『カーテンが重たい夜に背骨からうさぎが正しく眠るジオラマ』
それぞれのモチーフが隣り合うことで、一つの映像を作り出しているように感じました。
うさぎは背骨が人間とは違ってC型に湾曲しており、引きのばす力に弱く、骨の脆さも相まって大事な部分なのに骨折しやすい。
睡眠も薄明薄暮という昼と夜にたくさん眠り、まとまった時間を寝ることはなく短い時間で何回も眠る。
うさぎは、人間の正しい睡眠のイメージとはかけ離れたモチーフであるともいえます。
つまり、「うさぎが正しく眠るジオラマ」とは上手く眠れない夜を象徴するアイテムであると思う。すると、「カーテンが重たい夜」とはカーテンを開けたくない→朝が来なかったらいいと願う、昏く憂鬱な夜のことを指しているように思えてくる。
夜に一人、うさぎの背骨のように体を丸めてどうにか眠ろうとする。枕元には安眠のために買った、うさぎの群れがすやすやと眠るジオラマ。
本当に朝が怖くて眠れないとき。
人は睡眠の仕方を忘れてしまったみたいに眠れなくなる。
昼行性のわたしたちが怯えるように寝室から顔をのぞかせるときの表情は、うさぎたちが標的から身を守るために浅い睡眠を繰り返すときの表情と似ているのかもしれない。
素晴らしい作品をありがとうございました。