輝翼のテテュス~女を捨てて軍に入ったけど、年下王子から言い寄られて私の情緒はグチャグチャです~
三津朔夜
第1話断髪
冷たさを含む
目の覚めるような
春めく桜色の雲を眺めていると、あの夜の火の手が、空に重なって見えた。
「……ッ」
――――もう、三年も前になる。すべてを失ったのは。未だに胸の中で
断ち切りたい。もう、たくさんだ。過去を、思い出を。怨念の炎で焼き焦がすのは。
少女はナイフを取り出し、感情のまま振るった。
風にほどけていく『
「さようなら、セレナ……」
言い切った声が湖に溶けても、どこか胸の奥に
本当の別れは、まだ遠い。そんな気がした。
それでも、いくらか心が
頭を振れば、
大切に仕舞って――――いや、見ないようにしていた宝物。
姉のように慕っていた家庭教師。
これは、祈り。
彼女のように強くありたいと、誰かを守れるようになるための。
たとえ名は捨てても、命の恩人との記憶を抱いて共に歩むために。
軽い
「…………よし」
決して後ろを、振り返らぬまま――――。
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