式神演劇班について

「えっとねぇ、まず、結衣ちゃんとめいりちゃんも座っていいよ。」

さっきからずっと立ってたから足がイタイ。

やっと座れる~。

結衣はきちんと正座で座ると、

「で、式神演劇班って何?」とシツモン。

シグレさんは

「メールでも送ったように、人のカラとかトゲっていうのかな。まぁ、人の心の仮面をすこしずつマイルドにしていくっていうか…。

ホラ、世の中ってさ、本音がいえないことってよくあるじゃん?

それで閉ざされちゃった人の心の埋まっている本音を拾い出すっていうのが

式神演劇班の劇だよ。」

本音?もしかして、ミニミニメモ帳を握った時に見えたカスミソウも

結衣の本音なのかな?

「まぁ、大体わかった。で、なんでめいりとウチじゃなくちゃいけないわけ?

ほかにも人はたくさんいるでしょ?」

確かにっ!なんで私たちじゃなくちゃいけないんだろう。

「それはねぇ。まず、シナリオマスターってのは式神使いじゃないといけないんだよね。で、補佐は式神使いじゃダメなの。

それにシナリオマスターと補佐のペアの相性がバツグンじゃないといけない。

そうじゃないと劇が失敗しやすくなるからだよ。

で、君らは僕が見てきた中で一番相性がいいからね。」

ちょっとまって、ちょっとまって?

「まって、シグレさん、式神使いって何ですか?それに劇って何…?」

ツイツイ、口を挟むと、

「式神っていうのは、陰陽師が使役する鬼神のことなんだけど。

で、式神それぞれに能力があって、たとえば僕の式神の能力は人の心が花みたいになって見えるっていうやつ。めいりちゃんは体験したからわかるよね?」

キ、キジン?

なんだかよくわかんないけど神様なのかな…?

人の心が花みたいなって見えるっているのは昨日のミニミニメモ帳のコト!?

頭の中がカオスな私を置いてシグレさんは続ける。

「劇っていうのは人の心のとげが悪化しちゃった場合に、

僕らは戦わなくちゃいけなくなるんだよね。で、それを治めることを劇っていうの。」

え?たたかうの?こっわ。

っていうか、悪化ってなに?と思っていると、ちょうど、

「シグレ、悪化って何?」と結衣。

ナイスタイミングッ!流石私の相棒っ!

「悪化っていうのはね、なんか、人の心のとげがモンスターみたいになっちゃうことだよ。で、そのモンスターは人のホンネをかき消したり、食べちゃったりするの。だからそれを食い止めなくちゃいけないんだよ、私たちは。」

とカスミさん。

「その、悪化っていったいどのくらいの確率でなるんですか?」と結衣。

「えっと、まぁ、ほとんどならないんだけど、最近は増えてるよね、」とヒヨリさん。

ひぃ、化け物なんかと戦いたくないよっ!家でダラダラ本読んでたいよっ!

「まぁ、メリユイならダイジョブ、大ジョブ、それに俺らもいるし!」

超絶楽天的に見えるライさん。

「勝手に略すなっ!っていうかウチらぜんぜんわかんないんですけど。」

隣でぶつぶつ文句を言う結衣を横目で見ていたら、

「ま、中学生になったらちゃんと教えてあげるから安心しとき。」

ライさんにみんな頷いている。

でもさっ!ライさんとシグレさんってすっごく胡散臭いよ~!!

そして結局一言もしゃべらなかったヒスイさん。

私たちのあだ名は結衣がユイorユリで、ウチがメイorメーリになった。

こうして私と結衣は式神演劇班のシナリオマスターと補佐になり、

色々面倒ごとに巻き込まれていくのだが、

小学生の私はまだ何にも気づいていないのであった。

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