第2話
結(中距離):次は耳の掃除、いこっか。食べ終わったら目、閉じて。
SFX:〈綿棒ケースの蓋が“コト”。綿の擦過“さわ”〉
結(右耳・ささやき):右耳に小さく——入るよ。ゆっくり。
SFX:〈耳内壁を撫でる極小の擦過音“す……”〉
結(左耳):今の、気持ちよさそうな呼吸。うん、深い。
SFX:〈梵天(ふわふわ)でくすぐる“ふわ、ふわ”〉
結(右→左へ):左右、交換しまーす。右から左へ、羽根雲がお引っ越し。
SFX:〈耳ふー“ふぅ”〉
結(近接):くすぐったかったら指、二回、トントンして教えてね。——うん、平気。えらい。
SFX:〈スマホのバイブが遠くで“ぶっ”。通知〉
結(中距離):あ、有紗から。……「塩と砂糖、間違えるなよ」。ふふ。
SFX:〈指でフリック“すっ”。通知オフ〉
結(右耳):彼女はね、相手の立場をちゃんと考える人。だから私が空腹でギスギスしないように、先回りで注意してくれるの。自分の信念は曲げないけど、ちゃんと誰かの視点に立ってくれる。——うん、尊敬してる。
SFX:〈ガラス瓶(炭酸水)を開ける“プシュッ”〉
結(左耳・明るく):炭酸のお風呂、耳の外側にだけかけます。しゅわ、しゅわ……
SFX:〈グラスに注ぐ“ととと”。微細なはじけ〉
結(右耳):音を飲むと、喉が勝手にうなずくね。あなたの「ありがとう」も、こんなふうに周りに静かに広がってるんだよ。
SFX:〈味噌汁を椀によそう“よそ……”〉
結(中距離):温度チェック……ふぅ。では、ひと口。
SFX:〈啜る音は限りなく小さく“ち……”。椀が卓に戻る“コト”〉
結(左耳・微笑):あ、今の舌打ちじゃないよ。幸せの短い合図。
SFX:〈浅漬けの袋を開ける“ぺり”。器に移す“とと”〉
結(右耳):ポリポリは録らないけど、視覚で味を足すね。耳の裏側に、緑。想像、召し上がれ。
SFX:〈タイマーの軽いアラーム“ピッ”〉
結(中距離):ここからは「耳カウント」。米粒バージョン。
結(右耳・囁き):いち、お米の点。
結(左耳):に、湯気の輪。
結(右耳):さん、あなたの呼吸。
結(左耳):し、私の指。
結(右耳):ご、炊飯器の面影。
結(左耳):ろく、窓の外の夜風。
結(右耳):なな、胸の前のあったかさ。
結(左耳):はち、笑いじわの種。
結(右耳):きゅう、悩みは今だけ休憩。
結(左耳):じゅう、眠りの入り口。
結(中距離・やわらかく):……うん、顔がほどけてきた。
SFX:〈包丁を洗う音“しゃっ、しゃっ”。水が流れ、止まる〉
結(右耳):片づけ、あとでやるから今は目閉じて。……ほら、肩にもう一枚。
SFX:〈タオルの柔らかな擦過〉
結(左耳):あ、そうだ。明日の朝、早めに起きて、おにぎりもう一個持たせたいな。梅か昆布か、どっちがいい? (間)……返事しなくていいよ。寝落ちのときは、なんでもうれしいって顔。
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