カメラと呪い
写真を撮るのが好きな少女がある日能力を手にした。それは、神からの祝福とも言え、残酷な呪いとも言える代物である。
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チュンチュンッチュンチュンッ
「ランラランララーン。今日は、お散歩日和~。天気は、雲がチラホラの晴れ~!カメラの調子は~...バッチリ‼」
少女、もとい『こころ』は、写真を撮るのが大好きな高校1年生。秋に入り、外気温も涼しくなってき、そとに出るのが簡単になってきた頃、朝一から散歩に出掛けていた。
こころが首にぶら下げているのは、立派なデジタル一眼レフ。二年前の誕生日にプレゼントとして貰ったものである。こころが撮る写真は、風景から動物、人、食べ物多種多様様々ななのである。
そんなこころが始めに向かったのは、緑に囲まれた自然溢れる近場でもっとも広い公園に来ていた。公園内には、犬の散歩に来ている人やジョギングをしている人それから、老夫婦がベンチで楽しそうに話をしていたり、そこそこ人がいた。
自然と人が写るような場所まで移動してそこで、初めて今日写真を撮影した。
パシャッ
いつもと変わらないシャッター音。前に来たときと殆ど変わっていない景色。思わず見惚れてしまうような青空が広々と広がっている。本当に何もかもが普通でいつもと変わらない。それなのに...。それなのに私のカメラは、変わっていた。先程撮った写真を見返すと、人の頭の上に数字が写り込んでいた。犬の散歩に来ている人の頭には、3。ジョギングをしている人の頭には、5。老夫婦の頭には、それぞれ1と浮かんでいる。これが、何を表しているのか分からない。
試しにカメラ越しに覗き込んでみると、いたって変わらない景色しか写らない。まだベンチに座っている老夫婦の頭には、数字なんて浮かんでいない。不思議に思いながらももう一度シャッターを切った。
パシャッ
写真を確認するとまた、1と老夫婦の頭の上に浮かんでいた。このカメラは、昨日も使ったし、毎日怠らず就寝前に手入れをしているし、もはやルーティン化してしまっている行動だが、昨日手入れをしている時は、何も異変を感じなかった。これまでの写真を見返しても先程撮った2枚の写真のように人の頭の上に数字が浮かんでいることは、無い。
取り敢えず今日は、月曜日。生憎、祝日では、無いため学校に行かなければならない。遅刻は、マジ勘弁なので急いで家への帰路を辿った。
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放課後
「ねぇこころ!このカフェ今から行かない?」
「えっ⁉めっちゃ良いじゃん行こ行こ!」
今日の授業すべてが終わり、友人と一緒に最近出来たらしい、カフェに行く事になった。
「あっ!写真撮ろうと思ったのにスマホの充電無いんだけど...。こころ~こころのスマホでツーショ撮って後で送っといてくんない?」
「良いよ~。ほらっこっち寄って寄って」
パシャッ
「...⁉」
「うわっ!めっちゃ綺麗に撮れてるじゃん。さっすがこころ。写真撮るの上手いね~」
「えっ?あっうんそうでしょ?あはは...」
(...これって私にしか見えないの?)
スマホの画面に写っているのは、他の人から見たらただの女子高生2人が写っているだけの写真のように見えるかもしれないが、こころの目に映るのは、友人の頭の上に数字で5と書かれており、こころの頭の上には、104と書かれていた。
(私の数字めちゃめちゃ高いな...)
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その日は、それ以降何事もなく解散した。ただ、普通に帰るのは、何故か嫌だったのでなんとなく今いる大通りの写真を撮ってみた。
パシャッ
写真を確認すると何ら変わらず人の頭の上に数字が浮かんでいた。サラリーマンは、4。小さな子供達は、8~11。学生組は、3~7。自転車や車に乗っている人だって、写真に写っている皆の頭の上に数字が浮かんでいた。
「ホントになんなのこれ?」
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写真に写っている人の頭の上に数字が浮かび上がるようになったこと以外は、何らかわりないため普段通りの生活を続けた。
パシャッ
日課のようになっている、写真撮影。青空や川などの自然や道行く人々、可愛いスイーツ等々沢山沢山撮り続けた。
パシャッ
パシャッ
大人になっても写真を撮るのが大好きで、何気ない日常も撮ったり気分転換に遠くまで出掛けて写真を撮ったりし続けた。
パシャッ
パシャッ
パシャッ
パシャッ
パシャッ
何時からだっただろうか。何回誕生日を迎えても二十歳の時から姿形が変わらなくなり老けなくなったのか。周りは、沢山変化しているのに私は、変わらなくなったのは...。私って何歳生きたっけ?あぁ分からない。
............久しぶりに自撮りでもしてみるか。
パシャッ
私の頭の上に数字が浮かび上がる。
そこに書かれていた数字は、私が今まで見た中でも最大の数字だった。
76984508だった。
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