繋がった人に対して吐く言葉じゃない。


 そう思いながら僕はいつもの通り、帰り道の近くにある公園に向かった。


「あの……こんにちは。かげおじいちゃん 」


「こんにちは。よもぎくん 」


 ベンチに座っているお爺様に挨拶をして、隣に座る。


 傷だらけの僕がお節介を発動して、このお爺様が話に応じて下さった。


 それが僕達の出逢いだ。


 それ以来、いつもこの時間にベンチに座ってお話している。


「今日は何処まで話そうか?」


「昨日の続き。忍びの話、教えて……」


 このおじい様の家 登龍家 は、忍びの末裔なのだとか。


 そのため、色々教えて貰った。


「そうだ。私の一族に伝わる妖刀伝説を教えよう 」


「き……聞かせて下さい 」


 忍者。それは男の子の憧れ。そして、刀にまつわる伝説。


(ちょっと怖いけど……)


 ちょっとだけワクワクした。


 このお爺さまの祖先。忍びの一族は、代々、受け継がれた封印された刀があるという


 持ち主が抱えていない衝動を膨張すれこそなく、その刀は持ち主の欲望に反応する。


「つまり……元々持っていない欲や衝動には反応しないってことですか?」


「左様……」


 その刀は血を吸う妖刀。人や生物の血を吸って強くなる刀。


 それを忍びの一族は護り続けてきたという──


「いずれ、妖刀の封印を解き、罪を犯す者現れし時、その罪人は死を持って罪を贖う」


 この一族が代々受け継いできた詩。



「さ、最後の詩の意味がよく……」



「わかりやすく言うなら、どんな理由があれど、妖刀の封印を解き放ち、人々に危険な目に合わせた人間は死ななければならない。ということだ 」


 鳥肌が立っていた。


「あ、そうだ。この種って何かわかりますか?」


「見たことのない種だ 」


 僕は種を手を渡す。様々な角度から見る。


「………」


 おじい様は何かを感じ取った感じだった。


 後書き


 この度、お読みくださいまして、本当にありがとうございました。


 少し展開がゆっくり目ではありますが、評価とブックマークをお願いします

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