第50話 見つけた神獣がやばそうなんだがぁ?
㊿
よっ、ほっ、ほいっと。
おっ?
「ふぅ、開通したみたいだねぇ」
「にゃっ」
「んにゃぁ」
2匹ともドロドロだねぇ?
終わったら洗ってって、うわっ、ブルってするなら先に言ってほしいんだがぁ?
あーもう、僕までドロドロじゃないか。
まぁ、汚れてもいい服だからいいんだけどねぇ?
「はぁ、ついでだし、着替えちゃおうかねぇ」
けっきょくいつもの隠者コスだねぇ。
なんだかんだ落ち着くからいいんだけど、短い出番だったよ、探検家セット。
着替えはマイセットで一瞬だからいいけどもねぇ。
「さて、ちゃんと学園の地下に着いたのかねぇ?」
作りは、リヒリブラ学園の建築様式には見えないねぇ?
と言っても石のブロックを積み上げた形だし、間違ってるとは限らないんだけど。
「強い気配は、感じられないなぁ。フィア、コペン、神獣らしい気配はあるかい?」
「にゃぁ……」
ふむ、自信はなさげだけど、何か感じてはいるみたいだねぇ?
とりあえずついていってみようか。
しかし暗い。明かりもあるけど、こっそり動くならつけない方がいいかぁ。
つまずいて転ばないようにしないとねぇ。
この歳になると、思ってる以上に足が上がってないからなぁ。
「うん? 何かいるね」
ここまで来てようやく感じ取れる程度の気配。
住人でも頑張れば討伐できそうな位だ。
ただ、敵意が凄い。
僕らにももう気がついてるみたいだねぇ。
殺してやるって意思がこれでもかって伝わってくるよ。
「神獣かい?」
「にゃっ」
肯定かぁ。
人を守る側であるはずの神獣がこれほど怒るなんて、何をしたんだろうねぇ?
この角を曲がった先かぁ。
さぁて、どんなことになってるのやら。
いた。犬型の神獣かぁ。
「……これは、痛々しいねぇ」
電池にしてるだけだと思ってたけど、色々実験もしてたみたいだねぇ。
首に繋がってる管は魔力管で良さそうだけど、そっちは血を抜いてる。
毛を剃った跡もあるねぇ。
神獣の毛なんて簡単に剃れないだろうし、無理矢理引きちぎるみたいなやり方をしたんだろう。
そういうやり方は、痛いんだよねぇ……。
爪も剥がされてるみたいだ。
神獣の足元が削れてるのは、そうとうもがいたんだろうなぁ……。
黒い血の跡もあるから、爪のない足で引っ掻いたのかもしれない。
「ちょっとこれは、許せないねぇ……」
「にゃぁ……」
「んに゛ゃぁ……っ!」
こんなことなら、もっと真剣に探すべきだったかもしれないねぇ。
せいぜい見せ物にしてるとかその程度だと思ってたよ。
少なくともゲーム時代の人間は、程度の差はあれ神獣の役割を理解してたからねぇ。
「にゃぁ……」
「そうだね。早く助けてあげよう」
拘束具は、装着されたら力を抑え込まれるみたいだけど、外部から破壊する分には苦労しなさそうだねぇ。
たぶん、自由になった瞬間襲いかかってくるけど、これだけ弱ってるなら抑え込める。
それなら――
「まいったねぇ、これは」
「んにゃぁ?」
「魔力の制御機構が誤作動を起こしてる。今この神獣を装置から外したら、暴走した魔力で街が消し飛ぶよ」
「んにゃっ⁉︎」
なるほど、これを無理矢理留めてたから、この神獣はこんなに弱ってたのか。
仮にも神に連なってて、推奨討伐ML3500が基本の神獣が人間の実験で弱り果ててるのは、不思議ではあったんだ。
ただ、自身の力が蓄積したものを強引に抑えてたなら、納得がいく。
僕やフィアだって受けたらひとたまりもないような量の魔力を抑える反動。
どれだけのダメージが肉体に入ってるか、想像もできないよ。
「んにゃぁ……?」
「大丈夫、僕がどうにかするさ。こういう事態には慣れてるからねぇ」
不測の事態なんて、日常茶飯事だったからねぇ。
肝要なのは、焦らないこと。
「臭いだろうけど、許してよぉ」
もう何年も前にタバコはやめたんだけどねぇ。
こういう時は重宝するから、持ち歩いてはいるんだ。
「ほぉ……」
ああ、美味しくないねぇ。
なんでこんなもの、好んで吸ってたのか。
でも、ちょっと落ち着いてきたよ。
さぁて、対策を考えようか。
まずは、問題点の整理からだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます