『スーパー・ソウ 聞き取れなくて構わないから生きたいと言ってください』
スーパー・ソウ。聞き取れなくてに繋がるので、きっと複数のノコギリ波を組み合わせたsuper sawのことだと思う。
シンセサイザーの音を思い浮かべた時に多くの人が想像するあの音。倍音が多い音であるので一つの音が鳴っているというより、たくさんの高さの音がぎゅっと詰まったようなシュワシュワとした音。
本当に言いたいことを基音としたときに、それ以外の建前や言いたくないことを倍音であると表せる。つまり、スーパー・ソウという言葉から感じるのは心の叫びのような悲痛さを纏った声である。
また、「聞き取れなくて〜」からはただ突き放すよりも、近い位置での寄り添い方を感じる。正しく心の叫びを細分化して適切な処理を施すことは不可能である。辛い気持ちをわかるだなんて言いたくはない。だから、多くの倍音の中、辛さや弱さや恐さの中に隠れた、それでも生きたいという基音だけは聞き取りたい。そんな意思を感じた。
生きたいから叫ぶ。生きたいから助けを求められる。
スーパー・ソウという言葉が作り出す隙間から、心の芯にたどり着くような温かさを感じるところが魅力的でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。