第19話 俺の生まれて初めてのプール、そしてヒーロー登場。
神宮寺家の、明らかに学生が乗るような車じゃない高級車の送迎によって、
俺たちは無事プールに到着した。
「で……でっかぁ……」
目の前に広がるのは、まるでテーマパークのような巨大レジャープール。
建物の屋根を突き抜けるウォータースライダー、噴水広場、軽食屋台。俺の知ってる市民プールとはまるで別世界だった。
「着いたよ〜!ゆかっち!」
「……すごい、ほんとに遊園地みたい……」
後部座席から降りた真桜さんと俺を見て、
翔がドアを閉めながら軽く笑った。
「俺も随分来てなかったなぁ」
「翔〜、来てくれて本当にありがとう!!心強いよ!」
「まぁ、真桜がどうしてもって言うからな」
(今日は真桜に感謝しなきゃな……
助手席に座ってた俺を完全無視して、
後部座席でイチャイチャしてたことは、まぁ許してやるか。
そのかわり…しっかり“拝ませてもらう”けどな……)
「兄ぃったら、誘った瞬間やけに張り切ってたもんね〜」
「おいおい、俺だって健全な高校生だ。ワクワクくらいするさ」
兄妹の掛け合いは相変わらず。
こうして見てると、ほんと普通の兄妹なんだよな……
いや、普通の兄妹がこんな高級車で来るか……?
「ここね〜、プールだけじゃなくて屋台もあるし、
遊園地みたいに一日遊べるんだよ!」
「プ、プールって……泳ぐだけじゃなかったの?」
「え?もしかして……ゆかっち、プール初めて?」
「あ、うん……その、学校の授業以外では……」
「そっかぁ……じゃあ今日はしっかり楽しんでね」
「裕香、これから思い出を作っていけばいいさ」
二人が一瞬だけなんか地雷踏んだような感じになって
言葉を選ぶように目をそらした。
でも、その気まずさを誤魔化すように俺は笑って言った。
「よ、良かったら……いろいろ教えて欲しいな!…なんて」
「おー!!ゆかっち任せなさい!!」
「俺も久しぶりに羽目を外すとしますか……!」
翔はサングラスをかけ、真桜さんはテンションMAX
この二人…見てて少し楽しいかも。
何はともあれ、まずは場所取り。
荷物を置き終えたところで、自然と男女に分かれて着替えへ。
「それじゃ兄ぃ、またあとでね! 行こ、ゆかっち!」
「う、うわっ!」
「おーう、ゆっくり着替えてこい」
(……ふぅ、精神を落ち着かせろ俺……今からが本番なんだ)
更衣室。
真桜さんに連れられて女子エリアへ。
うう……プールの更衣室って、なんか色々気まずい……。
しかし中に入ってみると――
想像よりずっと広くて、試着ブースもロッカーも整っていた。
人の多さに圧倒されながらも、どこか安心感がある。
「おお……なんか設備すごいね」
「でしょ〜? ここ結構いいプールなんだよ。
せっかくだから奮発しちゃった!
ほら、これなら恥ずかしがり屋のゆかっちも大丈夫!」
「あ、あはは……そ、そうだね……」
でもありがたい。
ちゃんとした区切りがあるおかげで、
変に視線を気にしなくていい。
(……まぁ、それでも思春期男子脳には刺激が強いんだけど……)
そう思いながら、なんとか着替えを済ませる。
白のオフショルダー水着。
鏡の中の自分を見ても、まだどこか現実感がなかった。
一方そのころ。
翔はすでに着替えを終え、プールサイド近くの日陰に場所を取っていた。
サングラスを掛け、クーラーボックスのドリンクを並べながら、ひたすら心を落ち着けようとしている。
「ふぅ……落ち着け俺……冷静に……」
そこへ――
「兄ぃ〜!おまたせーっ!」
「……っ!!!」
翔のサングラスの奥の瞳が、
一瞬で理性を吹き飛ばすほどに見開かれた。
プールの入り口に立つ真桜と裕香。
白とピンク、夏の日差しを反射するような二人の水着姿。
「……こ、これは……」
妹は健康的なグラマラス美、
そして隣には、控えめな白に包まれた、小柄な彼女。
「お……おぉ……」
(なんてことだ……スク水の時も良かったが、
白の水着にラッシュガードを羽織ったその姿……まるで天使……!
