第24話 お菓子の部屋 参
アレクは頬を涙で濡らして目覚めた。
とてつもなく悲しみで心がこわれそうになっているが、今、このお菓子の部屋に戻ってきても心が回復にはほど遠かった。
今回の旅が僕に何が伝えたかったのかさえ分からないのはいつものことだったが、今回の旅は耐えられなくなりの涙は留めなかった?
見ると少年は大きなどら焼きにかぶりつきながら、僕の表情を面白そうに見つめている。
「泣くほどつらい体験をしたのかい?」
「君は僕が苦しむのがそんなに面白いのかい?今までの旅はそれなりに納得出来たけど、今回のはやるせなさすぎるよ。これなら最初からこんな所には来たくなかったよ」
どら焼きを食べきった少年は右手に大きな湯飲みを持ちながら、お茶をすすり始めた。
「僕には君の旅をどうこうできる立場じゃないからなんとも言えないが、どんな旅だとしても君には必要な事だと言うことは忘れないでくれよ」
お茶は口直しだったのか?今度は羊羹を一本にかぶりついた。見てるこちらが気持ち悪くなるくらいな甘党である。
「君は神なんだろう?そんな事も出来ないのに何が神なんだよ!」
それには少年もムッとしたのか、羊羹を僕に投げつけてきた。
「うるさい!アレク、お前に何が分かるんだ。僕がいなければお前なんかとっくにあの世行きなんだぞ」
僕が望んでもいないことを偉そうに言うが、この少年の事はなにもしらないのだが、少年にも何か思うところがあるのだろう。でも、この場合僕も思っていることをぶち撒けた。
「なら、僕を解放してくれよ。もうこんな思いはしたくないよ」
「だから、それは僕には決められないんだから文句を言うなよ」
これ以上の言い合いはお互いのためになりそうにないので、僕は口を閉ざした。
その思いは少年も同じだったようで、少年は話題を変えた。
「そうだ、君から預かっているアレの目覚めは近いけどもう少し僕が面倒見るよ。でもアレは四六時中、君の事を願っているんだけど、ちょっと煩いよ」
アレの事は気になっていたが、元気そうで良かった。でも煩いと言われるのは心外であった。
「僕にはアレの言葉は聞こえないけど君は聞こえるんだ?なんか羨ましいな」
正直アレが何かは分からないが羨ましいと感じるのは自分でも不思議な感じがした。
「褒めても何も出ないぞって言いたいけど、今回は特別に次の旅は二つの選択肢があるんだけど、どちらか減らばせてあげるよ。AとBどっちがいい?内容は教えられないけど、どっちもオススメだよ!」
選択肢はあるけど、内容が分からないなら選択の意味のないような気がするが、それを指摘してもまた機嫌が悪くなられても困るのでツッコミをいれるのは止めた。
「僕にとってもどっちでもいいんだけど、それじゃ〜君もつまらないだろうから今回はBを選ばせてもらうかな。それで構わないだろう」
「それはいい選択だな。それなら出発しようかな。いいだろう?」
「かまわないよ。」
僕は新たな旅に出た。どんな旅になろうと後悔のないものになるといいと思ったがそれは旅を終えた時に分かるのだから今はあまり考えても仕方ない。
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