第24話:失われた楽園<ウシナワレタ・ラクエン>
カイトとリナは、エグゾフレーム・ユニバースを駆り、次の宇宙へと足を踏み入れた。そこは、色彩豊かで、まるで絵画のような美しさを持つ宇宙だった。しかし、その美しさとは裏腹に、リナの解析は、この宇宙が深い悲しみに包まれていることを示していた。
「この宇宙は、時間が……止まっている。すべての生命が、絶望のまま、時が止まってるのよ」
リナが、悲痛な声で告げた。この宇宙は、時空を操る存在によって、時間が停止させられたのだという。
ユニバースは、その止まった時間の中心、美しく輝く惑星へと着陸した。そこは、かつて多くの生命が謳歌していたであろう、楽園のような場所だった。だが、そこに生きるすべての生命は、笑顔を浮かべたまま、石像のように固まっていた。
「どうして……こんなことを……」
カイトは、言葉を失った。
その時、ユニバースのモニターに、この宇宙の時間の流れを止めた存在が姿を現した。それは、カイトとリナ、そしてクロノスに酷似した、巨大な女性型のエグゾフレームだった。
『ようこそ、時の超越者たちよ。私は、この宇宙の管理者……クロノ・イデア。』
女性型エグゾフレームは、悲しげな声で語り始めた。
『この宇宙は、未来に起こるであろう絶望的な出来事を回避するため、時間を停止させた。私は、彼らの悲劇を、見たくなかった……』
クロノ・イデアは、この宇宙の未来に、すべての生命を消し去るような、耐えがたい悲劇が起こることを予知した。彼女は、その悲劇を回避するために、時間を止めるという究極の選択をしたのだ。
「悲劇を回避するために……時間を止めた……」
リナが呟く。カイトは、クロノ・イデアの選択に、深い悲しみを感じた。彼女の選択は、一見すると救いのようだが、それは未来を奪う行為に他ならなかった。
「時間を止めることは、未来を諦めることだ! それは、希望を捨てることと同じだ!」
カイトが叫ぶと、クロノ・イデアは、静かに首を振った。
『諦めではない。これは、彼らを守るための、最善の選択だった……』
クロノ・イデアは、ユニバースに攻撃を仕掛けてきた。その攻撃は、時間を停止させる力を持っており、ユニバースの動きを徐々に遅くさせていく。
「くっ……時間が、思うように動かない!」
カイトが歯噛みする。しかし、リナは諦めなかった。
「カイト! 彼女の攻撃は、時間を止める力じゃないわ! 彼女の悲しみの心が、この宇宙の時間を止めているのよ!」
リナの言葉に、カイトは再びユニバースの力を最大まで開放した。彼は、クロノ・イデアの悲しみを、希望の光で満たすことを決意する。
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