そんな彼女が俺の元へ向かってくるなんて……
ああ……今日、予定キャンセルしておいて本当によかった……!
明日、倍働こう……)
「兄ぃ?ねぇ兄ぃったら!」
「んっ!?あ、ああ……思ったより早かったな!」
「どう?兄ぃ、新しい水着!可愛いでしょ!」
「あ〜……似合ってる。真桜、お前は容姿だけは完璧だから、
あんまり露出の多いの着てると、また男が群がるぞ?」
「わ〜、反応薄いな
はいはい、それじゃ、ゆかっち!」
そう言うやいなや、真桜さんが俺の腕を掴み、
ぐいっと翔の正面へと引きずり出す。
「えっ……えと……へ、変じゃないかな……?」
翔は一瞬、固まった。
数秒後、絞り出すように声を返す。
「お、おう……ちゃんと女子高生らしくなってるぞ」
その言葉とは裏腹に、
翔は自分の太ももを思いきりつねっていた。
(ち、近い……近いっ!!
無理だ!!可愛い!めちゃくちゃ可愛い!!
目の前の天使が尊すぎて理性が死ぬ!!!)
「裕香も……変な男には気をつけろよ?」
「お、おう!気をつける!」
翔はそれだけ言うと、
すぐさま視線をそらし、背中を向けて歩き出した。
「もしかして……照れ隠ししてる?」
「ば、馬鹿野郎。妹とその友達の水着を
まじまじ見る方がどうかしてるだろ」
「ふ〜ん?そっかぁ!
女子高生らしいだって!ゆかっち、良かったじゃん!」
「ま、まぁ……取りあえず違和感ないってことだね……」
顔を赤くしながら、日焼け止めを塗ったり浮き輪を膨らませたり。
準備をする俺の横で、翔と真桜は少し離れたところで
小声で何やら話し込んでいた。
「……まったく。会社の息がかかってない場所で、
こうやって遊ぶのはあんまり好ましくないぞ。
真桜、お前、自分の立場ちゃんと理解してるんだろうな?」
「大丈夫だよ〜。要所に護衛は配置してあるし、緊急ボタンも持ってるし!」
「……それならいいが。目立つなよ。あくまで俺達は普通の高校生だ」
「わかってるって、兄ぃは心配性だなぁ」
そして二人は再び合流
「プールって……どうやって遊べばいいんだろう?」
「それはな、適当に浮き輪持って、はしゃげばいいんだよ!」
「そうそう、楽しんだもん勝ちってやつ!」
「そ、そうか……なるほど!」
翔の真面目な忠告と、真桜さんの軽いノリ。
俺は無邪気に笑った。
「よーし! じゃあ今日は思いっきり遊ぶぞーっ!」
真桜さんが元気よく飛び出す。
翔も仕方なさそうに後を追う。
初めてのプール楽しい!!
十八歳にして、心はまるで小学生に戻った気分だった。
解放的で、はしゃげる空間。
少しくらい羽目を外しても誰も気にしない。
何より、気さくで笑い合える友達がいる。
(前野裕貴……お前、今まで何も知らなかったんだなぁ……)
そんなことを思いながら、
俺は人生初のレジャープールを全力で満喫していた。
フードコーナー、流れるプール、波のプール
一通り遊び尽くした頃、ついにあのエリアへと辿り着く。
「あわわ……ほんとにここ行くの?」
「大丈夫だよ〜!こういうのが一番楽しいんだから!」
俺と真桜さんは、巨大ウォータースライダーの前に立っていた。
足元では水しぶき、上からは絶叫が響く。
そんな中、大きな浮き輪を二人で抱えて順番を待つ。
「次の二人組〜、前にどうぞ〜!」
「ひぃ……」
(やっぱりやめとけばよかったかも……)
恐る恐る浮き輪に腰を下ろすと、
真桜さんが俺の背中に腕を回して――
ギュッ。
「しっかり捕まっててね!」
「ひぃぃぃぃぃ!!!」
そのまま滑り出す。
視界が傾く。
水しぶきと風が全身を叩く。
「きゃははは!!!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!!」
歓声と絶叫が入り混じりそして、
ドッパーーーン!!
