このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(162文字)
ラムネのビー玉をめぐる記憶と現在が、美しい情景描写とともに静かに交差する青春掌編です。取り出せなかったあのビー玉は、過ぎ去った時間や変わってしまった関係の象徴であり、読後に残るのは、郷愁とほのかな成長の余韻、でした。派手さはないけれど、その分、描写や心理描写の丁寧さが光ります。ちょっと上から目線で言わせていただくならば、とっても丁寧なお仕事をされていると思います。過去と今の対比を繊細に描いた、心に静かに沁みる一作です。夏にふさわしいです。