第12話おでかけその1
今日は水谷さんと咲夜とお出かけをする日だ。
加藤のお兄さんがやっている美容院で髪を切って貰ったり、季節感に合わせた洋服を選らんだりと準備は万全だ。
別に咲夜と一緒に買い物に行くのはどうってことないけど、水谷さんと買い物に行くと思うと本当に緊張する。
お出かけ前から冷や汗をかきながらも、俺は待ち合わせ場所に辿り着いた。
するとそこには……
「あ、輝明君!」
水谷さんが俺を見つけて駆け寄ってくる。
今日の水谷さんは制服姿ではない。
肩が出ている白のブラウスに、足のラインがハッキリとわかるようなスキニージーンズといった私服姿で現れた。
ただでさえ、ドキッとするような姿で現れたというのに、眩しい笑顔で俺の方に駆け寄ってくるのもこれまた破壊力が凄い。
「お、おはよう。可愛い私服だな」
「えへへ、でしょ?」
水谷さんは少し照れくさそうに笑った。
そんな彼女は俺の格好を舐めるように上から下と見るや否や、グッと親指を立ててサムズアップをして俺を褒めてくれる。
「輝明君も今日はイケてるね」
今日のためにちゃんと髪を切りに行ったり洋服を選んで良かった。
水谷さんに褒められたことで満更でもない顔になっていたら、背後から声が聞こえてくる。
「ええ、輝明にしては今日は良い感じね」
声を聞いて振り向くと、そこには私服姿の咲夜が居た。
さてと、待ち合わせ場所に全員が揃ったな。
「じゃ、行くか」
目的地に向けて歩こうと言った。
だが、水谷さんにちょっと怒られた。
「あのさ~、咲夜ちゃんの格好について何も言わないの良くないよ? 今日はおしゃれしてるんだし、ちょっとくらいはちゃんと見てあげないと」
ぷんぷんと可愛く俺を叱る姿の水谷さん。
そんな彼女に言われたこともあり、俺は咲夜の格好を見る。
咲夜は白のワンピースにカーディガンを羽織り、小さめなショルダーバッグを斜め掛けしている。メイクもいつもよりもハッキリとしており、ただでさえ整っていた顔立ちはいつも以上に大人びている気がした。
今日の咲夜はまるで雑誌から飛び出してきたモデルのようだ。
確かに、これを見せられて男が何も言わないのはあり得ないかもな。
俺は照れながらも、咲夜の格好について触れる。
「わ、ワンピースがよく似合ってて可愛いと思う」
もっとこじゃれた感じに褒めようと思った。
けど、なんだか恥ずかしくてそれはできなかった。
咲夜はそんな俺を見て、口元に手を添えてくすくすと小さく笑った。
「ふふっ、まさかあなたに褒められる日が来るなんてね」
「おかしかったか?」
「別におかしくなんてないわよ。ただまぁ、照れくさそうに私を褒めたところがちょっと可愛かっただけよ」
「あははは~、確かに。いかにもこういうこと言い慣れてないんだろうな~って初々しさがあって、あ、ちょっとかわいいかも! って思ったもん」
「でしょ?」
そんなに俺のことを可愛い可愛い言わないでくれ……。
日曜日。
こうして、俺と咲夜と水谷さんのお出かけは始まるのであった。
※
今日のお出かけの目的は水着を買うというものだ。
早速、俺達は水着のお店にやってきたわけなのだが……
女の子の水着選びに男が同行してもよいモノなのだろうか?
なんて不安に思っていたときだった。
「すみませ~ん。男の子と一緒なんですけど大丈夫ですか?」
水谷さんが水着売り場の店員に声を掛けて確認する。
そしたら、店員さんは笑顔で言ってくれた。
「はい、他のお客様に不安を与えないようにお気をつけ頂ければ問題ないですよ。更衣室も他のお客様がご利用でなければ、男性の方を呼んで試着してるところを見せていただいても構いませんよ」
「だって、輝明君。いや~、連れてきたのにバイバイにならなくて安心したよ」
「それではごゆっくりとお選びください」
店員さんは目の前から去りレジの方へと帰って行った。
水谷さんは事前にネットで選んだ水着を探し始めるかと思いきや……、
「あ、これも可愛いね」
事前に選んだ水着とは全く別の水着に興味を持ち始めた。
まあ、だよな。色々と見なくちゃ損だもんな。
気になった水着を手にしている水谷さんに俺は言う。
「水谷さんなら今持ってるピンクよりも違う色の方が似合うんじゃない?」
「お、輝明君も水着選びにノリノリだね」
「せっかく来たのに黙ってる方がおかしいしな」
「うんうん、そうだね。良さそうな水着を見つけたら、じゃんじゃん私にこれどう? って声を掛けて!」
「水谷さんそれはダメよ。布面積の少ない水着を渡されちゃうわよ?」
そんなことしないからと俺は苦笑いになりながらも、俺は水谷さんに似合いそうな水着を探してみる。
結局のところ、水谷さんっていう素材が最高級品だから、どんな水着を選んでも絶対に可愛くなりそうなんだよな……。
お、アレいいかも。
オフショルダーの白いビキニを見ながら俺は水谷さんに聞く。
「あのオフショルダーのビキニの胸元のフリルだけどさ、形が凄く可愛くないか?」
「あ、ほんとだ。あとで試着してみようかな」
「っと、あっちもいいな」
「え~、どれどれ?」
水谷さんに積極的に俺は声を掛け続ける。
ああでもない、こうでもないと、水着を楽しく選んでいるときだ。
「私ばっかりじゃなくて咲夜ちゃんのも選んであげたら?」
今日は咲夜ちゃんもいるんだよ? と言われた。
いやいや、咲夜は俺の選んだ水着なんて絶対に着たがらないぞ?
