第2話 入学式 2025年 3月
防衛省所蔵秘匿文書 『最重要資料』 ※2031年日本国岐阜県で発見。
夏姫の日記 ~入学式を終えて~
愛知県名古屋市の郊外。交通の便もよく、静かでまあまあ緑もある場所。そんな良い環境に私達の市立聖クルス学園はある。
幼稚舎から大学まであるこの学園の創立は古く、いつだか私も定かじゃない。
……済みません覚えてないです。
ただ、すごく伝統がある『お嬢様』の為の学校だ、というのは確かだ。
通う生徒達は勿論、選ばれた新鮮なお花のような乙女ばかり。
だけどそこら辺の学校みたいに黄色い声が弾けることもなく、むしろどこも静かで穏やか。
みんなそれなりの家柄で、それなりの躾をされ、それなりの節度を持っているからだ。
お仕着せのぎこちなさはない。
聖クルス学園に通う女生徒は皆、優雅で典雅、エレガントな所作を身体に染みこませた少女ばかりだ。
当然、学校指定の純白の制服に密かに手なんて加えないし、髪を染めた娘もいない。
スマートフォンさえ学校内では禁止にされている。
そう、この学園は水たまりのように汚い外界を遮断した、乙女の為の乙女の楽園なんだ。
私は机に齧り付いて勉強し、どの女の子も憧れるこの学園の高等科へと滑り込めた。
よーし、これから友達を沢山作って、恋バナや先生の悪口で盛り上がるぞー!
これからの三年間、2028年の卒業までにたっぷり青春を謳歌してやる……三年か、あっという間なんだろうなあ。
だけど友達と泣いたり笑ったりして、この三年を有意義なものにする!
もし私の大切な友達が困っていたら絶対に助けるんだ。
みんなを私が守る!
うんっ、これから私、橘夏姫の輝くような青春……そう! 人生で最も輝く青春が始まるんだっ!
はー、でも本当はこの人が一番輝く、青春、ずっと続いてくれないかなぁ。
2025年 3月9日 入学式の感想……人多すぎ!』
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