第2話 侍魔法言語開発で最強
日本語で点火の呪文を唱えた。
魔力効率がシャール語と段違いに良い。
魔力が減る感じが全くない。
おそらく3大門派が秘匿してる魔法言語より凄い。
いや、この世界の日本人の異世界人なんて、俺だけだと思う。
だが、呑気に呪文を日本語で唱えまくったら、きっと解析されてしまう。
日本語は複雑だが、何が名詞で何が動詞とか、そういうのが判ったらかなり理解は早いはず。
雑談の時に聞いたが、魔法の呪文はできるだけ小声で話すのが良いらしい。
ただし、魔法は万能なので、過去の音声の音量を大きくしても拾える。
才能と魔力量が必要で、全員ができるわけではないが。
もちろん対応策もあるらしい。
教えてはもらえなかったが。
日本語がチートだからと言って、討伐とかで派手にやってると、どこかの門派に目をつけられるのは必死。
暗号化しかないな。
これなら、絶対に解けるから、ルールには抵触しない。
どういう暗号で行く?
脳の知識を読み取る魔法があるかも知れない。
呪文を盗もうとする意識も読めるのだからな。
となると俺が普段、使ってない言語だ。
無駄骨かも知れないが、対策のひとつ。
知らない言語を組み合わせるか。
よし、決めた。
まずは日本語で、【喰クル翻訳】、有名翻訳サイトの名前を唱えた。
駄目みたいだ。
おそらく、ネット環境がないからだろう。
ええい、神様お願いします。
「【ゴッド翻訳】、おお、行けた!」
頭の中に翻訳窓がある。
日本語から、英語に。
『テスト』という日本語を思い浮かべる『TEST』と脳内に表示された。
よし成功。
次はアルファベットからモールス信号、『A』を思い浮かべたら『トン・ツー』と脳内に出た。
よっしゃ、成功だ。
神様翻訳、お世話になってます。
英語を全く知らないわけではないが、ネイティブ並みに話したりはできない。
名詞なんかほとんど忘れてる。
モールスなんかひとつも覚えてない。
ただ仕組みは知ってる。
ここで俺の【文字置換】スキルを使う。
ツーを普通の文字を1文字に、長音記号(ー)、小書き文字(ぁぃぅぇぉゃゅょっ)、『ん』のどれかを1文字付け加える。
これに置換。
トンは普通の1文字に変換。
簡単に言うと『A』は『トン・ツー』だから、文字置換して『ふ・むっ』みたいな感じかな。
もちろん、『あ・あー』でも『う・うん』でもトン・ツーの変換ルールに合ってれば、問題なし。
そして1文字の区切りは『。』と『……』と『!』と『?』と『♪』。
単語の区切りは『(幕)』。
呪文をメモする時はひらがなとカタカナだけでなくて、漢字も使う。
もちろん読みに変換してから、『ツー』かどうかの長音記号(ー)と小書き文字(ぁぃぅぇぉゃゅょっ)と『ん』を判断する。
シャール語って日本語にそっくりなんだよな。
発音と文字は違うけど、ひらがなの基本は46文字で日本語と一緒。
漢字みたいなのも形と発音は違うけど存在する。
恐らくここはパラレルワールドか、過去に俺みたいな日本人が来てた。
昔はシャール語を魔法言語として使っていたのかも知れない。
広まって神秘性が低くなって、魔法言語としての性能が落ちた。
そういう歴史は暇になったら調べよう。
英語とモールスと文字置換で作ったのがこれ。
『A』を『ふむっ。』に。
『B』を『そっ、そちは?』に。
『C』を『くっ、無念だ……』に。
『D』を『じゃのう……』に。
『E』を『む……』に。
『F』を『籠城。』に。
『G』を『かっかっか!』に。
『H』を『討ち死に!』に。
『I』を『殿!』に。
『J』を『ご乱心じゃ!』に。
『K』を『一揆じゃ!』に。
『L』を『いかん退け!』に。
『M』を『ドンドン(太鼓)♪』に。
『N』を『天下。』に。
『O』を『さっ、一献。』に。
『P』を『武者じゃな。』に。
『Q』を『所詮、使者。』に。
『R』を『謀反だ!』に。
『S』を『掛かれ!』に。
『T』を『おー!』に。
『U』を『槍じゃ。』に。
『V』を『褒美じゃ。』に。
『W』を『そりゃりゃ!』に。
『X』を『切腹じゃ!』に。
『Y』を『なんと、間者!』に。
『Z』を『戦乱よな……』に。
『 』を『(幕)』に変換。
名付けて侍魔法言語。
もちろんパターンがひとつだと解析が容易い。
なので、語句の別バージョンはいくつか作る。
ちなみに、戦国シミュレーションゲームが好きなので、この語句にした。
時代劇のドラマも好きだけど。
『GOD translation』(ゴッド翻訳)これを試しに変換。
『かっかっか!さっ、一献。じゃのう……(幕)おー!謀反だ!ふむっ。天下。掛かれ!いかん退け!ふむっ。おー!
こんな呪文で翻訳魔法だとは誰も思わない。
解析するにはかなり混乱するはずだ。
日常に使ってる言語だものな。
しかし、宴会好きで戦好きの殿様だな。
酒盛りしてたら、謀反発生かよ。
あっさり負けて、逃げた先で家来と酒盛りして、天下とか言うのは無能過ぎる。
俺が家来だったら、迷わず謀反する。
呪文はツッコミどころ満載だ。
まあ、ランダムに近いからな。
これが、英語+モールス信号で、文字置換だとはばれないだろう。
この世界にはない言語だからな。
でもルール違反ではない。
英語、モールス信号、文字置換も解析できる。
現代の地球だとクジラの声を解析できたりするからな。
ちなみに俺の文字置換スキル。
変換リストを作れる。
バージョン毎にリストを作成して、気分でリストを変えればオッケー。
パルメとの雑談に出てきたんだが、魔法学会ってのがあるらしい。
魔法言語の研究の発表の場。
良い研究の発表には褒賞金がたんまり出るらしい。
これって、門派が、研究成果をいいとこ取りだよな。
俺のが盗めるなら、盗むが良い。
魔法言語だが、発音をそっくりなぞっても意味がない。
どういう意味かとか、その言語を理解してないと魔法は発動しない。
侍魔法言語を理解するなら、英語、モールス信号、文字置換ルールとシャール語を理解してないといけない。
別パーションが完成したら、さらに混乱するに違いない。
だって同じ『A』の文字が『ふむっ』、『ああー』、『ううん』と気分で変わるんだからな。
ひとつの文字に複数の意味不明な読みは、かなり混乱するに違いない。
とりあえず、魔法の実験をいくつかしてみた。
精神魔法防御を俺自身に掛けると精神魔法での攻撃が出来ない。
密閉した部屋の中にいて、外に物理攻撃ができないのと一緒か。
とりあえず色々な防御魔法を掛けておこう。
もちろん、魔法は侍魔法言語で行った。
過去視の魔法とかあると不味いからな。
侍魔法言語の魔力効率はすこぶる良い。
俺しか知らなくて、複雑で、表現方法も多彩。
さあ、魔法学会に出るために大学都市エーゼルに移動だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます