劇の調査とサエちゃんち
その後、その資料が全部入ったタブレットをもって、これまたトボトボ教室に帰っていたら、
「めいり~っ!そっちはどうだった~?」
結衣がにこにこ返ってきたので、般若の形相でにらんでやったら、
「あー…ね。」
察したようだった。
「劇聞いた?」聞いてたんなら手っ取り早いけど…。
「聞いたよ、偵察は私に任しとけ相棒っ!」
さっすが、私のミギウデだね。よくわかってる。
「じゃあよろしく頼んだよ、他に何か気づいたことある?」
情報はできるだけ多いほーがいいからね、
「妹、っていわれたじゃん?あれさ、誰かの妹なんだろうけど
本条には兄弟居ないラシイの。で、誰のかなぁ、と思って下駄箱見てたら、
何故か、2年生に本条って苗字の誰かがいて、もしかしたら、結奈自体が妹の可能性があるんだよね。ヒスイの所に問い詰めに行ってもいいかな?ヒスイ、二年だし。」
ユイは何をするにも好戦テキ…。
「いや、たぶん聞きに行かないほうがいいとおもう、二人だけで解決しよ。」
ヒスイさんコワイから聞きに行きたくないだけなんだけどネ。
「そっか、そーだね、そうしよ。」
「とりあえず、まず、ラインのさ、自己紹介の所に先輩方の出身の小学校ってのがあったからそこから、ヒスイさんのを確認してそんで、その小学校についてまず調べてみよ。でも結奈ちゃんがウソついてる可能性もあるからなぁ、結奈ちゃんの出身も調べておいた方がいいかな?」
やってることがスパイだよっ!これじゃぁ。
人の個人情報を漁りまくることになってしまう…。
「了、じゃ、その辺はウチがやっておくから、めいりはまず、
おべんきょー頑張ってネ。」
はい…アリガトーゴザイマス…。
「あ、そう、今日さ、さえちゃんちに行くんだけどさ、結衣も来る?」
「え、行きたい…!さえちゃん、優しそうな子だったから話しかけたかったんだよね。」
どうやら、さえちゃんはホントにやさしい人ミタイ…?
「じゃあ、聞いとくね。あ、シグレと結衣が親族だってこと知ってたらしいよ、さえちゃんのおばあちゃん。」
「でしょうね、だって、何でか知らないけど何回かあったことあるっていうか、シグレがよく会いに行ってた。」
ナゾがまた一歩深まってちゃったよ!どうしよう!
「わぁ、ま、とりあえず残りの授業がんばろ。」
「そーね。」
そう言って、ごちゃごちゃしてるクラスに入り、
ユイは結奈ちゃんに捕まり、私はさえちゃんに結衣も一緒に行っていいかの許可をとり。あっという間に午後の授業は終わったのであった。
「ウチの家、こっちなんやけど、二人ともいけそ?」
「全然おっけぇだよっ!」
さえちゃんに続いて、電車に乗って目的地へ。
電車の中で騒ぎすぎておじさんに注意されちゃったけどまぁ、なかったことにして。
ほんとにすぐついて、歩きながらさえちゃんがぼそっと、
「ウチは本条結奈と同じ小学校やったケド…。」
すっごく有力な情報を呟いた。
「え?え?」ユイと顔を見合わせていると、
「結奈には気ぃ付けた方がええで。」
それだけ言って黙ってしまった。これはチョーサのしがいがありそうっ!?
さえちゃんちはおっきい昔ながらの家だった。
さえちゃんによれば、おばあちゃんは昔に上京してそれからずっとこっちに住んでいるらしい。でも、最近高齢になってきて、なんかあったらってときのために、
さえちゃんとさえちゃんのお母さんが、こっちに来たらしい。お父さんは来ていないとか。なんとか。ちなみにさえちゃんは母方のおばあちゃん子らしい。
そしてこっちに住んでいるのが父方のおばあちゃんらしい。ややこしいよぉ。
「さえ、帰ってきてたのかい、あ、友達も来てるんだね。」
家の中から元気そうなおばあちゃんが出てきた。背はちっちゃいけど。
「さあ、あがってあがって。」
気前の良さにつられて私もユイも、家に入れてもらう。
「さえの祖母と申します。お二人はどなたで?」
「あ、えっと泉めいりと申します。」「東雲結衣と申します。」
「あぁ、ユイちゃん、最近、シグレ君はどう?」
「相変わらずって感じです。たぶん。」
「そーなの、それは良かった。最近あんまり来てくれないから寂しかったのよ。」
シグレさん…。何やってたの…。まぁ、頻繁に訪れてたんだ。
「ってことは、二人とも演劇班なのね。」
あぁ、速攻バレた…。さえちゃんにも言ってなかったのに…。
「二人ともそうなん…!」
「ええ」「まあ」
「シグレ君がシナリオマスターだったからってことはめいりちゃんかしら?」
それもバレた…。この人ほんとに何者なのっ??
「私は初代シナリオマスター補佐だったからね。」
え…え?えぇぇぇぇぇ???
「そ、そうなんですか?」
「そうよ。」
「ほんとですか?」
「そうよ?」
大先輩に会ってしまった…。
「まぁ、ゆっくりしていってね。」
すっごくスゴイ情報を残して、さえちゃんのおばあちゃんはどこかに出かけて行った。え?え?あのおばあちゃん、補佐だったの?
三人でだらだらしゃべりながらトランプやら、ゲームやらしているとあっという間に時間が過ぎてしまった。
「そういうたらメイリちゃん、シナリオマスターの授業はもう受けたん?ってかほんなら覚えとかなあかんことぎょうさんあったんとちがう?」
ギ、ギックリ…。
「い、いやぁ、なかったよぉ…?」
「嘘ついてはるな?」
「はい…。」
「じゃぁ、三人で実物調査行こうか?ねぇ、めいり?」
ふたりともっ!いじわるぅぅ。友達と遊んでる時くらい忘れたいんだよっ!
と、二人にさんっざん、電車に乗っていろんなところに連れていかれました…。
ふじゃけんなぁぁ!(ふざけんなぁぁっぁ…。)
そして、解散時刻となり、さえちゃんの謎のおばあちゃんにも挨拶をして、ユイと帰りましたとさ。
「夜は勉強漬けだねぇ??」
「ぎ、ぎくりぃぃ…。いやだぁぁぁぁ。」
「ま、がんばれ、私はお茶してきただけだから。」
わぁぁぁぁんっ!ユイのばかぁぁぁっ!っていうかシナリオマスターなんての私になんかできっこないよっ!!
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