勢いよく水面へ着水。
「ぷはっ……!し、死ぬかと思った……」
「ふふっ、楽しかったでしょ?」
「……まぁ……ちょっとだけ……」
プールサイドで待っていた翔がタオルを手渡してくる。
「おーう、お疲れ」
「兄ぃも滑ればいいのに。一人で」
「いや……それは……淋しいだろ。
……裕香、大丈夫か?」
(どさくさに紛れて裕香とハグしてやがって……羨ましい……)
「う、うん……ありがとう……」
怖かった。
でもなぜか、心の奥がくすぐったい。
あの瞬間、怖いと楽しいが混じってた気がする。
「さて、少し休憩しようか!」
真桜さんの提案で、俺たちはデッキチェアのある休憩スペースへ戻っていった。
帰り道、プールエリアを抜けて休憩スペースへ向かう途中
周囲から、コソコソとした声が聞こえてきた。
「うぉ……めちゃくちゃ美人じゃね?スタイル良っ……ラッシュガードの上からでもわかる……」
「キャー!あの人かっこいい!あれ絶対モデルとかじゃない?」
うわぁ……案の定だ。
翔と真桜さん、完全に注目の的。
そりゃ、あんな美男美女が並んで歩いてたら誰だって振り向く。
(なんか……やっぱりごめん。俺、横にいるの場違いすぎる……)
自己肯定感がどんどん下がっていく中、
ふと別の方向から、今度は小さな声が聞こえた。
「いや……俺、あっちのちっこい子のほうが好みだわ」
「真ん中の黒髪の子も可愛くない?なんか小動物っぽくて」
え……?
今の……俺?
まさかと思っていたら
「ふふ……良かったね、ゆかっち。多分君のことだよ」
真桜さんがニヤリと笑う。
「まったく……チラチラ見てコソコソ言う奴ら、
言われる側の気持ちもわからんのかね」
翔は少しムスッとした表情でそう呟いた。
(なんか怒ってる?なんでだろ……)
複雑な気持ち。
でも、少しだけ……嬉しい気もする。
たぶん、真桜さんが選んでくれた水着のおかげだ。
今の自分が、ほんの少しだけ可愛いと思えた。
──そして休憩タイム。
それぞれ軽食を手に、木陰のテーブルでひと息つく。
真桜はドリンクを啜りながら、ゆるく微笑んでいた。
(あ〜やっぱりプール楽しいなぁ。
ここ最近ずっと忙しかったし、こうやって遊ぶの久しぶりだし。……ほんとはちょっとくらい、ゆかっちとナンパされて
おちょくって遊ぼうと思ってたけど……今日はもういいや)
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
「あ!私もー!ゆかっちは?」
「私は荷物番してるから大丈夫かな」
そう言って翔と真桜は連れ立って席を外した。
──数分後、二人が戻ってくる途中。
「桃香……! 大丈夫?」
「う、うーん……気持ち悪い……」
プールサイドの陰で、女子大生らしき二人組の片方がしゃがみ込んでいた。
頬は赤く、呼吸が浅い。肩が小刻みに揺れている。
「すみません、どうかしました?」
翔が声をかけ、真桜も隣にしゃがむ。
「大丈夫ですか?」
「と、突然……気分が悪くなって……桃香、無理しないで……」
「うっ……!」
女の子は言葉の途中で体を丸め、そのまま膝から崩れ落ちた。
真桜はすぐに支え、翔が冷静に周囲へ視線を走らせる。
