第19話―芽吹き―その1
シャワーを浴びてさっぱりとした。
ちょっと早いけど寝ちゃおうかな……
俺はリビングの電気を消して、自分の部屋へと向かった。
「水谷さんと咲夜が着替えてたのか……」
俺の部屋で可愛い女の子が着替えていた。
そう思うと色々とこみ上げてくるモノがある。
ただでさえ、悶々としているというのに……
『見て見て! めっちゃ可愛くない?』
メッセージと共に、水谷さんが水着姿の写真を送ってきた。
女の子から水着姿の写真を貰うとか、男子高校生には刺激が強すぎる。
「……やばい。普通に好きになりそうなんだけど……」
まだ好きじゃないと言ってるくせに、もはや陥落寸前なのかもしれない。
いやいや、俺はそんなちょろくないぞ?
気が付けば、俺は変なテンションで水谷さんに変なメッセージを送っていた。
『俺の水着姿も送った方がいい?』
……さすがにこれはないな。
すぐに送信を取り消そうと思っていたら、水谷さんから電話が掛かってきた。
『見る!!!!』
夜なのに元気な声でびっくりした。
意外とスケベなところあるよなぁとか思いつつも、俺は苦笑いで返答する。
「冗談だよ」
が、しかし、水谷さんは諦めない。
『見る!!!!!!!』
水谷さんからはいいから見せろという不屈の意思を感じる。
「どうせプールに行くんだし、その時の楽しみにしたら?」
俺の水着を見せる機会はまだあるし、今見るのはもったいない。
そう説得してみたら、わりと通用したようだ。
『……それはそうかもね』
「水谷さんって本当に男の子の体に興味深々だよな」
『まあね。男の子の筋肉見たくて陸上部入ったくらいだし!』
「まじで?」
『あははっ、嘘だよ~。騙されてやんの~』
水谷さんが俺をケラケラと笑う。
ほんと、いい性格してるよな水谷さんって。
いつもからかわれっぱなしなのも負けた気がするし、ここは俺からも仕掛けよう。
「今日は本当に水谷さんと遊べて楽しかったよ。まあ、うん、その……」
どこか意味深に、まるで今から何か大事なことを言いたげに、わざとらしく神妙な声色で言い淀む。
「えっと、どうかした?」
「……水谷さんに聞きたいことがあるんだけどさ、ちょっといい?」
「う、うん」
いつもよりも心なしか低くてテンション感の違う俺の声。
水谷さんはただならぬ雰囲気を感じたのか、ちょっと声を震わせた。
俺はしめしめと思いながら、どこか警戒していそうな水谷さんに告げる。
「もしさ、仮の話だけどさ。俺が本当に……、水谷さんのことを好きになっちゃったって言ったら……、どうする?」
思いのほか、ガチ目な感じで言ってしまった。
俺が冗談だとカミングアウトをする前に水谷さんが言う。
「ん~、ごめんね。今のところはまだ無理かな。いや、ほんと、別に輝明君のことが嫌いなわけじゃないんだよ。ただまぁ、お付き合いとなると、それはまだ早いし今はちがうんじゃないかなぁ~って感じ」
大真面目に答えられてしまった。
なんか申し訳なくなってきた俺は水谷さんにすぐに謝る。
「別にその……、水谷さんがからかってくるから、そのお返しに……という感じでして……」
「え~、酷いなぁ~、ちょっと大真面目に返答した私がばかみたいじゃん!」
「ほんとすみませんでした」
「ううん、普段から私もからかいまくってるし、全然気にしてないよ?」
なんか変な空気になったな……。
ちょっと後悔してると、水谷さんが俺をからかってきた。
「あ、輝明君にいいことを教えてあげる。まだ友達にしか見れないけど……、少なくとも男友達の中で一番仲が良いのは輝明君だよ!」
今のところ可能性が一番あるのは俺というわけだな。
ちょっと期待させるようなことを言ってくるの本当に良くない。
「てか、水谷さんってどういう人が好きなの?」
まだ何も知らない。
水谷さんがどういう男の子が好きなのかを。
興味本位で聞いてみたら、水谷さんは少し恥ずかしそうにボソッと言った。
『……私の話をよく聞いてくれる人かな』
水谷さんはおしゃべりが大好きだ。
それに嫌な顔をせずに付き合ってくれる男の子がいいわけだな。
とまぁ、つまりは……
「俺のこと?」
水谷さんを笑わせたい一心でボケてみた。
するとまぁ、水谷さんは笑ってくれた。
『あははははっ! 確かにそうだね!』
「ほかには?」
『ん~、なんだかんだでお願いを聞いてくれる人とか?』
「それも俺ですね。今日なんて、水谷さんのためにブーメラン型の競泳水着を着ましたし。……これは本気で水谷さんの攻略を頑張るときがきたか!?」
どうせ、いつも通りに頑張れば? と言われると思っていた。
けど、水谷さんからは何の反応もない。
『…………』
通話中のスマホからは何の音も聞こえてこない。
通話が切れたのかと思い、こっちから水谷さんに呼び掛けた。
「おーい。大丈夫?」
『あっ、うん!』
「急に声が聞こえなくなったけど、どうかした?」
軽い気持ちで聞いたときだった。
どこか恥ずかしそうな声色で水谷さんがボソッと呟いた。
『えへへ、輝明君って、わりとアリなのでは? ってドキドキしちゃってた』
うん、水谷さんって本当にズルいよな。
そんな思わせぶりなことを言われたら本気になっちゃうだろ……。
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