8・業火の日

 武人は個室を離れていた。


 愛嬌湾内に潜む[ラストコア]本部の撤退作業に移っていたからだ。


 マルロ戦の任務につく者だけを残し、皆機器等の移送に専念していた。


 武人は他の[ラストコア]のスタッフと共に、アメリカ東部海底の臨時支部で身体を休めていた。


 回復は順調で、横たわっていない。


 臨時支部の個室で、武人は壁際のモニターの映像を観ていた。


 これから始まる[宇宙犯罪者]のHR、マルロ・ヒーストンとの対決の中継だった。


 4つのカメラで撮影されており、画面も4分割で表示されていた。


「マルロも子供らも出た頃合いやな」


 武人は常温のお茶を飲んだ。


【パスティーユ・フラワー】が手持ちのロッドを振るい、放射攻撃でマルロの部下を蹴散らしていた。


「頼むで君達。地球を守るには、君達現地人の強い意志が必要なんや。俺は庇うのはできる。でも他力本願ではいつかボロが出てしまう。力は貸した。あとはうまく、力を使いこなしてくれ」


   ★★★


 マルロはHR形態【チタン・キュレン】にチェンジしていた。


 火炎爆発が頻繁に起きている今の地球 へ、降りてきた。


 元々[ラストコア]本部を仕留める目的で地球の近くで滞在していた。おかげで地球降下に時間を要さなかった。


 目の前で、自分の仲間の散り様を確認した。


 これまでの戦闘でも、仲間が散る姿を何度も目視していた。


 今更焦りも後悔もないはずだが。


『何だ……? 強化でも施したのか?』


 マルロは得体の知れない不安を感じ取った。


 HRは機械生命体と似ている為、倒すと爆発を引き起こしやすい。


 大爆発を起こせば、装甲に傷がつきそうだが。


【パスティーユ・フラワー】に傷跡がなかった。


 前回の戦闘から経った期間は短かったのに、地球産のロボが強力になったとマルロは感じた。


『問題は消費だ。耐久性に優れても、エネルギーが枯渇すればいつかはやられるだろう』


 マルロはたかを括っていた。こちらに分があると思ったからだ。


 適当に相手してやろう。


【パスティーユ・フラワー】との距離は近い。


【チタン・キュレン】はロッドを上に掲げ、立方体の弾を1つ繰り出した。


 弾は【フラワー】へ向かわせた。


『まずは小手調べだ。すぐ避けるだろう』


 マルロはフッ、と笑っていた。


 次の弾を用意する、時だった。


【パスティーユ・フラワー】のとった動きが、おかしかった。


 弾は案の定避けた。次の行動だった。


【フラワー】は【チタン・キュレン】に背中を向け、離れるようにダッシュした。


『逃げるのか!』


 マルロは動揺した。あれだけの仲間を落としたのに、自分に挑まないのが気に食わなかった。


『残っている者で【フラワー】の進行を妨げろ!挑むのは俺だけでやる!』

『わかりました、うわぁ!』


 マルロの部下は指示に従う所で、【パスティーユ・フラワー】の連射攻撃をくらい、沈下した。


 部下がどれほど束になっても、【フラワー】の敵ではなかった。


『無駄に落ちるだけか……!』


 仕方がない、とマルロは考えを改めた。


『隊長!』

『【フラワー】の相手は俺がする。お前達は火炎爆発の鎮火と[ラストコア]の拠点占拠に専念してくれ』

『わかりました! ご無事で!』


 理由が不明のまま遠ざかる【フラワー】を追う為、マルロはHR形態のまま猛ダッシュを始めた。


   ☆☆☆


「和希兄ちゃん、マルロは追いかけてる?」

『今は順調だ。異常がなければ、このまま諸島の火山帯に誘導してくれ』

「わかった!」


 私は【パスティーユ・フラワー】でマルロを攻撃、していない。


 私達には奇策があったからだ。


 奇策を実行する為に、私はあえて『逃げていた』。


『エネルギーの消費には気をつけてくれ。放射攻撃で1割が減少だ』

『数多すぎるんだよ、あいつら』

「あとは王子達とAIで倒していくんだね?」

『俺達はマルロだけ専念すれば良いって事だ。どうやら彼も、単騎で挑むつもりらしい』

「ほんとだ」


 私はモニターの地図を少し確認した。


 1体だけ、群れから外れていった敵の赤い点があった。


『予備のエネルギーの補充操作は完了しておく。このまま諸島まで加速してくれ』

『攻撃してこないか?』

「弾を打ってきた時はうまくかわすわ。バリアだけは作動させて」

『了解だ』


 和希兄ちゃんからの反論はなかった。


   ☆☆☆


『加速した? 本気で逃げるのか?』


 マルロのHR形態【チタン・キュレン】も、【パスティーユ・フラワー】につられてスピードをあげた。


【フラワー】側の攻撃は、今回はマルロに対して一度も仕掛けてこない。


 このまま逃げ延びるのを押し切るのか……? ここでマルロは疑問に思った。


 逃げる行為は、戦う意志がないと同等の考えでもある。


 戦意がなく、さらに意思疎通が不可能となれば、逃げる選択肢が生まれる。


 ところが、先程の【フラワー】の攻撃を見て、[ラストコア]に戦意損失の意図がなさそうだった。


 自分の仲間達を、容赦なくほぼ1撃で壊滅させたのだから。


(何か、策を考えているな……?)