「顔が真っ赤……体温上がってるな。熱中症の可能性が高い。君、水を持ってるか?」
「は、はいっ……これ!」
翔はペットボトルを受け取り、真桜に指示を出す。
「真桜、日陰のベンチへ。タオルで首と脇を冷やしてやれ。俺はスタッフ呼んでくる」
「了解〜!ゆっくりでいいから。深呼吸して下さいね?」
真桜はタオルを濡らし、丁寧に首筋へ当てながら優しく微笑んだ。
桃香の顔から少しずつ赤みが引いていく。
翔はスタッフを連れて戻り、的確に状況を説明した。
「軽度の熱中症ですね。念のため救護室で休ませてください」
スタッフが搬送していく中、真桜は息をつき、翔を見上げた。
「……やっぱり兄ぃ、こういうとき頼りになるね」
「まぁな、じゃなきゃ製薬の家の名が泣くからな」
ーーーー
ポツンと荷物番をしていた裕香。
スマホをいじるのも飽き、周囲のざわめきをぼんやり眺めていた。
「……暇だなぁ」
そんな時、後ろから柔らかい声がかかった。
「すみません、ちょっとお連れの方が呼んでるんですが、
男女の金髪の二人の友達?…ですよね?」
振り返ると、黒髪の爽やかそうな青年が立っていた。
清潔感のある服装に人の良さそうな笑顔。
見た目だけなら、まるで雑誌の読モのよう。
「えっ、翔と真桜さんが?」
「そうですね、すぐ近くで待ってるんで」
疑う理由もなく、裕香は2人の荷物を持って立ち上がる。
「わかりました……!」
──そして、青年の後をついて行った。
「〜それでね、やっぱりお金の使い方って大事でさ、僕も最近思うんだよ」
「……あ、はは……」
(え、なにこの人……話、長っ!)
翔たちが呼んでいるはずなのに、なぜか延々と雑談。
しかも歩くたびに人が減り、プールの喧騒が遠ざかっていく。
(え、どこ行くの?こんな人気のない方に……)
不安が胸をよぎった、そのとき。
「あの……翔さんと真桜さんは?」
「ん?あぁ、嘘だよ?」
「……え?」
青年の口調が変わった。
さっきまでの柔らかさが消え、妙に粘ついた声。
「いや、そんな怪しい奴とかじゃなくてさ。
君が可愛かったから、声かけたくなっちゃって。
良かったら連絡先とか」
「は……?」
瞬間、全身の血が引いた。
(なにこれ……最悪だ……!)
「……あ、あの、私、帰りますね!」
踵を返して走り出そうとした瞬間
ガシッ。
「いやいや、ここまで来ておいてそれはないだろ?」
「っ……!」
手首を掴まれる。
ぐっと力を込められ、腕に痛みが走る…逃げられない!
「ぶっちゃけ、俺のこと、少しはいいなって思ってたでしょ?」
「はな、して……!」
声が震えた。
足も、心臓も、止まらない。
こんなわかりやすい嘘、なんで信じたんだろう。
頭の中が真っ白になって、
怖さしか残らなかった。
すると…背後から低い声が響いた。
「おい……何してんだ、お前?」
振り向くと、そこには翔が立っていた。
いつもの穏やかな表情とはまるで違う。
眉間に皺を寄せ、怒気を隠そうともしていない。
「……あ?誰だよ、お前」
「その子の友達だ。離せよ。汚ぇ手で触ってんじゃねぇ、クソ野郎」
「はっ、ガキがイキってんじゃねぇ! 舐めんな!!」
男が怒鳴り、拳を振り上げ翔に殴りかかる。
だが──
ゴッ!!
