宝くじから始まる導入が「え、そこからこうなるの!?」って感じで一気に引き込まれました。最初はただの幸運なおじさんが美味しいものを食べ歩く話かなと思ったら、寄生虫からのキメラ化、目が覚めたら終末世界……展開がジェットコースターみたいで面白いです。
でもこの作品の一番の魅力は「食べるシーン」ですね。お腹が鳴りそうなくらい肉やスープの描写が生々しくて、食感や香りが伝わってきます。特にボーンマロウステーキのシーンは、料理番組を見てるみたいに鮮やかで、同時に「そのまま力になる」っていう設定がしっかり絡んでて最高でした。
ミフネもいいキャラです。見た目は不思議だし少し怖いけど、淡々としてて面倒見がいい。彼女と並んで食べる場面は、主人公が「一人じゃない食事の楽しさ」を思い出すところがすごく温かく感じました。ちょっとした会話や冗談のやり取りがいいスパイスになってますね。
プレデターの名前も遊び心が効いてて楽しいです。灰汁狼とかイカシロバラムツとか、どれも美味しそうで怖い。T-Bone-Rexは発想勝ちで、「食材としての恐竜」をここまで自然に出してくるのは斬新でした。
全体的に「世界の終わり」っていうシリアスな舞台なのに、読後感はむしろ明るいんですよね。サバイバルの緊張感よりも「次は何を食べてどう変わるんだろう」というワクワクが強くて、読んでいて元気が出ます。
次はアナグラのコミュニティでどんな暮らしや料理が待ってるのか、すごく楽しみです。