たくたんは香辛料を体に入れ込む:Rewind

ルークアイド・チェス

第1話 ようかん

 俺はたくたん。


 今、猛烈に甘いものを食いたい……いや、甘いものになりたい!


 そこで俺はひらめいた。よし、ようかんになろう!


「お〜っと、野生の砂糖だ!」


 さっそく原料を一個発見したぜ! あれ、でもあれは黒糖だな。うーん、確かようかんは上白糖だったような……。


 まあ仕方ないな、黒糖しかないならちょっと別のもので代用するか! ないなら代用の精神だ!


「じゃあ砂か! よし」


 どっからきたのかは分からんが、ちょうど砂がそこらへんに吹き込んできたな。よし、砂糖と砂って漢字も見た目も似てるしええやろ!


 まずは手始めに砂を俺の耳の中に流し込むぜ。


「うわっ鼓膜がァッ!」


 痛ぇ〜……くぅ〜っ、この痛覚が俺の眠りしMを呼び覚ましてくれる! 気持ちいい〜↑↑


「あ、原神あるやん! 入れるか……まっそれは後回しだな。んで水は雨水があるし、あとは寒天とこしあんだな……おいちょっと待てや?」


 は? 俺つぶあん派なんだが? このクソレシピが、舐めてると潰すぞ。


 近くのアライグマが小豆を洗ってたからコインと交換した。おう、かわいいね。


「よし、潰すの面倒くさいしとりあえずこのまんまでいいな!」


 俺は自分の鼻の穴に小豆を押し込む。うーん、息ができない!


 でも窒息プレイもいいな、酸素が脳の中から抜けないから痛覚も快楽も研ぎ澄まされた! 今日のデイリーMはクリアしたぜ!


「最後は寒天っと……おっ、野生のアロエが!」


 寒天とアロエって似てるよな? ならようかんにも使えるしいいだろ!


「たくたーん普通にナタデココのほうが似てるだろ」


「おっMotchiyモッチーいいところに来た!」


 ナイスタイミングMotchiy!


 あいつは俺の友達で料理助手一号のMotchiyだ。おっ、もしかしてあいつが手に持ってるのはナタデココ!?


「いや普通に寒天」


「しゔぁくぞガキ……アレレ?」


 ようかんって、もともと寒天がいるんだっけ? うーんまあいいか。


 とりあえず俺はアロエの鋭い葉っぱで腹をかっさばき、その中に寒天を押し込んだ。くぅ〜、内臓が圧迫されるこの感覚、一年ぶりかなぁ!


「よしMotchiy、後は任せた! 俺を煮込んでくれ!」


 俺はMotchiyの持ってきた鍋に飛び込んで、熱い湯の中でかわいい妻と嫁と娘のことを思いながら息絶えた。


「うーんと、ようかんってどんくらい煮込めばいいんだっけ? あ、一時間くらいね」


 時間あるし鍋は放置して動画編集でもしてこようかな。ちょうど新しい3Dモデルが配布されてたんだよね。


 そして一時間後。


「あれ、たくたんが焦げてる!?」


 ま、まずい! レシピによると一時間かけるのは型に入れた後冷やす方だった。


 こんな焦げたたくたんとかまともに食えたもんじゃないし、廃棄して墓を建ててやりました。うう、たくたん、キミの妻と嫁と娘は俺が責任持って養ってあげるからね。

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