【チタン・キュレン】の動作が止まった。


 マルロが一旦、思考を整理しようとして。


 HRは変身型なので、操縦席の概念が存在しない。


 周辺の地形の確認は、ほとんど頭部のカメラアイがメインだった。


『周りは海だらけ。だが、もう少し遠くを見れば……』


【チタン・キュレン】のカメラアイは、視界を広げた。


 マルロは海以外の地形を発見した。


『岩だらけの山々か。なぜあそこには、緑がないのか? もしや、火山か……?』


 その時、マルロの心臓にズキっと痛みを感じた。


『う……、まさか、炎?』


 マルロは動揺してしまった。


 天王星圏スイルの民であったマルロは、種族柄水中でも暮らせる生物でもあった。


 海王星圏ミラニアのニシア・ぺディルドみたいに、海洋生物と密接した生物ではない。


 しかし、天王星圏の星々は基本、氷で覆われた冷水の中で生活してきた。


 はっきり言うと、マルロは海などの水中戦が楽だった。


 だと言うのに……、【チタン・キュレン】の武装は、水中戦では弱体化するという矛盾が生じた。


 水中戦が得意ならば、水中に特化した武装も持つはず、だが。


(俺達[ヒーストン]は幼少期から虐げられてきた。スイルの種族柄、小柄な体躯は他の族にとって格好の獲物だったんだ。星も幾度か移っている)


 生物とロボットの禁忌の子供であるHRは、嫌われ者の存在。


 故郷のスイルでも拒まれて、帰ることができなかった。


(だから、この星の海で静かに暮らしたい。地球人に海底の生活は無理だ。ならば、俺達の故郷にしてもいいだろう)


【チタン・キュレン】の方向は、岩山と逆向きへ変わった。


   ☆☆☆


『ちょっと止まってくれ、未衣子!』


 和希兄ちゃんが言った。指示通り、私は【パスティーユ・フラワー】の動作を止めた。


 地図は岩山近くで固定していた。


「どうしたの和希兄ちゃん」

『マルロが向きを変えたみたいだ。』

『逆に向かってるぜ!』

「まさか……気づかれたの?」


 気づくの早いな、と私は思った。


 だけどマルロはかなりの戦略家だったので、聡明だから有り得そう、とは予想していた。


 予想していたから、気づかれる可能性はあった。


 私も、次の手立てを実行した。


「和希兄ちゃん、逆方向に火山帯がある地域は?」

『この方向だと、アジアに行ったか……』

『日本に戻ったらマズイだろ!』

『日本はないだろう。火薬爆弾を仕掛けていないんだ』

「世界の都市部は火薬爆弾の設置は避けているんだよね」

『田園地域でも居住地・農耕地等の営みのある場所は避けてもらっている。マルロの軍は火薬爆弾の鎮火に割合を割いているみたいだからね』


 他には[ラストコア]本部への侵入部隊も確認したけど、そこも見逃していいと、アレックスさんが言った。


 愛嬌湾内の[ラストコア]本部は移転が即座に決まり、多くのスタッフや機械は潜水艦を利用して臨時支部に移った。


 臨時支部はアメリカ東部の海底にあるらしい。私達も戦闘後はそこに行く。


 今[ラストコア]本部にいるのは、マルロ戦に参加する一部のスタッフとAIのみだった。


 アレックスさんと西条司令は本部に残り、ジェームズさんと武人兄ちゃんは臨時支部に移っていた。


『ここはあえて、追いかけるのはやめよう』

「え? なんで?」

『しばらくマルロの動きが見たいんだ』

『もしアイツが攻撃を仕掛けてきたらどうするんだよ?』

『その時は駆けつけよう。憶測だけど、多分俺達にしか眼中にないかもしれないぞ、あの男』

「そんな人が他の行動を取れるとは思えないよね」

『同情したくねぇけど。不憫だな、アイツ』


 勇希兄ちゃんは本当に優しい。


  ☆☆☆


【パスティーユ・フラワー】が諸島付近の海上に止まって、数分が経過した。


『追いかけて……こない?』


【チタン・キュレン】の頭部が左右に動いた。


【フラワー】の姿が見えない事に気づいたのだ。


『何故だ。俺を逃すと地球が危ないと判断しているのだろう? 何のつもりだ』


 マルロはますます、思考が回らなくなったと嘆いた。


 もう一度、冷静になって周りを見渡す事に決めたのだった。


(先程の方向へ戻るか……いや、あの諸島には火山帯があった。下手をすれば俺が放り込まれる……! そうだ)


