第2話 耳鳴り
引っ越して三日目の夜、悠馬は聞いた。
――呪……呪……呪……
壁の向こうから、かすかに低い声が響いてくる。聞こえるはずのない“あの部屋”から。
最初は風の音かと思ったが、毎晩決まって午前2時22分になると始まり、ぴたりと3時3分に止まる。
まるで誰かが念仏のように「呪」という言葉を繰り返しているようだった。
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