第7話 ライフル
志鷹の言葉に、俺は全身が震えるのを感じた。ミニストップの内引きから始まった捜査が、秋葉原の闇、偽造カード、そして殺し屋へと繋がった。そして、その殺し屋の最終ターゲットは、依頼主である鳩崎支店長と志鷹建設の社長だった。
「奴らのアジトは?」
俺の問いに、志鷹は無言で一枚の写真を机に置いた。そこに写っていたのは、秋葉原のビルの屋上から撮られた、廃ビルの写真だった。
「このビルの屋上だ。あの殺し屋が、ここを拠点にしている。そして、ここにライフルがある」
俺は息をのんだ。ライフル。それは、遠距離から確実に標的を仕留めるための、プロの武器だ。殺し屋が持っていたとしても不思議ではない。だが、なぜそのライフルを、このビルの屋上に隠している?
「奴らは、このライフルを使って、ここから鳩崎支店長と社長を狙うつもりだった。このビルから見える場所に、彼らが密会する予定の場所がある。そこで二人を始末し、その後、偽装工作を施して、自殺に見せかけるつもりだったんだろう」
志鷹は、淡々と捜査で得た事実を語る。その声には、怒りや焦りではなく、ただただ事件を解決しようとする刑事の執念が感じられた。
「俺は、これからこのビルに踏み込む。奴らのアジトを突き止め、このライフルを押収する。そして、すべてを終わらせる」
「一人で行くつもりか?」
俺は思わず声を荒げた。相手はプロの殺し屋だ。志鷹一人で立ち向かうには、あまりにも危険すぎる。
「ああ。応援を呼んでいれば、奴らに勘づかれるかもしれない。俺が一人で潜入し、奴らを逮捕する」
志鷹の決意は固かった。俺は彼を止められないことを悟り、ただ、彼の無事を祈ることしかできなかった。
志鷹は、廃ビルの屋上へと続く階段を静かに登っていく。その手には、拳銃が握られていた。
一方、俺はアジトの場所から見える密会場所へと向かった。そこには、鳩崎支店長と志鷹建設の社長が、不安げな表情で互いを待っていた。彼らは、自分たちが殺し屋に狙われていることなど知る由もない。
俺は、志鷹の戦いを信じ、彼の無事を祈りながら、ただひたすらに待つ。この「コンビニ刑事」の戦いは、今、最大のヤマ場を迎えようとしていた。
志鷹が一人、廃ビルの屋上へと向かった。俺は密会場所で、鳩崎支店長と志鷹建設の社長の様子を伺っていた。互いに警戒し、誰も来ないかのように振る舞いながら、二人は顔を合わせるとすぐに話し始めた。
「予定通りだ。あとは奴を始末するだけだ」
鳩崎の声が震えている。だが、その背後に潜む殺意は明らかだった。
「ライフルか?」
社長が不安げに尋ねた。
「ああ。奴はプロだ。決して失敗はしない」
二人は、自分たちがターゲットにされていることなど露ほども知らず、まるで勝利を確信したかのように高笑いを始めた。その時、俺のスマホが震えた。志鷹からだ。簡潔なメッセージが、俺の心臓を締め付けた。
「見つけた。だが、ライフルはもうない」
俺は全身から血の気が引くのを感じた。ライフルがない? まさか、すでに発砲されたのか? 俺は慌てて密会場所の二人を見た。だが、彼らは何事もなくそこにいる。
「どういうことだ?」
俺は震える手で返信した。数秒後、再びメッセージが届く。
「奴は、ライフルを手に、このビルを離れた。俺は今、それを追っている。この先の秋葉原電気街の裏通りで、何者かと接触するようだ」
俺は、志鷹のメッセージに背筋が凍りつくのを感じた。ライフルが、まだ、どこかにある。そして、そのライフルを持った殺し屋が、今、秋葉原の街をさまよっている。
俺は密会場所を後にし、志鷹を追った。だが、俺はまだ、彼の真の目的を知らなかった。志鷹は、この事件の背後にある、もっと大きな闇を追い続けていた。
夜の秋葉原。ネオンが瞬く裏通りで、俺は志鷹の背中を見つけた。彼は、一つのビルを見つめていた。そのビルの入り口には、見覚えのある看板があった。
「ヤマザキデイリーストア」
なぜ、またコンビニなのだ? 俺は志鷹に駆け寄った。彼の表情は、何かを確信したように険しい。
「奴は、ここにいる。このヤマザキデイリーストアの裏口から、ライフルを持ち込んだ」
志鷹の言葉に、俺は信じられない思いだった。殺し屋が、コンビニの中に?
「奴の目的は、鳩崎支店長と社長を狙うだけじゃない。もっと大きな計画がある。このヤマザキデイリーストアが、その舞台になる」
俺は、志鷹の言葉に、彼の覚悟と、彼が背負っているものの重さを感じた。そして、俺は、彼と共に、この闇に立ち向かうことを決意した。
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