【チタン・キュレン】の行動は早かった。


 彼は北を目指したのである。


 マルロの考えた北とは、北極の事だった。


 熱や炎に弱い分、水や氷に強いマルロの身体は、極寒の北極には最適だった。


『戦略とは、自分に有利な様に状況を変えるんだ。原始の地球人には長時間、寒さに耐えられないはずだ』


 マルロには攻撃する敵がいない為に、自由に動き回れたのだった。


『俺を1人にさせたのが盲点だったな! 哀れなガキども!』


 マルロは調子良く言い放つと、【チタン・キュレン】のスピードを上げた。


 軍隊の戦闘機の倍のスピードを出していた。


『こっちは幾度の戦闘経験を積んでいる! マグマの罠なんかに引っかかるものか! ガキが引っかかればいいさ!』


   ☆☆☆


『まずい、この速度にこの道のりは……!』

『兄貴?』


 和希兄ちゃんの反応がおかしかった。


 私も同じ様に地図を再確認した。


「北極へ真っ直ぐに向かってる……?」

『な、新幹線より速くねえか!』

『自分に有利な方に置きたいって訳か……』


 和希兄ちゃんの言い分に私は納得した。


『どうすんだよ! また同じ手でやられるのかよ!』

「勇希兄ちゃん、はっきり言うけど心理

作戦は通用しないわ。きっと他の手よ」

『アイツは寒さに強いが、俺達は【パスティーユ】に力を借りた普通の人間だ。寿命が縮むのは、俺達の方だ』


 私もつくづく思うよ。宇宙人の能力は便利だなと。正直嫉妬している。


 地球を壊すのに注げる力を、他の方法に利用すれば、平和に繋げれるのに。


 今は感傷的になっている暇はない。マルロは自然の利を生かして暴走を始めるだろう。


 HRの能力をフルパワーにさせたら、勝ち目はない。


 残された手段は……1つだけ。


 私達兄妹で考えた作戦。


「アレックスさんに連絡をつけて、仮想空間を展開しよう?」

『え?』

『アイツ素早いんだろ! 偽物ってすぐにバレるって!』


 勇希兄ちゃんはうるさいなぁ。吠えられても仕方ないのは明らかだけど、状況的に。


「ダメ元でも展開してもらおう? 北極と南極にはやってくる可能性はあったし」


 実は私達が期間継続の申請書を出した時に提出した作戦案は、実現が困難だった理由で却下された。


 ところが、アレックスさんが部分的にはギリギリいけるだろうと検討してくれて、北極と南極の極寒地を指定した。


 指定地に仮想空間を本物の様に見せるホログラム装置を事前に設置してもらった。


 その実現が、今こそ叶う時が来たんだ。


「私達は心理的ダメージをくらったけど、敵は何もくらっていないんだ。せめて同じ様な痛い目に合わせてみたいんだ。恐怖心を煽る効果って、強いんだから」

『俺も同じかも。アイツ許せねぇよ。妹を傷物にしやがってよ……』

「あの時よりは、大丈夫」

『馬鹿野郎! 俺や兄貴は凄く心配したんだぞ! お前の身体を!』

「勇希兄ちゃんが私の代わりに涙を流してくれているのは知っている。私の涙はいじめの時に枯れ果ててしまったんだ。

 読書で感動体験を試みても、無駄だったし」

『きっと、泣ける時くるって』


 勇希兄ちゃんが涙を流した。


 私の事になると感情移入して、喜怒哀楽を表に出してくれる勇希兄ちゃん。


 ごめんね、私の我儘を庇ってくれて。


『未衣子、アレックスさんには展開の要請を依頼したぞ』

「あ、ありがとう」


 和希兄ちゃんが準備を進めていた。


 そうだ、今はまだ戦闘の序盤なんだ。


 マルロを落とすのが先だ。昔話は戦闘が終わってから。


 全然良い思い出がないんだけどね。


 共感する兄達がいるから、いいかな。


「進路は北極でいいよね、和希兄ちゃん、勇希兄ちゃん!」

『ああ!』『おう!』


 2人の兄は肯定の意を示してくれた。


 北極へ向いて、【パスティーユ・フラワー】は加速を上げていった。


   ☆☆☆


 マルロは心の底から、ずっと笑っていた。原始の地球人は愚かだと。


(幾度の仕掛けを考案したこの俺が、地球の地理を知らないはずがないだろう! 山々はあれど、マグマを蓄える山は限られている!)


