第8話 子どもたちと遊ぶミオ
昼下がり。
村の広場で、子どもたちが木の枝や石ころで遊んでいた。
僕が通りかかると、すぐに声が飛んできた。
「あっ! スライムのお兄ちゃんだ!」
「ミオちゃんもいる?!」
胸元からぴょこんと顔を出したミオを見つけると、子どもたちは一斉に駆け寄ってきた。
ミオは少し驚いたように震えたけれど、すぐに「ムキュッ!」と鳴いて地面に飛び降りる。
「ぷるんってした! かわいい!」
「待てー!」
子どもたちが追いかけ、ミオが弾む。
ぴょん、ぷるん、ころり。
そのたびに歓声と笑い声が広がる。
「すごいな……人気者だ」
僕は思わず苦笑した。
やがて子どもたちが飽きもせずに抱きつきはじめる。
「やわらかい! もちもちだ!」
「ねぇ、さとーくんもさわってる?」
唐突に名前を呼ばれて、僕は赤くなった。
……子どもたちの間でも、いつの間にか「さとーくん」で通っているらしい。
「さとー、くん!」
今度はミオが、真似をするようにたどたどしく声を出した。
広場が一瞬静まり返り、次の瞬間には子どもたちの大歓声。
「しゃべった! スライムがしゃべった!」
「すごーい!」
ミオは得意げに僕の足元に戻ってきて、小さな体をぴとっとくっつけてきた。
僕は頭を撫でながら、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じる。
「……うん、上手に言えたな。ありがとう、ミオ」
「ムキュッ!」
子どもたちの笑い声と、ミオの鳴き声。
その光景は、異世界に来て初めて「居場所」を感じさせてくれるものだった。
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