ザックピンチ! マム一家との大騒動

 ザックが見つけたのは、上からツタのたれ下がっている大きな木だった。

 枝が二つにわかれているところから、ぐにゃりと曲がったえんとつがつきだしている。

 えんとつからは、もくもくと白いけむりがのぼっていた。

 そんな白いけむりのあいだから、なにかきらりと光る点が二つ……。

 こちらを見ているような気がした。

(いったい……)

 でもすぐに、その二つの点は白いけむりの中に消えていった。

(なんだったんだろう?)

 不思議に思ったけど、きっとあれは動物の目だ。

 だってここはジャングルの中だもん。

 動物がいてもおかしくはない。

 枝からぶら下がっているランタンの灯りが、辺りを温かく照らしていた。

 木には扉がついていた。

 でも、とっても小さい。

 わたしの身長の半分しかないんだ。

 これにはかなりビックリした。

 が、そんな扉にうちつけられている看板を見て、さらにわたしはビックリした。

 【小人の隠れ家な宿】――と、書かれているっ。

(小人……小人ってあの?)

 小さくてかわいい――そんなドール人形のようなすがたが頭にうかんだ。

 ザックは鼻歌まじりに、でもってお腹をぐ~~っと鳴らしながら、わたしの肩にのぼってきた。

「メル。美味いものをたんまり食べようじゃないか!」

「うん!」

 わたしは、かがみながら扉を開けた。

 扉の先には、下へとつづく、せまくて急な、石のらせん階段があった。

 薄暗い階段をおりていくと、しだいにおくから陽気な音楽と歌声が聞こえてくる。

 わたしの鼻でもかぎとれるくらい、

 いやっ!

 あますほどのいい匂いもしてきた。

「金貨を海に流したりなんかしてないよな?」

 階段をおりきったところで、ザックが聞いてきた。

 目の前にはこれまた小さなアーチ型の石の入口があり、むこうにはスコップでほりだしたかのような洞穴が広がっていた。

 壁についている松明の炎がメラメラと燃えている。

 わたしはバックの中をさぐった。

 ぬれたビラのドロッとした感触。

 うわぁっ。こっちのふんにゃりしてるのはきっとビスケットの箱だ!

 そして、かたくて冷たい金貨の感触が、一、二、三、四、五……。

「片手におさまらないくらいには、ちゃんとあるよっ」

 それからアーチをくぐりぬけた。

 中では、体の大きな男たち(ぜったい海賊だ!)が、十二ある丸いテーブルをかこんで、楽しそうにさわいでいた。


   お前にもあるだろ 俺たちにもあるさ

   あこがれだった海賊が

   なりたきゃなれるぜ 俺たちにだって

   魂食っちまえばいいだけさ

   そうすりゃなれるぜ

   あこがれだった海賊に

   ヨーホー ヨーホー

   そうと決まっちゃ出発だ

   ヨーホー ヨーホー

   海賊眠るその島目指して

   ヨーホー ヨーホー

   舵を切れ


 歌にあわせて、楽器がかなでられる。

 マンドリン、太鼓、ほら貝……。

 彼らが持つと、どれも小さく見えてしまう。

 男たちは自分たちの前にあるごちそうではあきたらず、ほかのテーブルから食べ物をとっては口につめこみ、お酒で流しこんでいた。

 と~~ってもぎょうぎが悪い!

 だけどこれ――こんなゆかいな感じが海賊っぽい!

 わたしも一緒にさわいでみたいなぁ‥…とながめていたら、

「今すぐひきかえそう」

 ザックがとつぜん、わたしの耳たぶをひっぱりながら言ってきた。

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