 彼は嬉々として真っ直ぐ北極へ猛発進していた。


 勝利を確信していたのだろう。


『さあ、最強の俺に挑んでくるがいい! それとも怖気付いたのかな? [ラストコア]も襲撃しているのだ、防波堤を張るのに必死かな?』


【チタン・キュレン】の頭部だけ、後ろを向いていた。


 敵の【パスティーユ】に向けて、言葉を発していたからだ。


 この時、マルロはロボに気を取られすぎた。


 地球の空は、雲がなければ青い。北極は氷の影響で、地面は白い。


 知識が浅くても、地球人には想像がつく景色だ。


 北極まであと少し。マルロは自分の来た道のりを間違えたのかと疑った。


 空にポツポツと黒い点。点は黒い雲へと成長していく。


 雲に同調したのか、空の青さも濃くなった。


 空の変化は然程気にならなかった。


 雪でも降らせるつもりだろうと予測できる のだから。


 マルロが疑いを抱くと共に怯えるようになったのは他の現象が原因だった。


 氷の地面が揺れて、ヒビが入った。


 割れて砕かれ、吹き出したのは氷水……ではなかったのだ。


 なんと、高熱の真っ赤な泥だった。


 マルロはこの泥が何か、一目でわかった。


『溶岩か!』


 溶岩の勢いは激しく、遠くの距離まで飛沫が飛んでいった。


 火の粉の様に飛びかかる溶岩のかけらを、【チタン・キュレン】は必死に回避した。


 回避自体の難易度は彼には易しすぎるレベルだったが。


『ちょっとでもやけどしたら……』


 元々氷や雪に慣れていたマルロには、高熱の炎は恐怖の対象だった。


 彼は過去に8つの星を滅ぼした[宇宙犯罪者]である。


 星の制圧行動時、滅ぼされた星の民の猛攻は幾度もあった。


 中には炎を駆使した種族もいたのだ。


 マルロは臆病者になり、部下を使役してその星を潰したのだった。


(部下達はよくやっている。臆病者の俺を、十二分に支えてくれている。複雑なロボの【パスティーユ】は俺が沈める。逃した俺の責任だ!)


