おあげがハゲた!
おあげは雷の音が苦手です。
離れている時や夜に鳴くのは最初の2週間ほどでおさまりましたが、雷の音はとても怖い。耳もピンと立てて、弱々しく鳴いたりそわそわするのです。
これが夜中の時は、リビングに寝袋を持って行ってそばで寝る事にしました。
だけどこの子は何故か怖いのに、特に大きな雷が鳴ると一度外を確認しようと窓の方に行ってカーテンの隙間から外を伺う……そしてビビって戻ってくる、をよくするのです。
「怖いんなら見らんどきよ」そう言って側にくるおあげを撫でて、一緒に寝るまで付き合うのです。
おあげがやってきて2ヶ月ちょっと経った頃でしょうか。最初は2mずつの幅だったおあげ用のスペースから、リビングの床全てにカーペットを敷き、1日に1〜2時間ほど家族がいる部屋の中で自由にさせる日を作りました。
その日は雷が凄く、真ん中の妹も普段いる実家ではなくこちらに滞在していた週末です。妹二人はせっかくフリーになっているおあげが「遊んで」と間に入っても、一生懸命ゲームをしていました。
前日から、「おあげを無視してゲームしすぎじゃない?」と注意していた私。実際、調子が良かったのか二人は前日の夜中の2時過ぎまでゲームをしており、リビングのテレビの真後ろにある部屋の私は、イヤフォンをつけて音楽を流していないと眠れない程でした。おあげも一生懸命二人の間に入ろうとしたり、鎖に繋いだあとは不貞腐れたように横になっていましたが、かなり気にしていただろうと思います。
そして特に大きな雷の音が鳴った時「キュウウウウン」と怖がったおあげは、妹のコントローラーのコードをぶち抜いてしまったのです。
普段、おあげは絶対にコードに引っかかったりしない子です。テーブルの上に物を置いたままにしていても、決して触らない賢い子です。
その子がこんなに怖がった。思わず私は「ゲームじゃなくて、まずおあげの心配でしょう? 昨日から思ってたけど、いい加減にして。自分が子供の頃に怖いよ〜ってお母さんのところ行っても、お母さんがゲームに夢中になって無視したら物凄く悲しいよね? 今同じことしてるよ」と妹を叱りました。
私が側にいて撫でても、おあげとしては楽しそうな二人とも遊びたいのです。
それに雷が気になって窓際に行くと、どうしても二人の近くを通る事になってしまいます。
雨が止み、それでもゲームをやめない二人にガッカリしながら、実家の掃除と「おあげが好きなゆで卵をあげよう」と私は少しの間自宅を離れました。
そして約30分後。
「ただいま〜、ほらおあげ、大好きなゆで卵だよ……って禿げてるぅぅぅぅうう!!!??」
戻った私を嬉しそうに歓迎するおあげ、けれどその首はむしり取ったかのようにぽっかりと禿げていたのです。うっすらと血も滲んでいて、私は軽くパニックに。
妹たちは、私が叫んで「どうしたの」とおあげのハゲを確認しているのに、ようやく気づいた様子でした。
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