とか思いつつも、水谷さんの言う通りに咲夜に似合いそうな水着を探してみた。
「あの白のワンピースタイプとか似合いそうだな」
大人びた咲夜に似合いそうなワンピースを勧めてみた。
咲夜はというと俺に勧められた水着を見て複雑そうな顔になる。
「アレを買おうかなとずっと思ってたのよね。でも、輝明に勧められちゃったら、あなたを喜ばそうって感じに見えそうで買いづらくなるじゃないの……」
「なんか悪いな。でも、あのワンピースタイプの水着は絶対に似合うと思うし、試着してみたらいいんじゃないか?」
「……まあ、そうね。せっかくだし試着してみようかしら……」
「あ、じゃあ私も気になってたの試着する!」
二人は店員さんに声を掛けて試着室へと向かう。
さてと、店内には他にもお客さんがいるし、二人の試着が終わるまでお店の外に出てようかなと歩き出したときだ。
水谷さんが俺の手をグイっと引っ張った。
「いやいや、試着するんだから見てよ。試着した姿とか見せる気なかったら、そもそも輝明君を連れてこないからね?」
水着を試着した姿を見せてくれるそうだ。
うん、やっぱり今日は一緒に来て良かったかもしれない。
水谷さんは試着室に入る。
そして、それから数分が経つと試着室のカーテンがシャーという音と共に開いた。
「えへへ、どうかな?」
さっき俺が勧めたオフショルダーの白いビキニに着替えた水谷さん。
そんな彼女は少し照れくさそうに微笑みながら試着した姿を見せてくれる。
肩をすっと出した白いオフショルダービキニが、水谷さんの爽やかさと可憐さをいっそう際立たせている気がする。
「ねえねえ、黙ってないで何か言ってよ?」
あまりにも水谷さんが可愛すぎて固まってしまった俺に水谷さんが言う。
俺は慌てて口を開いた。
「す、凄く似合ってるよ。俺はこの前見た水着よりもそっちの方が好きかも……」
水谷さんが可愛すぎてニヤニヤしそうになるのを必死に抑えて、俺は水谷さんに感想を言った。
するとまぁ、水谷さんは嬉しそうな顔で俺の感情を揺さぶるような可愛いことを言いだした。
「輝明君が好きって言ってくれたし、今年の夏はこの水着にしちゃおうかな……」
可愛い顔でそういうこと言うのずる過ぎない?
試着室の中にある鏡を見て、真剣にこっちの水着にしようかと悩みだした水谷さんを見て俺はドキドキとしてしまうのであった。
こ、こういうときは咲夜を見て気持ちを落ち着かせよう。
俺は咲夜が使っている試着室の前に向かい、中にいる咲夜に声を掛けた。
「さ、咲夜はどんな感じだ?」
俺がそういうと試着室のカーテンが開いた。
「……はぁ。私なんか気にしないで水谷さんの方をずっと見てなさいよ」
咲夜は文句を言いつつも俺の前に姿を現した。
そして、咲夜が白のワンピースタイプの水着姿で現れた瞬間、俺は頭が真っ白になって何も言えなくなった。
露出は控えめな水着なのに、咲夜が着ると可憐さと大人っぽさが同居していて、大胆なビキニよりも破壊力があるのだから。
今ままで気にしていなかったから気が付かなかっただけで、咲夜はとんでもなく可愛い子だった……のか?
「もしかして、私の水着姿に
いじらしい笑みで咲夜が俺をからかってきた。
変に動揺をしているのを悟られたくなくて俺は慌てて口走る。
「だ、だって可愛いし……」
まるで本当に見惚れてしまっていたかのような俺の発言。
咲夜はその言葉を聞いた瞬間、思いもよらなかったのか顔を真っ赤に染める。
「……っ、もういいでしょ!」
恥ずかしさを隠すように言い捨てると、咲夜は勢いよくカーテンを閉めた。
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