名を知らないものへ捧げる爆裂の鎮魂歌

猫こんた

プロローグ

私は誰なんだ……?それにどこから来たんだ……?そしてここは何処なんだ……

「……ないねー」

「ん……ここは……?」

「あ、おきたー!」

子供が部屋の外に出ていった。

(いったいここは何処なんだ……それだけでもいいから教えてくれ……)

「体が動かない……」

体を動かそうと奮闘していると羽の生えた子供が現れた。

「起きたのね、あなた、1か月は寝ていたよ」

「1か月……ここは何処なんだ、教えてくれ」

「そう焦るんじゃないよ、ここは異世界、だけどあなたは転生者、わかる?」

(転生者……?どういうことだ?)

「すまないがその転生者ってどういうことだ?」

「その服装に背中の痣、そして名前が書かれたボードがポケットに入ってたんだ」

「……思い出せないな、転生してきたこと」

「そうか、ならゆっくりと休んでいくといい」

そう言って羽の生えた子供は部屋の外に出ていった。

(……友好的な感じだったな……だが食料として捕らえているのか……?でも食べようとしていなかったよな)

ポケットの中にあるボードをみると私の名前らしきものが彫られていた。

(アレキサンドライト・ルンダ……これが私の名前なのか……?)

ボードを注意深く観察していると光を放ち始めた。

「……なんだこれ」

私はその内容に目を通した。アレキサンドライト・ルンダ 17歳 ペンタグラム名 タッチ・ザ・ダストと……

(タッチ・ザ・ダストってなんだ……?それにペンタグラムってのはなんなのだ……?)

空中に浮いている文字を見ていたらまた羽の生えた子供が部屋に入ってきた。

「どう?思い出せそう?」

「いいや、まったく」

「体は動くか?」

「動かしてみたけど全く動かないんだ、それに感覚がないんだ」

「本当に?」

羽の生えた子供は布団をめくった、そこには子供が乗っていた。

「そこにいたのか……向こうの部屋に行ってなさい」

「はーい」

「ごめんね、私の子供が悪戯をして」

「……動く……動く」

「よかった、一旦知り合いの宿に案内するから、乗って」

羽の生えた子供は私をおんぶしてこようとした。

「大丈夫だ、私には足がある」

「めんどくさいなぁ、私に乗った方が早く目的地に着くのに」

「……なら乗っていこうかな」

私は羽の生えた子供におんぶしてもらった。

「さてと、しゅっぱーつ」

窓から飛び出した。

「ひぃぃぃ」

周りの景色はレンガ造りの建物が建っていた。そして奥には森があった。

「さてと、あなたの名前は?」

「……アレキサンドライト・ルンダ」

「長ったらしいからルンダでいい?私はローズ・マリー、マリーって呼んで」

「マリー……さんでいいんですか?」

「そうだね、じゃ、しっかりと掴まっててよね、飛ばすよ!ルンダ!」

そうしてマリーさんは物凄いスピードで飛行し始めた。

「ここ、ちょっと待っててね」

森の中に建物が建っていた。緑が生い茂る中、この場所に人って来るのかな……?

「うーん、いなかったけどとりあえず泊めてもらえるようになったらしいよ」

「そうですか、ありがとうございます……」

「困ったら、このペンダントに声を吹き込んで、そしたら駆けつけるから」

そうしてマリーさんは飛び去った。

(あの人……飛ぶときパンツ丸見えだなぁ)

そうして私は見知らぬ土地でどういうわけか知らないがここで暮らすことになりそうだ……記憶も取り戻していかないといけないなと思い、本気で思い出そうとしていた。

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