スチームパンクにおいて重要なのは、メカメカしい蒸気機構の描写でもなければ、蒸気で動くビックリドッキリアイテムの数々でもありません。
それは雰囲気!
これが乗ってなければ、いくらそういったものを並べても「それっぽいもの」にしかならないのです。
その点、本作は舞台背景から文章の書き方、登場人物の台詞の数々迄、そのすべてが実に本格派で、雰囲気が抜群なのです。
何より丁寧!
かなり舞台となる世界観設定の説明に時間と文章を割いているので、どっぷりガッツリと浸れます。
これの書き方が下手くそだと怒号と共に読み飛ばしたくなるほどイライラするものなのですが、これが実に知的好奇心をくすぐり読ませてくるんですよね。
このあたり、インスタントラーメンのように話を急ぎ過ぎる昨今の作品とは違って、実に味わい深いですね。
そして、随所に散りばめられた時代の深堀や、エリーことマギエラの冴えわたる観察眼と推察能力が、見事に引き込まれます。
気付けば、1話あたりの文字数が多いにもかかわらず、一気に最後まで読み進めてしまうのですよね。
これは没入感が半端ないです。
圧倒的雰囲気で没入感に浸れる本格派スチームパンク、是非ともお手に取って浸ってみてください。
率直に言ってめちゃくちゃクオリティの高い作品です!
もっと騒がれないといけない小説だと思います!
舞台はヴィクトリア朝のイギリス。
科学と魔術が融合した技術である神聖錬金術、そしてそれを使って産み出された蒸気機関や機械仕掛けの完全自律型自動人形などが出てきて、ファンタジーとSFが混ざった世界観がとても魅力的です!
そんな蒸気機関に溢れた英国に、日本人の留学生――千早雅純が訪れます。
彼が本作の主人公です。
千早はロンドンでマギエラというプラチナブロンドの髪の少女に声をかけられます。
彼女がこの作品のヒロインです。
いろいろあって仲良くなった二人は同じ家に住むことになります。
明るくてお転婆なマギエラと堅物だけどお人好しの千早、二人の掛け合いがとにかく初々しくて微笑ましくて、すごく好きです☺️
千早はマギエラと関わっていくうちにトラブルに巻き込まれるのですが、これからどうなってしまうのか……気になってしかたがないですね。
設定がよく練られていて、文章力も非常に高い、こんな小説が無料で読めていいのかと思ってしまいました。スチームパンクが好きな人は読んで絶対損はしない作品だと思います! 超おすすめです!!