第17話 魔法の授業…?
バーベルはまあ重りを付けて持ち上げれば良いのでいいとして、腿筋測力定器と腹筋力測定器での測定は大変だった。そして大変な測定をしてカスのような結果を叩き出し、悪役令嬢には散々馬鹿にされた。
いいもん、魔力値では大勝ちしてるし……!
というわけで『測定』が終わった。本当に疲れた。明日は筋肉痛になってそうだ。
◇
続いての授業はトトノ先生による魔法学の授業だった。厳密に言えばさっきの『測定』も魔法学だったので二時限続けての魔法学の授業になる。まあなんてったってここは魔法女学園なので魔法学の授業が多いのは自然な事と言えるだろう。
「えーでは、編入生ちゃんたちが居る事だし、魔法の基本的な事からおさらいしていくよー」
教壇に立つトトノ先生が言った。
「まず魔法っていうのは、わたしたちの魂が生成するエネルギー、魔力を様々な方法によって現象に変換したものの事を言います。ただこれは結構大変で、長ったらしい詠唱をしなくちゃいけなかったり、ほんのコンマ数ミリのズレも許されないような魔方陣を描画したり、魔法的に価値のあるものを代償として捧げたり、と単に魔力を消費すれば良いだけじゃなくて、かなり労力のかかる行為を強いられます。ですのでぶっちゃけ言って、このような魔法の行使をしている人は今の時代殆ど居ません。時代遅れです。なので、こういう魔法の事を古典魔法とか言ったりしていますね」
そ、そうなのか。長い詠唱とかロマンだと思ってたけど。でもよく考えたらわたしも殆ど詠唱しないで魔法を使ったし、アシュロもそうだった。
「じゃあ今の時代、魔法はどのように行使するのが一般的か。大きく分けて三つ。まず一つ目が魔道具」
トトノ先生はどこかから笛のようなものを取り出し、それを口に近付けた。
ボウッ、と音を出して、笛の先端から炎が噴き出た。
教室の中で炎は危なくない?
「と、こんな感じに魔道具を使えば厄介な工程をすっ飛ばして、魔力を流すだけで魔法が使えるってわけ。仕組みとして、例えば詠唱だったり魔方陣だったり、魔法を発動する為に必要な工程がこの機械の中に納まってるの。だからそういうのを省略出来るってわけだね」
この世界にもなかなか便利なものがあるんだな――。
「ちなみに、編入生の二人ももう魔道具は使っていると思うよ。例えば部屋のライトだったり、湯沸かし器だったり。ああいうのも魔道具の一種なんだ。今の時代、魔道具は結構色んな形で世の中に普及してるんだよね。魔力の調達に関しては魔力の消費量が少ないもの、稼働が一時的なものは使用者の魔力を使用して稼働して、魔力消費量が多いもの、恒常的な稼働をするものは外部から魔力を供給しているって形かな。後者の場合は人の魔力じゃなくて星の魔力を使っている形になるけど――っと、本筋から逸れちゃったね。この話はまた今度機会があれば」
トトノ先生は炎を噴いた魔道具を仕舞った。
「では二つ目。固有魔法。人間は基本的に一人につき一つずつ、魂に魔法を宿しているんですね。そして、それを使う時には、魔道具を使うのと同じように、一般的に魔法を使用する際に必要な工程が不要なの。『スキル』って呼ぶ事の方が多いかな。これに関しては説明は不要かな。多分皆スキルは手足を動かすように使えるし、説明しようと思ってもその性質は人によって大きく違うから説明のしようもないしね。意識して発動するスキルが多いけれど、中には常時発動型のスキルなんかもあるしね」
スキル。わたしの【花】もおそらくはこれに該当する魔法だ。
「で、三つ目。魔力による肉体強化。これは魔法に該当するのか否か、意見が分かれる所ではあるね。学術的に魔法を論じる時には魔法とは別のものとして扱われるけれど、あんまり厳密な話をしない時には便宜的に魔法と言う事が多いね。魔力というのは、つまる所生命のエネルギー。それを自らの身体に流す事で一時的に強化をする事が可能というわけ。例えば筋力を向上させたり、骨とかの耐久性を上げたり。そして、肉体強化をすれば例えばこんな事だって――」
トトノ先生は机に人差し指で触れた。
すると、バキィ! と派手な音を鳴らし、その机は無数の木片と化した。
「――って具合に肉体強化こそが、最も効率的で普遍的な『力』っていうわけ! 魔道具の扱いや自分のスキルを磨くのも大事だけど、やっぱり基礎を固めてこそ、そういうのは生きてくるんだよね。
というわけで編入生の二人も、肉体強化をマスターしようね!」
え?
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