第14話
掲示場についたら人がまばらにおり、掲示板が見れないほどではなかったので、端から順番に見る事にした。
試験の結果は名前と点数が書いてあり、上位百名までが合格らしい。掲示されているのは二百名だから半分が落ちるみたい。
私達は書いてあるかな? と右側から見ていき、次に真ん中、最後に左側を見た。一番左側は上位五十名みたいで上位クラスに入ることが決定している。五十名に入っているのかな? とみていたら四番目にカイトの名前があり、その上を見たら次席にレオン、首席がなんと私だったのだ。私達三人は合格し、とても喜んだ。
「どうゆうことだ、首席は私だろう! なぜ私が三番目なのだ!」
突然誰かが叫んだ。私達は3人で顔を見合わせなんだろうと思い、叫んだ人がいる方を向いた。
「私は筆記もできたし、ほかの奴らより魔法もできていた! なぜ私が首席ではないんだ! あまつさえ次席ですらなく、三番目だなんて有り得ない! 不正だ! 主席と次席が満点というのもおかしいだろう! 絶対に不正をしている!」
「なんか喚いている人がいるけどどうする?」
「学園側がなんとかするんじゃない?」
「でも向こうはこちらが見ている事に気づきましたよ」
「貴様ら何を見てる!」
緑色の髪で赤色の瞳をした少年が私たちの方に歩いてくる。
少年は身なりが良く、周りにいる子達は取り巻きなのか、少年の後ろについている。
少年が私たちの前に来て話し始めた。
「貴様ら、名前はなんだ! 答えてみろ!」
「……なぜ私達が答えなければいけないのですか?」
「しかも私達はあなた達のことを知りません。まず、あなた達のお名前から名乗ったらいかがですか?」
私とカイトが答えたら少年は顔を真っ赤にし、周りの取り巻き達がこの方をどなたか存じ上げないのか! とか言っているけど、知らないものは知らない。
「この方はオルトゥス帝国の第二王子殿下、アホルト・オルトゥス様だぞ!」
「へぇ、そうなんですね。用件は私たちの名前が知りたかった、でよろしいですか?」
「もっと敬え! そして早く名前を答えろ!」
取り巻きの一人がそう答えた。
「では、自己紹介をいたします。
私の名前はリアン・ウェスティスと申します」
「私はレオン・ウェスティスと申します」
「私はカイト・ヴァルターと申します」
「これで私たちの名前は分かりましたか? ご用件がお済みのようでしたら、私達はこれにて失礼させていただきます」
「よくない! お前らの名前は首席に次席だな! どんな姑息な手を使ったのだ! 私以外が首席を取るとは有り得ない!」
「私達は普通に試験を受けて合格しただけですよ」
「嘘だ、嘘だ! そんなはずあるわけないだろう! なぜ満点なのだ! この学園の入学試験で満点がでたことなど一度もない‼︎!」
「いいや、その子達は試験に受けて合格しただけだよ」
「あなたは……」
「私はこの学園の学園長をしている、テオドリク・エルダリウスというものだよ。よろしく」
学長先生の種族がエルフなのか、耳が長くプラチナブロンドの髪に翡翠色の瞳をしている。瞳の中がキラキラしているのでリベラ様の愛し子だとわかった……。
肌が白く儚げに見える人で、二十代前半だと言っても通じるくらい若々しくとても学長をしているような人には見えない美青年だ。
「なぜ、不正をしているこいつらが首席と次席なのですか⁉︎ 私が首席にならない理由が分かりません! 例年通りなら首席は私のものでした!」
「それは……。今年が特別な年だからね……」
学長は私たちの方に歩いて来て私とレンの肩に手を乗せた。
「なんせこの子達は魔法の試験では満点を出し、リアン君に関しては手違いだったが、武術の試験でも満点を出している。
もちろん筆記の試験も満点で二人とも文句なしで学園創設以来初めての満点合格者だ。
本来なら首席は二人ともになるのだけどリアン君は武術の試験で満点をとっていることからリアン君の方を主席とさせてもらった。もちろんレオン君が納得するならだけどね」
「私はリアンが首席で構いません。私は次席でいいです」
「ありがとう。さてアホルト君、君は五百点満点中四百八十五点と例年なら首席をとってもおかしくはない点数だが今年はこの子達が満点合格なので君は三位になる、それでも十分すごいが何が不満なんだい?」
「私は首席でないといけないんです!首席ではないと……、お父様に見てもらえない……」
「そうは言っても入学試験の順位は変えられないから、入学したら中間試験や期末試験で決着をつけるといい。この先試験はたくさんあるからね」
「はい……。お手数おかけして申し訳ありませんでした。お前ら二人もすまなかった……」
「「私達は大丈夫です」」
「さて、みなさんこの辺りでお開きにして、リアン君、レオン君はついて来てもらっていいかい? 新入生代表として少しお話があるから、カイト君も一緒にどうぞ」
「はい、分かりました」
「はい」
「お気遣いありがとうございます」
「それでは、こちらのソファに座って」