鈍い音とともに男の体が翻り、翔の腕が鮮やかに絡み取る。
あっという間に地面に押さえつけられた。
「いてぇ!離せコラ!!」
「粋がってた割に弱いな」
冷静に吐き捨てる翔。
俺でもわかる、多分合気道みたいな奴。
男は罵声を吐きながら、尻尾を巻いて逃げていった。
「裕香……すまん!一人にさせた俺が悪い!」
「い、いや……俺も馬鹿だった。まんまとついて行って……」
「最近は変な奴が多いからな。……もう帰ろう」
そう言って翔が歩き出そうとしたとき、
思わず俺はその手を掴んでいた。
「ごめん……ほんとに怖かった……
このまま……握ってて、いいかな?」
「…………離れんなよ」
短い言葉。
でも、その声が妙に優しくて、胸が締めつけられた。
(迷惑かけたのに……こんなわがまま言って……俺、ほんと情けないな)
翔も、無言のまま歩きながら思考を巡らせていた。
(……俺もクソだな。あのナンパ野郎に、一瞬だけ感謝しそうになった……)
その手は離れなかった。
冷たくなった指先の温もりを確かめ合うように、
二人は無言のまま、陣地へと戻っていった。
なんやかんやあったあと、翔と裕香はようやく陣地へ戻った。
「ふぅ……ここまで来れば安心だな。まったく……真桜のやつ、どこ行ってたんだ?裕香が大変な目にあってたってのに」
「はは……でも、本当に助かったよ。ありがとう、翔」
「お前は……いや、最近は手口が巧妙なナンパも多いからな。真桜に後で対策聞いておけ。……それより、何もされてないか? ちょっと見せてくれないか」
「う、うん……手を掴まれたくらいだよ」
俺はラッシュガードを脱ぎ、さらけ出す。
「うっ……!」
「へっ?俺、なんかされてる!?」
「い、いや……大丈夫だ。むせただけだ」
(……ありがとう、裕香。とても、水着が似合ってるよ)
──その頃。
プールの裏道を、さっきの男が苛立ちまじりに歩いていた。
「クソッ、ガキが……あのガキ、絶対許さねぇ!帰り道は特定した、あの子を──」
「お兄さ〜ん、かっこいいね!今、暇かな?」
振り向くと、金髪の美女が立っていた。
ラッシュガードを脱ぎ、日差しを受けて輝く肌。
「おお!?君……いいね!俺を狙ってたの?」
男がニヤつきながら肩に手をまわす。
真桜は微笑んだ。
「ふふふ〜、どうかな〜?」
カチッ。
指先で何かのスイッチを押す。
「いやぁ、マジで可愛いな。この後ドライブとか──」
「貴様!!何者だ!!」
「へっ!?」
黒いスーツの男たちが現れ、瞬時に包囲する。
「真桜お嬢様!ご無事ですか!?」
「大丈夫!たぶんこの人……うちの研究を狙ってたみたい!私を脅してきたの!」
「なっ!?研究?俺はただ──」
「お前、神宮寺家の令嬢に危害を加えたな。連行する!」
「ま、待てって!!違──!」
男はそのまま連れ去られ、真桜は軽く手を振った。
「ばいば〜い!」
少しして、翔たちのもとへ駆け戻る真桜。
「ゆかっち〜〜!!!ごめんね!!ほんとにごめん!!一人にさせて!!私の責任!!」
神妙な顔で抱きつかれた…
「い、いや……私が無知だったから……真桜さんの責任じゃないよ」
ギリギリギリギリッ……!
「勝手に消えて、現れたと思ったら裕香に抱きついて謝罪……さっきまで何してたんだ?」
(こいつ……最後の最後まで裕香に抱きつきやがって……! 許さん!!)
「ん〜、ちょっとゴミ掃除?社会貢献だよ〜♪」
「……まったく、今日はもう帰るぞ」
「はーい!ゆかっち、怖かった?」
「う、うん。怖かったけど……それまで楽しかったし、翔が助けてくれて……ほんと良かった。二人には感謝してる!」
「おー!ゆかっち連れてきて良かったぞ!」
「ま、まぁ……裕香がそう言うならいいか」
(……手、繋げたし俺も最高だったけどな……)
帰りの車の中。
「ゆかっち、取りあえず最近のナンパ事情を説明するね!」
「あぁ……これは長くなりそう……」
「いや、聞いとけ。最近のは本当に厄介だ」
──色々あったけれど、
恐怖も、笑いも、全部ひっくるめて、
この日は確かに「夏の思い出」になった。
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