序章
第一話 お嬢の微笑
「ひっ、悪かった!悪かったよ!!オレたちが間違ってた!!」
怯える男をじっと見下ろす。
涙と鼻水で汚された顔は、潰れた蛙よりも酷かった。
醜いものだ。
「お嬢、どうしますか?」
まだ若い男が私の判断を仰ぐ。
チラリと見ると、男ーー今回の案件での直属の部下であるーーは体をピクッと固くし、僅かにかいていた汗を頬骨に沿って流した。
ため息を吐きたいのを我慢する。
どうしてそんなに怖がるのか。
こんなことのために時間を割いているのが酷く馬鹿らしかった。
どうもしないよ。
と言いたいが、そうもいかない。
瞬きを一度し、意識を切り替える。
「うちのシマで勝手な真似をしたんだ、それ相応の罰を与えるのは当然だろう?」
醜い男に見せつけるように、私は艶やかに笑った。
男は怯え、絶望に目を染める。
その様子に部下が恐怖したことに気づいていたが、私は笑みを深めた。
私は、”お嬢”ーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます