第22話:混沌の宇宙<コントン・ノ・ウチュウ>
次元の管理者から新たな力を授けられたカイトとリナは、エグゾフレーム・ユニバースを駆り、別の宇宙へと旅立った。ユニバースは、次元の壁をやすやすと超え、光の帯となって未知の空間を突き進んでいく。
「リナ、この宇宙は……」
「ええ、カイト。私たちの宇宙とは、物理法則が全然違うわ。重力や時間の流れが不安定……まるで、生き物みたいね」
リナの解析通り、彼らが足を踏み入れた宇宙は、生命体のように脈動し、絶えずその姿を変えていた。そこは、色彩も、音も、匂いも、何もかもが混沌としていた。
その時、ユニバースのモニターに、無数のエネルギー反応が表示された。それは、彼らの宇宙のヴァージンに似ていたが、より攻撃的で、周囲の空間そのものを喰らい尽くしていた。
「これが、この宇宙の歪み……」
カイトは、息をのむ。彼らが対処すべきは、単なる生命体ではなく、宇宙そのものの病巣だった。
ユニバースのセンサーが、その歪みの中心に、微弱な信号を発している存在を検知した。それは、カイトたちがこれまで見てきた、どの文明とも違う、有機的な構造を持つ知的生命体だった。
『……助けて……未来を……』
信号は、悲鳴のような、しかしはっきりとした意志を持っていた。
「リナ、この存在を助けよう! 彼らは、この宇宙の歪みに、絶望しているんだ!」
カイトは、迷いなくユニバースを加速させた。しかし、歪んだエネルギー体は、カイトとリナの機体へと襲いかかる。ユニバースは、次元を操る能力で、エネルギー体の攻撃をかわし、その懐に飛び込んでいく。
「シンクロ・ユニバース・ドライブ、起動!」
カイトとリナは、二人の心を一つにして、ユニバースのエネルギーを最大まで開放した。それは、歪んだエネルギー体に触れ、その根源的な絶望を、希望の光で満たしていく。
すると、エネルギー体は、悲鳴を上げ、その姿がゆっくりと変化していく。カイトとリナは、その変化の瞬間に、彼らがこの宇宙で経験した、絶望の歴史を読み取った。
この宇宙は、時空を操る存在を崇拝し、その力を暴走させた結果、現在の混沌とした状態に陥っていたのだ。そして、彼らが助けを求めていたのは、その暴走を止めることができず、絶望に囚われた、この宇宙の管理者だった。
「俺たちが、この宇宙の未来を創る!」
カイトは叫び、リナと共に、ユニバースの力で、この宇宙の歪みを、少しずつ修復していく。彼らの行動は、混沌とした宇宙に、秩序と希望をもたらす、新たな物語の始まりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます