入学式だね!眠い!
「おい、メイ!入学式行くぞ。早くしないと置いてく。3.2.1.…」
ピンポン越しに美少女が怒鳴ってる…。
今日もせっかちな相棒は、私を入学式へと急かしています。
そう、今日は公立中高一貫校静蘭学園中等部の入学式なの!
そして、クラスがさっきタブレットで送られてきたんだけど、
ばっちりユイと同じクラスだった…。
「はいはい、今行きますよ、せっかちさん!」
スクールバックを肩にかけ、制服を整えて、玄関を飛び出す。
「あと二分でバス来ちゃう~!」
ダッシュで坂を下り、バスに滑り込みセェーフ!
ユイは、息を切らしながら
「全く、誰の、せいでこうなったと、思ってるのっ!!」
走らなきゃいけない状況を作った私に怒っているミタイ…。
「ごめんごめぇん、今度からちゃんとするから、許してちょーだい!」
甘えた声で言ったら、
ポカリッと頭を叩かれる。ン?ポカ〇スエット…?
バスの席に座ってぼーっとしていたら、バスにヒスイさんらしき人影をハッケン!?
ユイに、
「ねぇねぇ、あの人、ヒスイさんじゃない?」と聞くと、
「まぁ、スカーフと目線と姿勢からヒスイさんである可能性が高いね、
こっちの席からだと顔は見えないけど。」
ユイ持ち前の観察眼をハッキ。バケモノ…。
駅で乗り換えてしばらく電車に揺られていると、遠くから、誰かのドナリゴエ…。
「ね、ユイ、なんかだれか怒鳴ってない…?」
ユイの方を見たら、怒鳴ってる人たちの方向いて固まってた。
「ね、如何したの?結衣。」
ユイの肩を揺らしていたら、
「ほら、あれ怒鳴られてるの、誰かが怒鳴られてて、それをかばってるのカスミさんとヒスイさんだよ。」
…。
わぁ、ホントだぁ。よくきづいたね、ユイ。
よぉく聞き耳立ててみたら、
「別にあなたには関係ないことですよね?それに勝手にこちらの事情に絡んでくるのやめてくださいませんか?勝手に人の話だけ立ち聞きして、それを先生に訴えるって、なんか違くないですか?ウチらあくまで好きなキャラの話してただけなんですけど。」
すごい勢いで猛反発する、カスミさんと、すごい冷たい目でそのおっさんをみてるヒスイさん。いや、どんな話してたら先生に訴えられるってことが起こるのよ…。
おっさんは何言ってるかよくわかんないけど、
どうやら捨て台詞をはいて帰っていった模様。
「はぁ、」と一息つく、カスミさんはなぜか仕事した後のすがすがしいヨウス…!
ユイは、急にこっちを向くと、
「ねぇ、カスミさんに聞いてみない?」と唐突に言った。
「え、まぁ、う~ん、どうなんだろ…。」
私が困ってるのも気にせず、どんどん進んでいく、ユイ。
「あ、ちょ、待てって、」
私が言うのも全く聞かず、
「お早うございます。カスミさんにヒスイさん。」
カスミさんとヒスイさんにご挨拶。
仕方なく私も立ち上がり、三人の方へ。
「お早うございます。どうかなさったんですか?」
私が聞くと、ヒスイさんは、
「は?お前らには関係ない。」
なんか怒ってるご様子…。ってかウチら何にもしてないし…。
「まぁまぁ、ヒスイ君、おちついてよ。一応下級生の前なんだし。」
カスミさんがなだめている。
「取り込み中のところ失礼いたしました。」
ユイの頭を強制的に下げて、ヒスイさんとカスミさんに礼をすると、
「二人とも、ちょっとこんなところで礼しないでよ。こっちが困っちゃうじゃない。
まぁ、取り込み中ではあるんだけど。大丈夫よ。
二人もやっぱり私たちと同じ中学なのね。制服、似合ってるよ。」
「あ、ありがとう、ございます…。」
あんまりそういうこと言われたことなかったからうれしいなぁ。
「二人は入学式なのね。ウチの学校は生徒全員入学式に参加するから、全く困ったものよね。わたしたちもいるわ。探してみてね。あとそういえば、そんなに敬語じゃなくて大丈夫よ。というか、敬語は使わないでほしい。いつになっても距離が縮まらないから。演劇班では班員同士、仲良くするのも大切なの。ネ?
もうそろそろ学校の駅につくから、荷物まとめた方がいいわよ。」
カスミ、えっとカスミさんはそういうとヒスイさんと一緒にまた何かを話し出した。
流石に敬称略で話すのはちょっと無理そう…。
「どーやら、新入りのウチらには教えてくれなそうだね。」
二人で、荷物をまとめて駅に着いたので学校の方へ向かう。
新入生もたくさんいるみたいっ!きんちょうするっ!
学校への道を歩いていると、
わぁぁぁぁ、きゃぁぁぁ、
悲鳴かと思ったら黄色い歓声が聞こえてきた。
アイドルでもいるのかな?っていう勢いだったのでユイと一緒に騒ぎの方を見れば、
「ゲ…。シグレ…。それにライじゃん…。」
先代シナリオマスターと式神演劇班班員だった…。
っていうか、先輩のまわりに女子が群がってる…。新入生もいるじゃん…。
え?ライさんもシグレさんもそういうキャラなの?
「わぁ、これはすごいねぇ、」
シグレとライの嵐が去って、ほっとしていたら後ろから、
スクールバックにショーゲキ!
「わぁ!?」ユイと私が驚いていると、
「おひさしぶりだね、ユイちゃんにメーリちゃんっ!!」
キラキラオーラを全身にまとい、髪を左右にお団子にしてヒヨリさん登場!?
「お、あ、えっと、おひさしぶりです。」
ユイとぺこってお辞儀をしたら、あたまナデナデされた。
頭を押さえて顔を真っ赤にしていたら、同じポーズのユイが、
「なでなでしないでくださいよっ!」
むくれてた。そんなユイも可愛いなぁ…。とか思いつつ、周囲を見渡せばユイとヒヨリさんにタイリョーの視線…!?
まぁ、美少女二人がそんな会話してたら誰しも見たくなるか。
二人に気後れしつつ、
「ほら、ユイ、おくれちゃうよ。」
っていったら、「やっば~いっ!!おくれる~!」
全力ダッシュしはじめた。でもねぇ、みなさん、このシノノメユイっていう生物は
ヒジョーに足が速いんですよ?知ってました?
小学校の運動会ではリレー選で落ちたことないし、っていうか確実に入ってた。
「ちょっと、まってよぉぉ~!」
私も負けじと走るケド、ユイは人ごみの中に隠れて見えなくなっていく。
かろうじて見えるユイの髪留めのリボンを目印に、走っていたら、
「何それ、たのしそーじゃん?」
となりに並走してきたヒヨリさん。
ユイもヒヨリさんも他の人に目立つことしすぎだよ~!
ヒヨリさんにつられて速度を上げて、校門までとうちゃーく!
はぁはぁ、ひぃひぃ言っていると、
「メーリ、遅い!」
ユイが私のカバンから小さい水筒を出し、渡してくれる。
いや、私が遅いんじゃなくて、あんたが早いんだよ。ユイっ!
「ありがと。」
となりで二リットルのアクエ〇アスをがぶ飲みしているヒヨリさんを横目に
ちまちま麦茶をいただく私。
え?二リットルのアクエ〇もって走ってたの?ヒヨリさん…?
「新入生の人はこちらへー。」
先生の声がする。
「じゃ、メーリ!イクヨっ!」
また、猛スピードで走っていくユイにボーゼン…。
「ユイちゃんってすごいんだね。私も走りたくなってきた!!」
まってまって?ヒヨリさんとユイが走ったらこの場、コンランの嵐がおきるよ?
「ちなみに、あの二リットルのアクエ〇は…?」気になって聞いてみれば、
「あぁ、今ちょっと風邪気味で声出にくいんだよね。だからなの!」
風邪ひいてるのに二リットルのアクエ〇もって爆走してたんだ、ヒヨリさん。
ユイに続きバケモノ二号とうじょうだねっ!
「ありがとうございましたっ!ではまた次合う時に!」
私が挨拶をして別れようとすると、
「あ~、そうそう、今日は一応なんか起こる日、みたいだから。気を付けてねっ!
カスミちゃんの予測で、そういう結果が出てるみたい!シグレさんとかもいるけど、まぁキケンかもだから、ほら、ユイちゃんにも渡してね。」
お守り、と書かれたお守りを二つもらった。
「ありがとうございますっ!」
精一杯礼をして、ユイを追っかける。
下足室の前には一年生のクラス分けの名簿が書かれた紙が貼ってあった。
まぁ、メールで送られてるから知ってはいるけどユイは確認してないみたいだから。
ユイはクラス分けの所で止まっていた。というか、時が止まった顔をしていた。
ユイの肩をゆさゆさしながら、
「ねーねードーだった?クラス~!」
と聞くと、恨めしそーな顔で
「ま~たあんたと同じクラスだったよぉ。相棒っ!」
思いっきり、頭突きをかまされた。
ユイってこういう変なところあるんだよね。
「おっけ~!」
確認してみたら、3組だった。ちなみに5組まであった。
おおいなぁ。すごくおおいなぁ。ウチの学校はそもそも3組までしかなかった。
「あ、そうそうヒヨリさんが、お守りくれたの。渡しておくね。」
そういってユイにお守りを渡した。
「おっけぇ。ってことはなにかあるんだね。」
流石ユイ!察しがいいねっ!
ふたりで教室につけば、もうほとんどの人がそろっていた。
入学式はとにかく眠かった。私はこーちょーせんせーのお話の時点でもう夢の国へと飛び立ってたんだけど、座ってる席の後ろからスゴイ視線を感じておおあわてで
うしろをみたら、ユイが、「次寝たら、どうなるかわかってるよね?」っていう目で、こっちをにらんでた。
まぁ、全く気にせずそのあともちょっとねちゃったんだけどっ!
入学式が終わって、教室に戻ると担任から、事務連絡があった。
事務連絡はそんなにおもしろいのなかったなぁ…。
入学式の後に「新入生歓迎の会」ってのがあるらしいんだけど、それのプログラムが配られてそれをぼーっとみていたら、司会のところに東雲紫雨って書いてあってびくっとしてたら、それを後ろの席から見ていたユイが笑っていた。担任は、
「これからは、前年度の中学生徒会の人たちがいろいろしてくれるから。」
とかなんとかいって職員室に帰っていった。
まあ、予想通りみんなの自己紹介タイムが始まった。
新しい学校で早く友達を見つけたいの…かな?
私はそういうのメンドウだから話しかけずにユイの方を見てたら、みるみるウチにユイの周りに男女問わずに人が集まってって、こっち側からの席からは見えなくなる。
やっぱり人気者はチガウねぇ。ユイはなんとかうまくやってるようだったので、私は鞄の中に入っていた本を取り出して、読んでた。
でも2分後くらいにふと廊下から視線を感じて廊下の方へ眼をやると、
こっちをジィっと見ているヒヨリさんがいた。
なんか用件があるのかな?なんというか式神演劇班って
立ち上がってヒヨリさんの所へ行くと、
「劇だよ。劇!」
唐突な劇宣言。いや、私何にも知らないよ?劇のコトとか。
「私全然わからないんですけど。」
ヒヨリさんに言うと、
なんで歓迎会が遅れてるのかの説明はしてくれたんだけど、
「まぁまぁ」の一点張り。
全く埒が明かなくて…。
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