3話 王国軍の徘徊
私は指定されたエリア内を耕していった、その時、後ろから声がかかってきた。
「ねぇ、君、転移者だよね」
「転移者か転生者から知らないけど、私は転移者です」
どうやら王国軍の人らしい、急に腕を掴んできた。
「ほら、ここは人食い魔族がいるから危ないよ」
「いえ、仕事終わってないので離れられないです」
「国にも仕事はあるんだよ」
その時、ルナは冷えた声でこんなことを言った。
「ねぇ、私の大好きな人間をどこに連れて行くのかな」
「な……なんだ、ガキか、お前もついてこい、ここには人食い魔物がいるんだぞ」
「そうなの?なら、その魔物がここにいたら?」
その時、軍人の顔が90度に曲がった。
「私が何なのか、知るべきだったね」
「ありがとうございます……」
「まだ感謝するべきじゃないよ」
その時、草むらから明らかに上の人間が来た。
「おやおや、部下が何かしましたか?」
「この子を誘拐しようとしたんだ、守って当然でしょ?」
「でもそいつは転移者じゃないか、肉がたっぷりあるのに、どうして食べないんだ?」
「気になるからな、だから回れ右して帰って」
不機嫌そうに言い放ったところに、剣が応じた。
「ならお前を切り捨てる、リーリッヒ神の名のもとに」
「イチカ、あなたは逃げて」
主人を置いて逃げるなんて、いやだ。
「私も戦います」
「死んでも知らないよ、本当は生け捕りにしてこいと言われてるけどね」
その時、ルナの空気が一変した。
「何が生け捕りだ……?お前らは人間にあらずだ、私の胃袋の中で消えてなくなれ!」
その目は、野生を宿してギラついた。
「遅い!」
爆発したかのような踏み込みで移動し、幹部の目の前に現れる。
「おっとぉ!?早いなぁ!!分が悪いかな」
躱した途端、奴は鏡を出した。
「いったん撤退するか、数的不利だな、名乗りを上げておこう、王国軍のタリナだ、さらば!」
タリナは一瞬で目の前から消えた。どういう仕組み何だろう。
「少し血が沸騰しちゃった、ねぇ、食べていい?」
「いいですよ、ほら」
その時、目の色が変わった。
「少しは人の心が融けたかな、食べたいのは食べたいけど、別の意味ね」
「……脱ぎましょうか?」
「いいや!?まだ敵がいるかもしれないからね!?」
私は頼まれれば服を脱ぐ、でも止められたから脱がない。
「ルナと転移者、面白いなぁ」
タリナは王国でなく、近くの木にテレポートしていたんだ。
「しかし、転移者の剣捌き、目を見張るものがある。いいねぇ」
そいつは戦闘狂だった。
「いつか戦えることを、願っているよ」
そしてタリナは木を伝って逃げた。
「まだいたのか...さて、ご飯にしようか」
「はい」
私の心の氷は、少しずつ溶けているようだった。
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