幻想の花畑、宝石の樹、沈まない空。そのきらめきはすべて、ただひとりの少女の心から生まれた「ハネ」の世界。最初は自分の居場所を守るためだけの幻想だった。けれど――「救われてるよ、いつも」と好きな先輩に告げられた瞬間、彼女のハネは「誰かを守れるもの」へと変わっていく。不安も恐怖も、手を繋げば消えていく。優しい笑顔と差し出された手が、希美にとっての“現実の奇跡”になる。ポケットに忍ばせた恋が、世界に優しく響いていく。