【チタン・キュレン】の頭部は左右に振った。炎に怯えるマルロ自身を立て直す行為なのだろう。


 氷一面だった白い光沢は、一瞬で真っ赤に染め上げられた。


 マルロに、【チタン・キュレン】に足場がなくなっていった。


 燃え盛る溶岩だらけで、落ちたら1発で機体が溶ける状態にまで変化していった。


 空は黒い雲に覆われ、落雷の瞬間も捉えていた。


『冷静に考えると、急に気象が変化するとは』

『最近の地球は異常気象に見舞われてるよ』

『!』


   ☆☆☆


【パスティーユ・フラワー】で北極までたどり着いた。


【フラワー】はスピードが低めだから、速度をあげるにはエネルギーが必要だった。


 和希兄ちゃんが計算してくれて、最短距離で北極に行けた。まだ約8割は残している。


 北極と海の境目付近(地図上)で立ち止まる敵を見つけた。


 マルロが地球の異常気象について言及していたので、日常茶飯事だよと返しておいた。


 正確には、簡単な話し言葉だけで済んだけど。


 マルロはこっちを向いてくれた。もうこれで、戦闘を再開できるね。


 でも、マルロは鼻で笑ってきた。


『フン、どうせ北極限定だろう。入らなければ』


【フラワー】は既に動いていた。速度を上げてのタックルだった。


 お喋りを始めたんだから、隙があるなぁと思って、レバーを前に強く倒したんだ。


『未衣子! 移動にエネルギーを費やしすぎるな!』

「大丈夫、中に押し込むだけだよ」


 仮想空間だから、擬似マグマに沈ませても無駄だし。


 お喋りなマルロは予想通り、回避しなかった。


『え、な、うおっ!?』


 変な声をあげてすぐ、球状のバリアを張った。


 私達はそれのせいで弾かれた。咄嗟の防御で威力自体は弱かった。


「怯えすぎ。溶けて無くなるのはこっちも同じなのに」

『何?』

「私達も熱に弱いからね」


 そうしないとフェアじゃないでしょ? と付け加えておいた。


『どこまでも、愚かなガキ共だ』

「ここからは勝った人しか出られない。そういうルールでいこうよ」

『ほう……』


 ロボ形態の状態だと、はっきりとした表情はわからない。


 いまだにニヤついている事は、声だけでもわかる。


 彼の自信過剰さを、今ここでへし折るんだ。


「私はこのまま戦う。こっちがいいんでしょ?」

『短期間しか、しかも顔を見合わせてないくせに、わかった風にいいやがる』

「もう決着ついたらバイバイだからね。じゃあ、お喋りはおしまい」


【フラワー】のロッドは既に光の弾を出していた。


 ロッドをバトンの様に振り回しただけで、光の弾達は勝手に動いてくれた。


 方向は【チタン・キュレン】。マルロへ一直線。進行速度は素早いはずだ。


 軽くあしらわれたけど。猛スピードで北極に向かった男なんだ。


【フラワー】の普通の攻撃で負傷するわけがないのは、把握ずみ。


『弾遊びの続きをやるつもりか? 効果がないのはわかっただろう』

「悪いけど、今はただのお遊びだからね」


【フラワー】はロッドを上に掲げた。


 先端のくす玉の真上から、淡いピンクの光を放つ。


 豆球のような小さな光は、時間を経て大きくなっていく。


 弾が大きくなり、両手で支えた。


 大きな塊の様に見える光は、実は小さな光の弾の集まりだった。


 ロッドを倒したり振り回したりするだけで、光の弾の一部が離れていく。


 それは、花びらが散っていくような光景。


 ロッドを横向きにし、光の弾の集まりをマルロに向けて、放った。


 大部分は桜吹雪みたいに勢いよく飛んだ。


 ごく少数の光の弾は、【フラワー】に降りかかった。


 耐熱性の優れた【フラワー】なら、演

出用みたいにフラフラ飛ぶ光の弾なんて、何も怖くない。


 単調なビーム砲ではない攻撃。


 数の暴力で、敵は押し潰されるだろう。


 射程範囲も広いから逃げられない。


 マルロはぎこちなくなるだろう。


 これも避けられないけどね。


[宇宙犯罪者]級のHRに、並大抵の必殺技は通用しない。


 だから、何か追加技を入れないと、思ったダメージは与えられないだろう。


 桜吹雪みたいな光の群れに動けないマルロに、私は突撃を試みた。


 魔法みたいな技と違う、物理攻撃での不意打ちを。


 桜吹雪の光はすぐに消えていった。


【チタン・キュレン】の姿も丸見えになった。


【フラワー】との距離は至近距離。


 ロッドを両手で持ったまま、底の宝石部分を【チタン・キュレン】の正面に突きつけていた。


 底が細いんだから、彼の心臓部分に突き刺せるだろう、との考えで実行した。


 やっぱり、まだまだ爪が甘かったみたいで。


【チタン・キュレン】の両腕が、彼の心臓部分を守ったのだ。手前にあった左腕は貫通した。


 根本的に機械の一部だからか、貫通した穴からビリビリと稲光が出ていた。


『随分と早い成長だな。奴のものまねのつもりか?』

「目で盗む方法もあるのよ」

『奴は無口だったな……』

「そうでもないわ。私達とは仲良く会話できてるよ」


【フラワー】は【チタン・キュレン】から距離を離した。


 ロッドは右手だけで持った。


「自発的に学ぶ意識を持たないと、成長しないでしょ?」

『意識の方向性を間違えたな』

「何とでも言えばいいわ」


 挑む姿勢を改めて見せるように、ロッドの先端をマルロに向けていた。


「もう一度言うよ。勝った方が灼熱の地帯を脱出できるからね」

『今のうちに吠えとくがいいさ。平穏な日常に戻れない事を、後悔するがいい!』


【チタン・キュレン】のロッドの先端も、照準は私達に定められていた。


   ☆☆☆


[ラストコア]臨時支部。


 武人はジェームズとマルロ戦を観ていた。


 ちょうど北極と海の境目に設置された、数十個の仮想空間の展開装置が起動した頃合いだった。


「見抜くとは、思ったんやけどな……」