私達は学長室に案内され、黒光りするソファに腰を下ろした。
「じゃあ、改めて首席、次席合格おめでとう。二人とも学園創設以来初めての満点合格者だよ。特にリアン君、君は魔法以外にも武術もできるんだね」
「はい。でも、レオンも武術ができますし、何なら私より武術ができます。私はどちらかというと魔法の方が得意なので……」
「へぇ、そうなのかい? でも、君たちが入って来てくれて嬉しいよ。それで、入学式に在校生代表が挨拶した後に新入生代表として挨拶してもらいたいんだよね。このままで行くと主席のリアン君なんだけどどうかな?」
「え……レオンじゃあダメですか?」
「いや、私ではなくリアンの方がいいと思います。私は
「レオン、まさか挨拶が嫌で……、私に首席を譲ったの⁉︎」
「なに、当たり前のこと言ってんの?」
「く、悔しい……。そこまで頭が働いていなかった……」
「別に私としてはどちらでもいいのだけどね……。君たちそうゆうの慣れているでしょ?」
「「慣れていません!」」
「私達はただの伯爵子息ですよ!」
「そうですよ!」
「設定はね? でも、二人のどちらかは確定だから、二人とも嫌ならじゃんけんで決めたら?」
「「それだ!」」
「「さーいしょは、グー、じゃーんけんポン!」」
私がグーで、レンがパーを出した。
「ま、負けた……」
「よしっ! 勝った、さすが僕!」
「じゃあリアン君が新入生代表ということで。あとは君たちもう少し危機感を持とうね? いくら変装しているとは言え、あんなに高度な魔法を見せたらバレるよ?」
「「はい……」」
「お二人とも何しているんですか……。
そもそも聞きたかったのですが、なぜ満点をとっているのですか?
学長の前で言っては難ですが、私ですら少し手を抜いていますよ」
「「えっ?」」
「いや、筆記試験と魔法の試験は少し手を抜きましたよ? フェデリー先生やラフトゥ先生の言ったことをもう忘れたのですか??」
「わ、忘れてなんかないよ……」
「僕も、忘れてないよ……」
「じゃあなんで満点なんですかね?」
「そ、それは……筆記試験で満点取るとは思わなくて、一応全部埋めていたけど……。まさか全部正解するとは思わなかったもん」
「僕も……」
「では、魔法は? フェデリー先生に言われていましたよね? 周りの子達の魔法を見てから自分で使う魔法を考えろ……と」
「わ……私はすこーし考え事をしていたら、ちょっと見逃しちゃって一人見たけど、中級くらいの魔法を使っていたから上級寄りの中級魔法を使おうかなって……」
「僕も……。少し考え事してたら見逃しちゃって、僕の番になったから上級寄りの中級魔法使っちゃった……」
「はぁ、何しているんですか? 本当に……。そもそもこの学園の試験を受けた子達はほぼ初級魔法で、少しできる子でも、初級の基礎魔法である《
「「えっ、嘘……」」
「本当です、だから私も中級魔法を使いました。それでこの点数ですよ、お二人とも言い方は少し悪いですけど目立ちたくなかったのなら、もう少し手を抜いても良かったのですよ……」
「う、うぅ……」
「どうしよう……。バレたら退学」
「これからはもっと紛れるしかないですからね」
「「はい……」」
私達はこうしてカイトに説教されたのだった。
「じゃあ話し合いは終わったよね?」
「あ、すみません長々と……」
「ううん、大丈夫。君はすごいね、愛し子の二人にお説教しちゃうんだもん」
「まぁ、"慣れ"ですよね。実は双生神様からも言われたのですよ。あの子達をよろしく、と夢の中でですが……」
「じゃあ双生神様公認のお守り役なんだね。頑張って!」
「……はい」
カイトは遠い目をしていたけど、ルナ様達もカイトをお守り役にしていたなんて心配性だね。
「それで、この学園で二人が愛し子だって知っているのは学園長のこの私と、私の信頼する先生のみで、保健医のエリシアと極秘情報だけど君たちの担任になる、Aランク冒険者のギルバートだけだよ。ギルバートとリアン君は一度戦っているよね?」
「ギルバート先生ですか?」
「あぁ、名前は知らないのか。"閃光"って呼ばれていた人だよ」
「あぁ! あの強かった人ですね? あの人に魔法を使われていたら危なかったです!」
「それはギルバートも言っていたよ。面白いやつが来たって……。
君の前に戦った子も君の次に良かったと言っていたから合格になっているはずだよ」
「じゃあ、またあの男の子に会えるんですね! 良かった……」
「あの男の子って何?」
「あぁ……試験の時に、ギルバート先生のところには来ないほうがいいって言ってくれた子なんだけど、言い方は荒かったけどとても優しい子だったよ! 会えたら紹介するね!」
「わかった、そのときはよろしく……」
レンはいきなりどうしたのだろうか? まぁ、あの男の子に会ったらレン達に紹介しよう……。
「はぁ、またか……」
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