第15話 お菓子の部屋 弐
眠りから目覚めるとそこはあの甘い香りが充満した、少年の部屋であった。
「アレク、今回の旅は満足行ったかい?」
僕は少し悩んだけど、一つだけハッキリしていることがあった。
「あれは本当に僕だったの?今考えてもなんか違和感があるよ」
「そうだね。君という魂の本質は変わらないけど、器が変わったと思ったもらえば分かりやすいかな!」
「器が変わる?だから僕はオジサンの姿だったのかい」
「その通り、これからも君は沢山の人の人生を経験して、君だけの答えを見つけるんだよ」
「それじゃ〜、僕は行く世界で僕自身が変わるんだね」
納得出来るような出来ないような話である。こんな事を繰り返すことに意味があるのだろうか?
「君はそれだけの罪を犯したんがからね。でも感じるものがあったろう?」
確かに最初の世界では死への恐怖と優しさを知った。そして、今度は意志の強さと孤独に耐えながらも人は一人では生きられないと言うことを学んだような気がする。
少しづつかもしれないが僕は変わったのかもしれない。
「どうだい、自分の事は思い出せたかい?」
そのことに対しては僕は首を横にするしかできなかった。覚えているのは僕が自殺をしたということだけであった。
「そうだね。自殺をする人間は数えられないくらいいるけど、許されることじゃないよ」
少年は冷たい目で僕を見ているが、笑顔はそのままであった。
その眼差しに耐えきれず僕は話題を変えた。
「姿が見えないけどアイツはどうしている?」
「アレはまだ寝ているよ。思ったより深い眠りみたいだから今は眠らせておいてくれよ」
「そうか、今でもアイツの存在を感じるから居ないと変な感じだよ」
見た目は蟲のような姿でちょっと気持ち悪いのにどこか懐かしい感じがする、あの不思議な生き物が何なのか分からないが僕にとっては大切な物なのは間違いなかった。
「アレク、少しだけど君は変わったね。初めてここに来た時は他人に気を使うなんて考えられなかったからね」
「そうかな。自分ではよく分からないけど君がそう言うならばそうかもね」
「君が次に行く世界はどんな世界なんだろうね?」
「君が決めているんじゃないの?」
「僕にそんな
少年は不思議な表情を見せたが、その時の僕はあまり気にはしなかった。
自分の事を神と名乗りながら、自分の無力と言うこの少年に関する謎は深まるばかりだ。
「そろそろ、新たな旅に出る時間だけど準備は良いかい?」
「それは僕には決められないよ。君が分からないことを僕が分かる訳無いじゃないか」
僕は素直な感想を伝えると、少年は満足そうに笑った。
「それじゃ〜、行ってみようか!?」
その言葉で僕の意識は揺らぎ始めた。
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