「簡素なつくりだしな」

「それ程アイツにとって、炎はトラウマやねんな」

「交戦経験あるの……だったか?」

「ニシア程やない。天王星圏はHR多いんや。【ホルプレス】になった奴もたくさんおる」


 武人は以前から、マルロの噂は聞いていたのである。


『かなりの戦略家のHRがいる』とクーランから聞かされていた。


 HRは大抵が、権力持ちに拾われる存在だった。


 王家、軍隊、研究機関など。幼少期から拾われ、使役される存在。


 指示や命令等、彼らには常に任務が与えられていた。それを消化する日々が続いた。


 結果、戦闘要員として育成されたHR達に、思考能力が育ちにくかった。


 ロボ形態に変形するよう改造された肉体で、十分生物を倒せるからだ。


 ところが、HRの人口が増えていくにつれて、HR同士の争いも増えた。


 同じ力を持つ者でぶつかる場合、能力は拮抗する。


 ただの力比べの勝負では生き延びれないHRも増加した。


 そこで、HRを従える権力を持つ者達を筆頭に、HRの『差別化』を図ったのだ。戦略も技術も一新した。


 生物側の遺伝もくまなく調べた。


 星々によって、生物達の能力も変化するからだ。


『差別化』で、HRに個性が生まれた。


 ほとんど戦闘能力による差であり、性格などの内面まで変化はなかった。


 今でもHR達は、権力の強い者に依存してしまうのだった。


「マルロって奴なら独立できるだろ?」

「アイツのように自らで思考して知で攻略するHRはそうそうおらん。賢い子はおるけどな、権限を任せられる奴は少ない。多分、他の理由やな」

「他?」

「地球も似たとこあるやろ? 資金源やら拠点やら……独立するには準備が必要なんや」

「そのクーランとは……」

「協定を結んだ形ちゃう?」


 個室内のモニターから、大きな音がした。


 もちろん映像の音声だが、音量に迫力があったのだ。


「障害物はないんだがな……」

「やっぱマルロは罠を仕掛けんのが得意やな。脱出を防ごうとしとる」

「張本人が全く動かんな。【フラワー】は動きすぎではないか? 耐えられるのか?」


 ジェームズは未衣子達の勝敗の行方を心配していた。


 エネルギー切れはHR以外のロボの活動を停止するからだ。


「いや、あの子らはもう心に決めとるんや。ギリギリまで粘るかもな。もしもの時の予備エネルギーも持参しとる」

「勝てるか?」

「勝てる。今のあの子らに迷いはなくなったんや」


 ジェームズは武人の目を見ていた。


 いつも眼鏡をかけていた武人だが、今は外していた。素顔の武人だった。


 彼の目は真っ直ぐだった。


 どこにも行かない、真剣な眼差し。


 ジェームズは武人の瞳から、燃え上がる闘志をひしひしと感じていた。


「久しぶりに見たな。その目」


 モニターの映像に映る【パスティーユ・フラワー】は、【チタン・キュレン】の技を受けて戦い続ける。


 機体のあちこちに傷が山程できても、耐え抜いている。


「マルロの魔法みたいな攻撃ってな、アイツに近づけないよう細工もしよるねん。それをわかってて、あの子らはワザと近づこうとしとる」

「ワザと……?」

「所詮捨て身ってやつやな。マルロの場合、細かい攻撃を仕掛けよるから、正攻法で攻略はしにくいようできとんねん」

「いいのか、それで。子供達は……」

「言うたやろ。もうあの子らは決心がついたんやて。もう逃げられへん。十分わかっとるで、あの子らは」


 武人は戦闘シーンを映すモニターに視線を戻した。


「お前の紹介は、いつになったらできるんや?」

「もうすぐだ。志願者達の訓練も済んで、正式投入の審査だけだ」

「おもろい物語書きよるな。お前の彼女」

「恋人じゃねぇよ。学生時代の友人だ」

「そうやったな」


   ☆☆☆


 私の人生の中で、これ程がむしゃらに相手に挑んだのは初めてかもしれない。


 そう思わせる位に、私は【パスティーユ・フラワー】を機敏よく動かしていた。


【チタン・キュレン】の光の弾には、何度ぶつかったか覚えてない。


 でも今回は敢えてぶつかった。【フラワー】のバリアを信じて。


『未衣子! エネルギーは4割を切ったぞ!』

『俺が変わろうか!』

「いや大丈夫。まだ3割は残ってるんでしょ?」


 あの直線型の放射攻撃を出してから、【フラワー】は技を繰り出さなかった。


 なぜか。私の考えだった。


 無謀な行動に賭ける事。


 敵のマルロに私自身を変人扱いさせる事。


 魔法のような攻撃に特化した【チタン・キュレン】に、似ている攻撃で対処しても私に勝ち目はない。


 私は地球人で[ラストコア]のロボに乗って戦うパイロット。


 マルロは生物型からロボに変身できる超人・HR。身体能力だけでも、マルロが有利なんだ。


 彼に勝つには、他の方法でいかないと。


 そこで思いついたんだ。


 私の秘策は、もうすぐ達成できる。


【チタン・キュレン】との距離を縮めていった。


 ついに、ジャンプ一つで体当たりできる距離まで短くなった。


 ここまできたら……再びロッドの底で貫通してやろう。


 左腕がやられているなら、心臓を庇えるのは右腕だけ。


 なんて行動を、取るように見せかけたんだ。


 瞬時にロッドを右手で持って、くるくる回してからマルロに投げつけたから。


『何っ! 痛い!』


 ゴン、と音がした。


 もちろん、これで彼は倒れない。経験無くてもわかる範囲。


 ここからが正念場だ。彼に、新たな隙をつくらせておいた。


 真下はマグマの海と化した北極。


 私は【フラワー】で突撃し、【チタン・キュレン】にしがみつき、高火力で真下へ移動した。


『くっ、離れろ!』


 マルロの行動もおかしかった。


 彼ならバリアでも発動して、私の抱きつきを阻止できたのに。


 炎にトラウマ抱えてるのか? 彼も底がついたのか……?


