第10話 最強の結界魔法師、実は魔人と知り合い
単純に、ライラ・アイゼンバーグの実力を認めざるを得ないだろう。
「
「わかればよろしくてよ」
音もたてず、暑いのか冷たいのかよくわからない茶をすすり唇を濡らすライラ。さっきから思っていたが、こんな場所でひとりお茶会を
結界魔法師として相当の腕があるのはもうわかったが、この所作をここでお
「僕たちはここへ修行に来ただけだ。もはやSS級のダンジョンでなければ、僕たちの実力は上げられそうもなかったものでな」
ライラの強さに敬意を表し、僕から僕たちがここへ来た目的を素直に話した。
「学園近くにある、S級のガストラダンジョンでは物足りないのかしら?」
「ああ。あそこはもう何度も攻略済だ……」
……今ふと思ったのだが、あのダンジョンの隠し部屋にいるアス姉にお願いすれば、もしかしたらガストラの難易度も上げられたのかもしれないな。エニグマダンジョンではミルちゃんがそれやってくれたワケだし。
わざわざこんなところまでやって来なくてもよかった説が急に浮上した。
「シャンバラヤであれだけの大立ち回りが出来るメンバーですものね。そりゃガストラ程度のダンジョンじゃ、ウォーミングアップにもならないですわよね」
納得の表情を浮かべるライラ。
あの戦いは彼女もしっかり観覧していたようだ。そこで実力は推し量られていたのだろう。
「でも、せっかくこんな遠くのダンジョンまでやって来たのに、地上1階の魔物はみーんなライラさんに倒されちゃったみたいね……」
メアが周囲をグルりと見回しながらそう言った。
「地下には……今日は、行きたくない……」
カナデの思考は現実的。僕も同感だ。
できれば今日はこの地上1階だけで、軽く汗を流して帰るつもりだったのだが。
「なにもせんと帰るというワケにもいかんだろう。地下1階くらいは探索するぞ」
出鼻を
せめて地下1階の様子だけでも確認しておきたい。
「はぁぁ……」
そんな僕らのやり取りをジト目で見つめ、深いため息をつくライラ。
なんだ?
もしかして地下1階も今とまったく同じ手法で、敵を圧死させてひとりだけ経験値を積み上げるつもりだったのか?
さすがにそこは少し譲ってくれよ、ライラ。
僕ら一応、キミにとっては可愛い学園の後輩にあたるワケだから、先輩としてそこは空気を読んで、配慮してほしい。
まぁ、ライラがここへ来た目的が自身のレベル上げかどうかは知らんのだけど。
「そういえば、この階層の出口はどこにある?」
僕は一度後ろを振り向いた。
そこには僕らが入って来た入口がある。
ぼっかり人が2人ほど通れる穴が開いている場所がそれだ。
上を見てみる。
天井はかなり高く、アーチ状の造りになっている。光源となる魔力光がいくつも取り付けられ、中は相当に明るい。
そのまま伝うように視線を移す。
天井と繋がるようにごつごつした壁が周囲をドーム状に
もっとも、壁にはべったりと血のりと、ぺったんこになった魔物の皮と毛が大量に張り付いてはいるのだが。
あ、もしかしてそれのせいで出口が塞がって見えなくなっているのか。アレを引っぺがさないと下層へは降りられないって寸法ね。
「出口、ないわよ」
「……は?」
僕の視線と表情から、僕が何をしているかを察したライラが身も
出口がないとは一体どういうことだ?
「ああ、ごめんあそばせ。ちょっとその言い方だと
いや、言い直してもまったく意味不明だ。
「ミズ.ライラ。さすがにそれでは説明が足りな……」
「……来ますわよ」
「えっ?」
「魔人」
ゴゴゴゴゴ……
地が縦に小刻みに揺れ始め、地鳴りが耳を不快にする!
「なんだっ!?」
「アークッ!」
「うわ……揺れてるぅ……」
魔力で足元固定してないと転がって壁に激突してたかもしれん。そのくらい、いまこの空間は激しく揺れている。
この肥満体型、ホントどうしようもない……
い、いや。
今はそんなことを考えている場合ではない。
「
地の震動が徐々に収まっていく中、僕は前方約10m先の地面にその陣の
【
端的に言えば、魔人の移動用魔法陣だ。
魔人は基本的に魔界に住んでいる。いわば裏世界の住人。そこからこのグランドテイルズの表世界、僕らが住んでいるこの世界にやってくる時に用いられる陣がコレだ。特殊な魔力力場を形成するダンジョンでのみ顕現が可能。
そしてマビトダンジョンは、その特殊な魔力力場を有するダンジョンだ。
ちなみに僕の原作知識では、彼らは日の光を浴びると溶けてしまう仕様だったはず。だからダンジョンの外には出られない。原作改変されてなければね。
「だる……ああ、だるッ!」
陣の中央からニョキニョキと人……じゃなかった、魔人が生えてきた。
けだるそうに
「今日こそ地下へのルートを開けてもらうわよ、トゥダゴイス!」
ライラが敵意むき出しにしている、トゥダゴイスってコイツが魔人なのか?
頭部からは凶器のようなぶっとい角が二本、空に向かって生えている。牙の犬歯も鋭く、目は切れ長でギョロついていて、上背はないが見た目は完全に魔人のソレだ。威圧感も確かに感じる。
ただまぁ、その魔人の特徴を差っ引いてじっくり彼を見てみると、正直ただのイキったちっさいおっさんにしか見えなくもないので、魔人の中では弱そうな部類の相手な気もしてならないのだが。
「無理やって、ライラねぇさん。何度ここへやって来ても、下層へは行かせられへんねん。いい加減、諦めなはれや」
関西弁……
い、いやそんなことより!
この二人……
お互いに、どうやら面識があるような口ぶりだ。
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