優等生の僕は、今日も...

僕は、世間一般的に言う優等生だ。


【優等生の僕は、今日も...】


勉強が出来、

運動が出来、

人当たりも良く、

頼りがいがあり、

常に笑顔で、

穏和な雰囲気を纏っており、

誰にでも優しい、


優等生


それが、僕、森本 光












の表の姿。



□■□■□■


優等生の僕は、今日も笑顔の仮面を被る。


この仮面を被る様になったのは、何時からだっただろうか?もう、覚えていないから、きっと、物心つく前から着けていたのだろう。

一番昔の記憶は、ある人に言われた言葉。


『君は、イイコだね。これからも先イイコで生きて居ると良いことが起きるよ、光』


これだ。親に言われたのか、友達に言われたのか、知り合いに言われたのか、誰に言われたのか、男の声かも女の声かもわからないし、言われた時の前後の記憶は、全くと言って良い程記憶に無い。その言葉を言われたとしか覚えていない。

言葉の意味は、成長し高校生になった今も分からない。何故かこの言葉の通りにしないといけない気がして、僕は、今日も優等生を演じる生きる。


(後...後どれだけ良い子で居なきゃいけないの?後どれだけ息苦しい世界を生きていなきゃいけないの?ねぇ、教えてよ...)


『まだだよ、光』


「ッ⁉」


聞こえた気がした。いや、聞こえた。確かにあの時聞いた声が返事をしたんだ。

でも、何でだ?

もう、声を忘れた。

聞いたのは、数秒前なのに...。

僕は、そこまで記憶力が低いわけでは、無い。寧ろ人より少し良い方だ。


「あぁ、勉強に集中しなきゃ。テストの点は、落とせない。就寝時間まで後1時間くらいだし...よしっ!」


声?の事は、置いといて小一時間勉強に意識を集中させた。



□■□■□■


あれから、変わった事も無く、ただただ平穏な日常を送っていた。変わった事と言えば、仮面を外せる時間が減った事位だ。

最近、母さんが部屋に来て僕がその時に、していることを確認したり、10分から15分程度部屋に居座ったりすることが格段に増えた。今までは、1回から3回程度だったのが最低でも6回は、来るようになった。


ガチャッ


「光、今なにしてる?」

「今は、数学の今日した範囲の復習と予習をしていたところだよ」

「あらぁそうなのね。沢山頑張ってて偉いわ」

「えへへ、ありがとう母さん。僕これからも頑張るね」

「ふふ、応援しているわ」


バタンットットットッ...


「......ふぅ。後少ししたら寝るか」



□■□■□■


朝が来る。


そして、


優等生の僕は、今日も...



死を望む

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