 彼の身体の状態は、私にははっきりとわからないけど。


 どうでもいい。敵の心配なんて必要なし。


 ただ、マルロを下に押しつけて沈ませるだけ。


 高火力移動により、【フラワー】は勢いよく【チタン・キュレン】を沈ませた。


 この作戦は成功。【フラワー】はマルロから離れた。


 まだ、終わりじゃない。次の作戦があるから。


 灼熱のマグマの海と化した北極だけど、知ってる通り実は仮想空間を実体化した創作物。


 マグマの海面下は……ご存知の通り冷たい氷水だった。


 体感温度で彼は目を覚ますだろう。体力を回復でもするかもしれない。


 大丈夫。隙はまだつくれる。


   ☆☆☆


 もう終わりか。32年、だろうか。


 生命を奪う罪を犯したからだろうか。


 業火に焼かれて消滅する刑に服して当然だと思った。


 部下の話からは、どこにでもいるような、普通の可憐な少女だと聞かされた。


 裏表のない、清純な女の子。


 傷みも汚れも知らない、純粋な子供と想像してた。


 彼女を戦士として成長させたのは[ラストコア]か、ラルクか……。


 あんなに可愛らしい女の子だったら、静かに穏やかに暮らしてほしかったのに。


 星間戦争とは無縁の生活を送って欲しかったのに。


 今更敵に何を願っているのだろう。


 どうせ自分は生還できまい。


 このまま落ちるだけだ。


 マグマの中に……マグマ?


 俺は手足をバタバタさせた。普通に動ける状態だった。


 全身に伝わるマグマの温度が、冷たすぎる?


