第十一話 重い足取り
月曜日、学校に向かう体がいつも以上に重たい。原因はもちろん土曜日のことだ。
Rimeで謝ることも考えたけど、やっぱり直接謝りたい。
今日はいつもよりも早く電車に乗って、翠先輩が乗ってくるのを待つことにした。
十分ほど待っていると先輩が電車に乗ってくる。
「あのっ翠先輩」
だけど翠先輩は一人じゃなかった……私とは比べ物にならないほどかわいい女の子と一緒だった。
「あの子翠のこと呼んでるけどいいの?」
翠先輩が一瞬私を見てくれたけど、唇をかんですぐに目をそらされた。
「いいよ……私はあかりと話す方が大事だから」
一週間ぶりに運転席の後ろに立ってスマホを開く。
電車は時間通り発車した。
他の人と話している先輩を見ると胸が苦しい。なのに翠先輩の声が聴きたくてつい耳を傾けてしまう。
「そういえば前好きって言ってた子はもういいの?最近一緒の電車乗ってるとか言ってなかった?」
「その子の幸せは私と一緒にいることじゃなかったみたいだから……」
「翠ってそういうとこい潔いよね~」
「無理に付き合っても楽しくないからそれくらいは考えるよ」
「じゃあ私と付き合うとかどう?」
こんなやりとりを聞き続けて正気を保てるとは思わなかった。
ポケットからワイヤレスイヤホンを出して両耳にねじ込む。
翠先輩に会う前の登校に戻っただけ、さみしくなんかない。
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