 マグマは数百度から数千度の高温の溶岩のはずだった。


 今感じる温度は……雪山に立っている時と同じぐらい冷たい低温だった。違和感を覚えた。


 視界もマグマの割には、鮮明だった。


 炎も光と同じように、眩しさを感じるのだが。


 目が痛くない。にじみは少しあっても、奥に何があるかわかる。


 生物も僅かながら潜んでいた。


 地球人ならば、プランクトンの名前は聞いた事あるだろう。


 微生物が潜んでいるのは、カメラアイで把握できた。


 炎の中、マグマの中は高温で、おそらく地球上の生物は生きながらえないだろう。


 そうか。北極は灼熱のマグマ地獄ではない。


 地球の常識だ。なぜ常識を疑わせようとしたんだ……。


 何か裏がある。人工物か、異常気象か……。


【パスティーユ・フラワー】のパイロットは異常気象と言っていた。


 異常気象はありえない。


 地球の他の惑星も、気象の変化は時間をかけてゆっくりと進行している。


 昨今の地球の異常気象も、背景に温暖化が関わっている事が原因、と言われている。


 急速に大地が変化する程の荒れ模様は聞いたことがない。


 だとすれば、地球人の人工物しかないだろう。


 マグマの流れは滑らかだった。


 雲の形の輪郭も、現実に存在するかの如く複雑に描かれていた。


 地球人でここまで細かく演出できるのは、映像技術の類ではと仮説した。


『俺のトラウマを刺激したわけか……ククク、随分姑息な真似をしてくれたな、クソガキ共!』


 足裏からバーニアを噴射していた。


 俺は全身を上昇させていた。地上へ、空中へ出るために。


 もう阻む難敵はいない。


 能力をフルに使って、ガキ共を落としてやろう。


 真面目に教育を受ければよかった、と後悔するほどに。


 クソガキ共。貴様らに幸福など望めない。俺が終わらせるのだから。


   ☆☆☆


『大丈夫か、お前達』

「王子、サレンさん」

『雑魚は片付いたわ。あとはマルロ本人だけよ』


 サレンさんは自身ありげに言った。


 マルロの仲間って、数が多かったと思うけどなぁ。


『[スイルシルバー]は私達の弓矢で大爆発したわ。汎用船程度じゃ、簡単に潰せるわ』


 ヒスロ戦だったかな。あの時の 【ホーンフレア5th】は凄かったな。


 ジャンプを駆使した槍攻撃ももちろん。


【ホーンフレア5th】が駆けつけてくれて、私達は安心した。


『マルロ・ヒーストンは仕留めたか?』

『おそらく、もう一度這い上がるとは想定してます』


 和希兄ちゃんが答えた。


『不安だが……お前達の作戦にどうこう言わん。思い切ってやれ』

『アイツを逃したら地球の終わりだと、覚悟したらいいんだな』

『その通りだ。支援が必要なら行動するが、どうする?』

「そうですね……ん?」


 私は仮想空間が解除された北極を見た。


 マルロをぶつけた衝撃で割れた氷があった。


 氷は粉々になり、海中への入口ができた。


 氷の割れ目は時に、海中からの出口にもなる。


 実際、【チタン・キュレン】がザバーンと波が広がるように、勢いよく這い上がってきたからだ。


『ククク、よくも俺をかき回してくれたな。その両目を二度と開けられないようにしてやるよ、クソガキ共』

『マルロ!』

「大丈夫です。もう講じてありますから」


【パスティーユ・フラワー】は【ホーンフレア5th】の腕を掴んだ。


 王子達には回線で漏れる恐れがあったので、[ラストコア]のAI達と共に他の敵の相手を頼んでもらっていた。


 だから、これから起こす私達の一手を知らなかった。


『人工物で誤魔化して、俺の心を蝕もうとした。だがもうこれで、俺は怯える必要がない! なぜなら、真下の北極海は俺の味方だからだ! 俺は無敵だ! 来るなら……ん?』


【チタン・キュレン】は北極の上空に止まっていた状態だった。


 マルロは口上を垂れているうちに、周りの異変に気づいた。


『何だ? 全身に熱を感じる……!』


 マルロがこぼした一言。


 そうだよ。だってちょうどあなたのいる地点の四方から、炎が発射されているから。


 キョロキョロ辺りを見渡すマルロだから、炎を識別した時回避行動をとった。


『下だと落ちてくるだろう……上だ!』


【チタン・キュレン】は上昇した。


 残念。火炎放射器は4台だけではないわ。


 あっさりと【チタン・キュレン】の頭部は焼かれた。


 1発目の台の上に滞空している火炎放射器によって。


『ああああああ!』


 とうとうマルロが悲鳴をあげた。


 頭部を焼いた炎は瞬く間に全身へと燃え移った。


 HRは耐熱性抜群のはずだけどなぁ。


 炎に包まれたせいで、【チタン・キュレン】は身動きが取れなかった。


【フラワー】は炎のかからないギリギリの所まで近づいた。


 トドメを刺す手段が残ってるから。


「これは報いよ。私に友情という希望を失わせたんだから。教育を謳うのなら、子供の支えを無くすのはダメな事じゃないの?」

『相当……根に持っているな貴様!』

「まだ喋れるんだ。どう? 純白の衣装が黒焦げになった気分は。友情を切り裂く行動は犯罪と同上って、覚えておいてね。まあ、もうすぐ雲の上に行くから意味ないか」

『こんの……クソガキぃ!』


 ガシャンの音と同時に、私は引っ張られる感覚に気づいた。


『未衣子!』

『ワイヤーでも備えていたか!』


 兄達が狼狽えた。


 私にも、マルロが出したワイヤーから炎が燃え移ると予測できた。


 往生際が悪いわね、この人。自分も行くから巻き込もう、て?


『俺の命はいい! だが、お前達も一緒に来い! 違う世界で調教してやる!』


 彼は高らかに笑った。


 ワイヤーに怯む必要はない。


 右脚のみ絡まれたなら、切断すればいい。


 コックピットは胴体の中。


 右脚が無くても問題なし。


 だから光の弾が連なるリングで右脚を縛り、ワイヤーの束縛から退いた。


 私はアレックスさんの言葉を僅かに信用していた。《再構築》の機能を持った説明を。


 燃えて形が歪になった【チタン・キュレン】の表情は読めない。


 え? と発していたから、動揺したのだけわかった。もう遅いけど。


 右脚切断後、【フラワー】はロッドの底を前にして、槍投げの要領で投げた。狙いはもちろん心臓部。


 槍投げも自信はないけど、やってみたら案外うまくいくなぁ。


 投げたロッドは、【チタン・キュレン】の心臓部に、見事に貫通したから。


 うるさい口上が嘘だったみたいに、【チタン・キュレン】は機能を停止していて、静かになった。


 代償は大きいが、私達は勝利した。


『勝った、んだよな、俺達』

『そのようだが、右脚が切断して……?』


 和希兄ちゃんが驚くのも無理はない。彼は切断された右脚を確認していた。


 切断部分の端が光って、成長するように装甲の素材を延ばして……右脚を形成していった。


『これが、アレックスさんの言った……!』

「帰ろうか」『!』

「臨時支部に、武人兄ちゃんがいるんでしょ?」


 流石にロッドまで《再構築》できなかったか。


 黒焦げの【チタン・キュレン】はロッドを突き刺したまま、北極へ落下していた。回収は望めない。


 アレックスさんには、ご迷惑をおかけするかもしれないな。


 何だか疲れたな。帰ったら寝ようかな。


 まだ戦いは終わってないから。





 ☆☆☆☆☆


 自然に囲まれて暮らしたいマルロ達は消化活動に夢中過ぎて、呆気なくやられました(笑)。なんか、バカみたい(汗)。

 ちなみに《反転》ルートですと、マルロ本人の行動が変わります。





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